マンション投資の基本
2018/03/08

より多くの資産を次世代へ!相続税対策としてのマンション経営

(写真=Ververidis Vasilis/Shutterstock.com)
(写真=Ververidis Vasilis/Shutterstock.com)
次の世代へ資産を引き継ぐ際、その評価額に応じて「相続税」が課せられます。特に現金や預貯金、あるいは株式、不動産など相続税の課税対象となる資産の形は様々です。

最近では多額の資産を保有している方だけでなく、一般的ともいえる資産額の方も相続税の課税対象になっています。自分は相続税を支払うほどの資産がないと考え相続税対策を行っていなかった方が突然亡くなり、相続税を納めなければならなくなったというケースが、実は増えているのです。

今回は増税傾向にある相続税の概況と、相続税対策としてマンション経営がどのような効果をもたらすのかをみていきます。

税制改正により、相続税の課税対象者が大幅に増えた

財務省が発表している統計資料「相続税の課税件数割合および相続税・贈与税の推移」によると、2008年のリーマン・ショック以降、日本の相続税収は増加していることがわかります。2008年の相続税の税収が約1兆5,000億円弱に対して、2017年は2兆1,150億円、約10年で約6,150億円の増収となっているのです。このことは、日本の景気が回復しているだけでなく、税制の改正や相続税に対する当局の目が厳しくなっていることも意味しているといえます。

特に、税制改正により2015年1月1日以後の相続について基礎控除の引き下げ等が行われたことで、相続税の対象となる人が大幅に増えました。国税庁の報道発表資料によると、年間死亡者数(被相続人数)に対する被相続人数の割合は、2014年が4.4%であったのに対し、2015年では8.0%と、前年より2倍近くも増えています。

このような税制の背景もあるため、相続税対策としてマンション経営に取り組む方が増えています。特にマンション経営のように節税効果の高い施策は人気があり、資産の形成という観点からも注目を浴びているのです。「より多くの資産を次世代へ引き継ぎたい」という気持ちは多くの人が共有するところなのでしょう。しかし、なぜマンション経営が相続税対策になるのでしょうか。その背景には、日本の税制が関係しています。

「現金」と「不動産」における相続税の取り扱い

現金や預貯金、あるいは株式などを相続する場合、相続税評価額はそのままの金額で計算します。例えば、1億円の現金を相続する場合、相続税評価額は1億円となります。一方、不動産の場合はどうでしょうか。

不動産の相続税評価額は、土地と建物に分けて計算していきます。まず土地の評価額は、主に路線価が用いられることから実勢価格の約80%となるため、その時点で現金などよりも課税価格が少なくなります(路線価のつけられていない土地の場合は、固定資産税評価額をもとに計算する「倍率方式」が用いられます)。次に建物の評価額は、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。一般的に、固定資産税評価額は建築費の約50~70%(自治体によります)で設定されています。

仮に、実勢価格5,000万円の土地に、5,000万円で建物を建てたとすると、相続税評価額は下記のように計算されます。

土地:5,000万円×80%=4,000万円
建物:5,000万円×60%=3,000万円
(固定資産税評価額を建築費の60%として計算、評価減は全くないものとする)
土地・建物合計:4,000万円+3,000万円=7,000万円

この例では、土地と建物の合計額は7,000万円(現金の70%)の評価額となり、現金よりも3,000万円(30%)低くなっています。このことから、現金より不動産の方が相続税が優遇されているとわかります。その背景には、現金などの資産ではなく、国として不動産という資産を保護したいという税制上の背景があるのです。それぞれの違いを理解していれば、相続税対策を進めやすくなります。

しかし、不動産による相続税対策の効果はこれだけではありません。マンション経営の場合にはさらに相続税評価額が低くなるケースが多いのです。

マンション経営が相続税対策に向いている理由

不動産による相続税対策のなかでも特に都心部のワンルームマンションが、相続税対策、さらには「相続(争続)対策」にも向いています。その理由は大きく3つあります。

まず一つ目は、一棟物件と比べた場合のメリットです。現金1億円で相続税対策として賃貸物件を購入する場合、一棟物件よりも区分マンションを複数戸購入するほうが、相続の際に財産を分割しやすい、引き継いだ遺族でも管理運営がしやすい、流動性が高い、物件ごとに売却する・長く保有するという選択ができるため、柔軟な資産運用が可能というメリットがあります。

