“選んではいけない”&“選ぶべき”不動産会社を見分けるポイントとは?

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

マンション投資といった不動産投資をはじめる際、そして物件を購入する際に注意すべきことはさまざまありますが、なかでも注目しておきたいのが、信頼できる不動産会社をきちんと選ぶことです。不動産投資では物件選びももちろん大切ですが、マンション等を購入してからの維持や管理、つまり「マンション経営」という視点が欠かせません。

投資物件を購入するときは販売会社に依頼し、その後の運営を賃貸管理会社に依頼することが一般的であるため、不動産投資では、この会社選びが重要になります。では、これらを選ぶときにどんなところに注意しておくべきなのでしょうか。ここでは不動産の販売会社と賃貸管理会社を選ぶときのポイントや、選んではいけない、注意すべき不動産会社がどのようなものかを紹介します。

(本記事は2018/01/05配信のものを2020/05/31に更新しております)

▼目次

  1. 不動産投資は購入してからが重要
  2. 悪質な不動産会社1:しつこい営業や強引な営業
  3. 悪質な不動産会社2:「おとり広告」の掲載
  4. 他の注意すべき不動産会社とは
  5. 良質な不動産会社を選ぶためのポイント

1. 不動産投資は購入してからが重要

不動産投資をはじめる際には購入した後のこと、安定経営が可能で、将来にわたり自分の資産となる物件かを見極める必要があります。物件が収益を上げるためには、安定した家賃収入が欠かせません。物件を所有するだけでなく、物件に入居者が安定的に入居することが必要です。入居率が低く空室期間が長ければ、せっかく物件を所有していても、収入が入りません。

1-1. 物件選びは信頼できる不動産会社のサポートが大切

ですが、これからマンション経営をはじめようと考えている方は、物件選びに迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。迷ってしまう原因としては、どのような物件を選ぶべきか選択基準が固まっていないことや、そもそもマンション経営がどういうものかを理解できていないまま物件を探してしまうことが挙げられます。この点を解消するためには、積極的に情報提供を行ってくれて、専門的なことでもわかりやすく説明してくれるような信頼できる不動産会社に購入のサポートをしてもらうことが大切になってきます。

1-2. 購入後の賃貸管理も重要

また、入居率や空室期間は、物件のエリアやマンションのクオリティにも関係しますが、それと同じくらい購入してからの「賃貸管理」も重要です。

ポイント1:一般的には賃貸管理会社に任せよう

賃貸管理業務は入居者募集をはじめ、毎月の家賃回収、入居中の対応、退去時の手続きなど多岐にわたります。しかし、マンション経営がはじめての方などは、どのように入居者を募集すればよいか、どのように入居中の対応をすればよいかわからないという方がほとんどと思われます。またサラリーマンといった本業を持つ方は、マンション経営に費やせる時間も限られます。このような点から、購入後は賃貸管理会社に業務を任せることが一般的です。

ポイント2:賃貸管理会社の入居者募集における業務内容とは

賃貸管理会社が行う業務として入居者募集を例に挙げると、入居者の退去が決まったら、まずばオーナーへ募集条件を提案します。しっかりした会社ですと募集条件を提案する際に、家賃相場状況を調査し情報提供を行ってくれます。募集条件が決まったら募集図面作成、REINS(不動産会社専用の物件検索システム)やインターネットへの広告掲載、周辺業者への情報周知活動などを行います。入居希望者が見つかったら、申し込み手続きから入居審査、契約締結手続き、引渡しまでを行います。

賃貸管理会社はこのような専門的で手間のかかる業務を行ってくれますから、購入時から任せておくと仮に入居者が退去しても安心です。不動産をどこで購入し、どこに管理を委託するのか、これが不動産投資を行ううえで大切になります。

ポイント3:販売会社と賃貸管理会社は別にするべきか?

