税金
2018/06/06

先手を打って対策しよう!注目の税制改正とこれからの相続税対策

(写真=stoatphoto/Shutterstock.com)
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相続税対策は早めに行うのが基本です。その理由の一つに、日本の相続税に関する「税制」にあります。そもそも相続税とは、亡くなった方(被相続人)の財産を家族や親族などの相続人が取得したときに課せられる「資産税」としての税金です。

相続人となりうる人は様々ですが、多くは被相続人の配偶者や子、直系尊属(親など)や兄弟姉妹です。残された相続人が苦労しなくて済むように、前もって相続税対策に取り組むことが大切になってきます。

平成27年(2015年)には相続税の大幅な改正が行われましたが、基礎控除の引き下げが行われたことにより、相続税の課税対象となる人が約2倍に増えています。平均的ともいえる資産総額の方も相続税の課税対象となる可能性が出てきたため、一般の方が相続税への関心を持っておかなければならない時代になったとも言えます。さらに、平成30年度(2018年度)の税制改正では、自宅の敷地や賃貸物件の敷地に適用される「小規模宅地等の特例」に関して、注目すべき改正が行われています。

平成30年度税制改正にて、「小規模宅地等の特例」の適用範囲が狭められた

まずは、平成29年12月に閣議決定された「平成30年度税制改正の大綱」より、以下の抜粋部分を御覧ください。

(1)小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行う。
① 持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、次に掲げる者を除外する。
イ 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
ロ 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
② 貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く。)を除外する。

「平成30年度税制改正の大綱」財務省

ここでは、"小規模宅地等の特例適用範囲が狭められた"ことが書かれています。要約すると、狭められたのは次の2点です。

①通称「家なき子特例」(被相続人と同居していない親族が、被相続人が住んでいた自宅の敷地を相続する場合に「小規模宅地等の特例」を受けること)の対象者が狭められた。

②相続開始前3年以内に貸付け事業用となった土地は適用除外となった。

そもそも小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた自宅の敷地や事業を行っていた土地について、一定の要件を満たす場合に相続税評価額を減額するという特例です。なかでも被相続人の自宅敷地の場合には「特定居住用宅地等」として、330平米を限度に80%まで評価額を減額できます。また、駐車場(アスファルト舗装などの構築物がある場合)や賃貸物件の敷地などは「貸付事業用宅地等」として、200平米を限度に50%まで評価額を減額できます。

「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」国税庁

その特例のうち、今回の改正によって特例の範囲が狭められました。特に、②の改正については注意が必要です。「相続開始前3年以内」に賃貸事業を始めた場合には、「貸付事業用宅地等」の特例を適用できません。つまり、被相続人が亡くなる直前に慌てて相続税対策をしても、効果が薄くなるような制度に改正されたのです。

このように、政府には駆け込みでの相続税対策を牽制する動きが見られます。今後の動向にも注目しておきましょう。なお、改正後の制度の下ではよりいっそう、相続税対策を早めに行うことが大切になってきます。
 

生前贈与を行う場合の注意


小規模宅地等の特例以外では、相続税対策として有効な手法として「生前贈与」が挙げられます。生前贈与では、年間110万円まで基礎控除となるため贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告も不要です)。

ちなみに、相続税と贈与税はそれぞれ金額ごとの税率が異なります。110万円の基礎控除を超えて贈与を行う場合には、相続税より高い税率が課せられるため注意が必要です。詳細の税率は以下の通りです。





「贈与税の計算と税率」国税庁

「相続税の税率」国税庁

ただし、注意しておきたいのは、相続税における「贈与財産の加算」という制度です。この制度は、相続人が、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けていた場合、相続税の課税価格に対して贈与を受けた財産の価格を加算するというものです。この制度が適用される場合、基礎控除額110万円以内の贈与であっても相続税に加算されるため注意しておきましょう。

「贈与財産の加算と税額控除」国税庁

これからの相続税対策で大切な4つのポイント

いずれにしても、これからの相続税対策は大きく4つに集約されるといえそうです。

まず一つめは、あらゆる相続税対策の前提として早めに対策することです。駆け込みで相続税対策を行うことに対しては、今後も政府が厳しく対応する見通しです。

二つめは、確実に相続税評価額を下げられる方法を選択することです。現金や預貯金はそのままの相続税評価額となりますが、不動産は時価よりも低い相続税評価額となり、賃貸に出すことでさらなる圧縮効果が見込めます。空室が続いてしまうと賃貸物件とみなされないケースもあるため、賃貸需要の見込めるエリアを選ぶことが重要になってきます。

三つめは、しっかりと収益を生み出せる方法を選択することです。資産規模によっては、評価を下げるだけでなく相続税の納税資金を用意しておく必要があります。また、相続税対策にばかりとらわれず、生活費や医療費、介護費用といった老後の備えとしても、継続的に収益を得られる方法を選ぶことが安心につながります。

四つめは、どんな状況にも対応できるように準備しておくことです。近年、相続税は増税傾向がみられ、今後もこの流れが続く可能性は高いでしょう。現状の税制が変わっても対応できるように納税資金の準備が必要なことはもちろん、自らが認知症になってしまったときでも相続税対策を行うことができるよう、あらかじめ「家族信託(民事信託)」を行っておくと良いでしょう。

これら4つのポイントをきちんと押さえておけば相続税対策に困ることはありません。加えて「争族(争続)」対策として、相続人の間でトラブルが発生しないようにあらかじめ財産の分割方法を明確に指定しておくことも大切です。税制面で対策を施し、さらに分割時の感情面にも配慮する。そのように準備しておくことが、将来の相続税に対する不安軽減につながるでしょう。

例えば、都心部の投資用ワンルームマンションで相続税対策を行えば、相続税評価額の圧縮効果が高いだけでなく、将来にわたる安定した賃貸需要が期待でき、安定して得られる家賃収入を納税資金や老後資金として活用することが可能となります。また、相続人の数に応じてワンルームマンションで相続財産を用意しておけば、相続時において家族・親族間で財産を分けやすくなります。さらに、受け継いだ家族・親族はそれぞれの状況に応じて、そのまま保有して家賃収入を得ることはもちろん、売却して現金に換えることもできるなど、選択の自由度が高くなります。相続税対策を行いながら「争族」対策も実施できる方法として、ぜひ検討してみると良いでしょう。
 

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