二つ目は、立地の面で賃貸需要が見込めるという点です。相続税対策としてよく聞くのは郊外のアパート建設ですが、将来にわたる需要が見込めるか心配な方も多いでしょう。実際に地方や郊外が抱えている問題として、空室率が高い、空室期間が長い、大学の都心回帰、地元企業の撤退、大型店舗の閉店リスクなどがあります。

その点、都心部では空室率が低く空室期間も短いことはもちろん、今後にわたり人口の増加が予想されます。特に単身者の増加は顕著です。東京都の世帯数予測によると、一般世帯数に占める単独世帯の割合は、2035年には東京都全体で47.5%、東京23区では50.2%と、半数の世帯が単独世帯となると予測されています。したがって、都心部の単身者向けワンルームマンションであれば今後も堅調な賃貸需要が期待できるといえます。

さらには東京オリンピックを契機として各エリアで再開発が進むなど、都心部では将来にわたり賃貸需要が期待できる要因があります。

三つ目は、相続税評価額の圧縮効果が高いという点です。ワンルームマンションのなかでも、都心部は地方や郊外と比べて物件の資産価値が高いにもかかわらず、建物の固定資産税評価額は地方や郊外のワンルームマンションと大きく変わらないのが実情です。そのため、都心部のほうが実勢価格と固定資産税評価額との開きが大きくなる傾向があり、現金を不動産に換えたときの圧縮効果が高くなります。さらにはマンションを賃貸に出すことで得られる軽減措置があるのです。このことを次にご説明します。

マンション経営ではどのくらい相続税評価額が低くなる?

不動産の用途に応じた評価額の軽減措置として、土地に対する「小規模宅地等の特例」と「貸家建付地の評価減」、建物に対する「借家権割合による評価減」が挙げられます。マンション経営の場合には、現金が不動産に変わったことによる評価減に加えて、マンションを賃貸に出すことでこれらの特例がすべて対象となることから、相続税対策に大きな効果を発揮するのです。

具体的には、土地では「小規模宅地等の特例」で50%、「貸家建付地の評価減」で約20%(借地権割合により変動)、建物では「借家権割合による評価減」で30%、評価額が低くなります。他に保有している不動産や、物件の賃貸状況によって適用の度合いは異なりますが、マンション経営の場合は一般的に、実勢価格の約3分の1にまで評価額が低くなるといわれています。

仮に1億円の現金を保有していた方が亡くなった場合、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の金額を超え、相続税の課税対象となるケースも多くなります。ですが生存中に1億円の現金で投資用マンションを購入していた場合には、相続税評価額が基礎控除の金額以下に圧縮され、相続税の課税対象とならないケースが出てくるのです。

また、生前には家賃収入により、生活資金や介護費用等に充てることもできます。日々貯金を取り崩して財産を減らすのではなく、現金を不動産に換えて相続税対策としてマンション経営を行えば、マンションという資産から安定した家賃収入を将来にわたり継続的に得ることができます。そのため、財産を減らすことなく次世代に引き継ぐことができるのです。

1億円の不動産を購入した場合のモデルケース

現金で1億円を相続した場合と、その1億円で都心部の中古分譲ワンルームマンションを4部屋購入した場合のモデルケースを考えてみます。相続人は子ども2人、他の相続財産はなしとします。

 現金1億円の場合、相続税評価額は5,800万円です。
1億円-(3,000万円+600万円×2)【基礎控除額】=5,800万円【課税遺産総額】

この課税遺産総額から、相続税の総額を計算します。相続税の総額は、各法定相続人が法定相続分を取得したものとして計算されます。このケースでは、子供2人はそれぞれ2,900万円ずつ相続することとなります。

1,000万円を超え3,000万円以下の相続税率は15%、控除額50万円のため、子供1人につき負担すべき相続税額は、
2,900万円×15%-50万円=385万円
合計の相続税額は、385万円+385万円=770万円となります。

つまり、1億円を2人で相続したら合計で770万円の相続税がかかることになります。

 次に、現金1億円で中古の分譲ワンルームマンションを4部屋購入し、賃貸してずっと満室だった場合です。
 路線価は1平方メートルあたり50万円、マンション1部屋あたりの固定資産税評価額は300万円、借地権割合は80%、借家権割合は30%とします。
また、小規模宅地等の特例を利用できるとします。
 (マンション全体の建築面積は300平方メートル、土地の持分は2000/50000とします)

 <1部屋あたり土地持分の評価額>
 「貸家建付地の評価減」が適用できるため、
50万円【路線価】×(300平方メートル×2000/50000)【土地の持分面積】×(1-0.8【借地権割合】×0.3【借家権割合】×1【賃貸割合】)=456万円