なお不動産会社を選ぶときに、販売会社と賃貸管理会社は別々に選ばなくてもよいでしょう。物件の販売だけでなく、購入後の賃貸管理まで受け持ってくれる不動産会社もあります。購入してから自分で信頼できる賃貸管理会社を探すとなるとかなりの労力が必要ですし、入居者確保がしやすい物件をあらかじめ厳選して販売している可能性も高いでしょう。物件購入から購入後のサポートまでをトータルで考えてくれる不動産会社を選ぶことで、マンション経営はぐっと成功に近づくともいえます。

【参考記事】購入後はどうする?不動産投資物件の管理方法、管理会社の種類とは

2. 悪質な不動産会社1:しつこい営業や強引な営業

良質な不動産会社はもちろん多くありますが、時に悪質な不動産会社も存在します。「悪質とはどんなものなのか」について、悪質な不動産会社で行われていた大きく2つの事例を見ていきます。

まず一つ目は、しつこい営業や強引な営業を行う不動産会社です。

2-1. しつこい営業や強引な営業は法律の取り締まり対象

不動産会社に限らず、突然営業目的の電話がかかってきた経験はあるかもしれません。不要と断って二度と電話がかかってこなければまだ良いのですが、断ったのに何度も電話してくる、アポイントもないのに自宅や勤務先まで押しかけてくるなどの迷惑行為を繰り返す会社があり、無理やり契約させられてしまったという耳を疑うようなケースがあると聞きます。

このような行為は法律や条例で取り締まりの対象となっています。例えば、一度不要と断ったのに再度電話営業を行うことは特定商取引法違反となるケースがあります。また、東京都の消費生活条例でも断ると威圧してくる、長時間にわたり電話を切らせてくれない、深夜や早朝も関係なく電話してくるなどの行為を取り締まりの対象としています。

2-2. 宅建業法における禁止営業行為6項目

不動産取引の法律「宅地建物取引業法(宅建業法)」でも、平成23年10月の改正で禁止項目が追加され、現在は下記の営業行為が禁止されています。

  1. 不確実な将来利益の断定的判断を提供する行為
  2. 威迫する行為
  3. 私生活、又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させる行為
  4. 勧誘に先立って宅地建物取引業者の商号又は名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行う行為
  5. 相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続する行為
  6. 迷惑を覚えさせるような時間の電話又は訪問する行為

(宅建業法第47条の2 第3項、同法施行規則第16条の12より)

なお、違反した場合には業務停止処分や免許取消処分などの対象となります。

もし仮にこのような行為を受けた場合には毅然とした態度で断り、必要に応じ法律や条例違反であることを告げるなどして対応するとよいでしょう。

3. 悪質な不動産会社2:「おとり広告」の掲載

注意すべき悪質な不動産会社の二つ目は、「おとり広告」を掲載する会社です。

3-1. おとり広告とは

「おとり広告」とは、実際には契約できない物件の広告掲載を行うことで、「物件が存在しないため、実際には取引することができない物件」「物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件」「物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件」に関する広告をいいます。「おとり広告」は客寄せの目的で街頭看板や物件検索サイト上に掲載されるもので、売買物件、賃貸物件とも散見されることから社会問題となっています。

3-2. おとり広告は違法行為

「おとり広告」は当然、違法行為です。宅建業法32条、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第5条第3号、不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)21条に違反しています。にもかかわらず「おとり広告」を行う不動産会社が後を絶ちません。最近でも全国展開していて知名度のある不動産会社が「おとり広告」で行政処分を受けたことが話題となっています。

3-3. 業界団体による悪質業者の摘発も

このような状況を受け、業界団体首都圏不動産公正取引協議会は2017年1月より、「おとり広告」を行う不動産会社に対して一定期間、不動産ポータルサイト(「at home」「LIFULL HOME'S」「SUUMO」など大手5社)への広告掲載を停止する施策を開始しました。この施策の対象となるポータルサイトは当初5社でしたが、参画するポータルサイトが次第に増えています。同協議会は2017年1月から10月末までの間に42の不動産会社が「おとり広告」を掲載したとして、ポータルサイトへの広告掲載停止措置を行っています。

ポータルサイトで物件情報を見る際には十分注意し、「おとり広告」でないかを冷静に見極める必要があります。

【参考記事】高利回り物件はお宝物件?リスク物件?

4. 他の注意すべき不動産会社とは

4-1. 家賃設定を適切に行わない業者

悪質とはいわないまでも、注意すべき不動産会社は他にもあります。それは家賃設定を適切に行わない不動産会社です。

例えば、家賃相場をよく調べずに入居者募集の家賃設定をする会社がありますが、このような会社に賃貸管理を任せてしまうと、入居者の退去があったときに、次の入居者がなかなか決まらずに空室期間が長引いてしまう恐れがあります。また、物件によっては相場よりも高い家賃で貸すことができている場合がありますが、家賃相場を知らずに購入してしまうと、入居者の退去があったときに計画が大きく崩れてしまいます。

4-2. ポイントは家賃相場状況の情報提供の有無

購入時に現在の賃料だけでなく、家賃相場状況も含めて物件の提案をしてくれる不動産会社もありますから、家賃相場状況の情報提供を行ってもらえるか、購入時にしっかり確認するとよいでしょう。ちなみに新築物件は、家賃が新築プレミアムで設定されている可能性があります。新築物件の家賃相場状況だけでなく、新築後数年経っている周辺物件の家賃がどうなっているか、家賃相場状況の情報提供を行ってもらうとよいでしょう。

4-3. サブリースでの販売が前提の業者

もう一つの例として、販売したいがために実際には入居者がつかない家賃で借り上げ(サブリース)を前提とした販売をする会社があります。このような不動産会社から物件を購入してしまうと、購入してすぐには問題がなくても、一定期間経過後に借り上げする家賃の見直しで大幅な減額提案をされたり、サブリース会社の倒産の恐れが出てきたりと、安定したマンション経営ができなくなる恐れがあります。

もちろん、サブリースを提供する全ての業者が悪質な訳ではないため、サブリースの家賃設定に関しても、どのような条件で家賃設定を行っているのか、家賃相場と比較した場合に果たして適切なのかを確認しておくとよいでしょう。

【参考記事】空室対策で活用したいサブリース契約には注意が必要!メリットと注意点

5. 良質な不動産会社を選ぶためのポイント

このように見ていくと、物件購入から購入後のサポートまでをトータルで考えてくれる不動産会社を選ぶこと、しつこい営業や強引な営業を行わず徹底して法令遵守に取り組んでいる不動産会社を選ぶことが大切だとわかります。

5-1. マンション経営は購入してからが重要

不動産を購入するとき、物件にばかり目がいってしまうことはめずらしくありません。しかし、マンション経営は購入してからが重要であるため、物件そのものだけでなく、入居率や空室期間、管理サポート体制、賃貸管理を委託するだけなのかサブリースなのかという契約内容まできちんと確認することが重要です。

5-2. やはり信頼できる不動産会社のサポートが欠かせない

そして、これらをきちんと把握して購入するには、信頼できる不動産会社のサポートが欠かせません。たとえば契約内容をこまめに確認してくれたり、質問に誠実な回答をしてくれたりすることも目安のひとつです。

長期的な目線で物件を見ることができ、現在から将来にわたりマンション経営をサポートしてくれる不動産会社を選ぶことができれば、不動産投資をよりよいものにすることができるでしょう。

▲目次にもどる

eBook5冊同時ダウンロード

【2020年5月度人気記事ランキングTOP7】

NEXT 連帯保証人不要!保証会社を活用するマンション経営のメリット
PREV 「客付け」に強い管理会社の見極め方!不動産投資で空室ゼロに向けて

関連記事