 小規模宅地等の特例を適用すると、
456万円×0.5=228万円

 <1部屋あたり建物の評価額>
300万円【固定資産税評価額】×(1-0.3【借家権割合】×1【賃貸割合】)=210万円

 <相続財産評価額>
 (228万円【土地】+210万円【建物】)×4部屋=1,752万円

 <相続税>
1,752万円-(3,000万円+600万円×2)【基礎控除額】<0 のため、

 相続税はかかりません。
 都心部の中古分譲ワンルームマンションを4部屋購入することで、相続税を770万円節税したことになります。

配偶者控除を利用すれば相続税対策は不要?

相続税の軽減措置として、「配偶者の税額の軽減」という制度があります。これは、配偶者が相続人となる場合に、実際に受け取る相続財産のうち、1億6000万円もしくは法定相続分のどちらか大きい方までを課税対象額から差し引くことができる制度です。仮に財産が現金1億円のみだった場合、配偶者が全額相続し軽減措置を利用すれば、相続税はかからないことになります。

しかし、この軽減措置には落とし穴があります。それは、配偶者が相続した財産を子供に相続するときの「2次相続」で、法定相続をしたときよりも多額の相続税がかかってしまうケースがあるということです。

一例として、先ほどのモデルケースのように財産が現金1億円のみのケースで、法定相続人として配偶者の他に子供が2人いたと仮定し、(A)1次相続で全額配偶者が相続する場合と、(B)1次相続で法定相続する場合を考えてみます。

①    ケース(A)
配偶者が1次相続で1億円全額を相続した後、相続した現金には手をつけないまま、配偶者が亡くなった場合の2次相続を考えてみます。

2次相続では子供2人で相続をすることになりますが、先ほどのモデルケースの前半で述べたように、合計で1,040万円の相続税がかかることになります。

②    ケース(B)
1次相続で配偶者と子供2人が法定相続分(配偶者5,000万円、子供それぞれ2,500万円)で相続し、相続税の支払い以外は相続した現金に手をつけないまま、2次相続で子供2人が相続した場合を考えてみましょう。

まず、1次相続のときの相続税額の総額を計算すると、
相続税評価額:1億円-(3,000万円+600万円×3)【基礎控除額】=5,200万円 
相続税の総額:(5,200万円×30%)-700万円=860万円

配偶者の相続税の支払い分は、 860万円×1/2【法定相続分で按分】=430万円 ですので、
配偶者の相続財産から相続税額を支払い、残った金額 5,000万円-430万円=4,570万円 が2次相続の対象財産となります。

次に、2次相続のときの相続税額を計算すると、
相続税評価額:4,570万円-(3,000万円+600万円×2)【基礎控除額】=370万円
相続税の総額:370万円×10%=37万円

したがって、ケース(B)において1次相続と2次相続で支払った相続税の合計額は、
860万円+37万円=897万円 となり、トータルの相続税支払いでみると、
ケース(A)はケース(B)よりも 1,040万円-897万円=143万円 高くなってしまうのです。

このようなケースがあるため、安易に「配偶者の税額の軽減」を選択することは必ずしも得策とは言えません。何よりも大切なのは、相続が発生してから軽減措置を適用するかどうかを考えるより、前もってしっかりと相続税対策を考えておくことです。そうすることで、より多くの財産を次世代へ残すことができます。

■資産を将来世代に残すために

冒頭でも述べたとおり、税制改正により一般的ともいえる資産額の方が相続税の課税対象となっています。相続税がかかるのは多くの資産を保有している人だけ、自分はそれほど資産がないから関係ないと考えている方も、実は相続税の課税対象となる可能性があります。一度自分が保有している資産を見直し、相続税がどのくらいかかるのか検証してみることが大切です。

マンション経営が相続税対策になるということを理解していれば、上手に資産を残すことが期待できます。そう考えると、マンション経営は、相続税の基本的な対策といえるでしょう。

現金や預貯金などと不動産の違い、そして税制の特徴を把握したうえで、ぜひマンション経営を相続税対策としても検討してみてください。あらかじめシミュレーションを行ってみれば、いかに相続税評価額を下げ、資産を目減りさせずに次世代に引き継がせることができるのかを把握できます。2015年の税制改正により、相続税の対象となる人は増えている傾向です。自分の資産全体・相続人対象者などをよく考慮したうえで、相続対策を検討していきましょう。

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