不動産投資“初年度の確定申告” 事前に知っておくべき事とは?!

(写真=siam.pukkato_Shutterstock.com)
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賃貸経営、つまり不動産投資を始めると、給与所得以外の所得である不動産所得が発生することになるので、確定申告が必要になります。確定申告と聞くと、初めての人にとっては難しいことのように感じるかもしれませんが、不動産所得のみであればそれほど複雑な処理は必要ありません

今回は不動産投資をして初年度の確定申告する方向けに、簡単な白色申告と青色申告の概要について解説していきましょう。

(本記事は2017/09/01配信のものを2023/01/12に更新しております)

▼目次

  1. 不動産投資をするとなぜ確定申告が必要なのか?
  2. 白色申告と青色申告
  3. 確定申告の主な注意点
  4. 初年度こそ確定申告に抜け漏れがないよう万全な準備を

1. 不動産投資をするとなぜ確定申告が必要なのか?

不動産投資を始めると、家賃収入が発生します。所得は給与所得や配当所得など大きく10種類あり、家賃収入から経費を差し引いた所得は不動産所得に分類されます。

1-1. サラリーマンの確定申告が必要となる条件のひとつとは

一般企業のサラリーマンが不動産投資をし、不動産所得が年間に20万円を超えた場合、「1ヵ所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」という条件のうちのひとつに該当し、確定申告が必要になります。

「20万円を超える」という線引きが行われている理由としては、税金を徴収する側の手間が考慮されているためです。なお、これはあくまで「所得税の確定申告」の話であり、住民税に関する申告は20万円以下であっても必要となるので注意しましょう。

1-2. さらなる融資を受けるなら、なおさら確定申告は必須

上記の条件をみると、不動産所得が20万円以下であれば申告は不要になるのではないか、と考える人もいるかもしれません。確かに、納める税金を多少なり減らせるのであればそのような選択も1つかと思いますが、確定申告をしないと融資を受けて資産規模を拡大していくのが難しくなります。なぜなら、確定申告資料がない場合、金融機関が審査を進められず、融資の承認が下りないケースが多いからです。

金融機関は、融資審査をする際に申込者がすでに営んでいる賃貸業の業績も考慮して審査をします。確定申告資料はその審査に大きく影響を及ぼす資料です。そもそも賃貸経営をしているのに、確定申告をしていないという事実に対していい印象は持たれません。

したがって、不動産投資を始めたら規模がどんなに小さくても、確定申告をする必要があるという認識を持っておきましょう。

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2. 白色申告と青色申告

まず確定申告には白色申告と青色申告の2種類がありますが、青色申告の詳細については下段においてもご紹介しますが、先に以下記事を参考にしていただけますと幸いです。

参考記事:マンション経営で「青色申告」の申請によるメリット享受の条件

2-1. 白色申告とは

白色申告とは、所得税(や法人税)を確定申告する時に予め期限内に青色申告の届出をしていない場合に行う申告方法をいいます。

2013年までは不動産所得・事業所得・山林所得の合計が300万円以下の場合には、白色申告では帳簿書類の保管が求められておらず、青色申告では7年間分の帳簿書類(領収書・経費等の証憑書類)の保管が求められていました。よって、保管する手間を考えると保管期間の有無という大きな違いがあり白色申告のほうが簡単なイメージが強くありました。

しかし、2014年1月より同じく3所得合計300万円以下の白色申告でも帳簿書類の保管が求められるようになり、証憑書類の保管に関していえば、青色申告と白色申告の差はなくなりました

2-2. 青色申告のメリットと事前申請の期日

上記の参考記事でもあるように、青色申告をすることによるメリットは数多くあるのですが、その中でも大きなメリットが青色申告控除です。青色申告控除は、事業規模でなくても所得から10万円、事業規模(5棟10室基準)であれば最高65万円(or 55万円)を差し引くことができ、その分税金の支払いを減らすことが可能です。

また、不動産所得のみ発生している状況下では収支の内訳もシンプルです。資産や負債にも複雑な管理を求められるようなものはあまりありません。申告の手間はあまり変わらないので、税務上のメリットがとれる青色申告をすることをおすすめします。

ちなみに、青色申告をするには青色申告承認申請書の事前提出が必要になります。規定の期日は原則として事業の開業日から2ヵ月後となりますので、それまでに余裕を持って提出するようにしましょう。

3. 確定申告の主な注意点

最後に確定申告を行ううえでの注意点を確認していきましょう。

3-1. 経費計上の証明書類は7年間の保管を

まずは、記帳した証憑書類は7年間保管することです。賃貸経営を始めると、始める前と比べて経費で落とせる項目が増えます。経費として計上するのは問題ないのですが、経費として計上したものはその支払いを証明できる書類を必ず保管する必要があります

3-2. 不動産投資初年度の確定申告を間違いないようにするためには

また特にですが、賃貸経営つまり不動産投資を始めた初年度は確定申告についてはよくわからないものです。初年度に決めた建物と土地の割合にしたがい、長期にわたり減価償却費が計上される他、購入時は諸費用として多くの支払い項目があります。間違いのないよう確定申告を済ませるためには、税理士に依頼するのも1つの方法です。

確定申告書類作成代行のみであれば4万円~5万円程度で依頼ができますので、そこまで大きな費用にはならないでしょう。

4. 初年度こそ確定申告に抜け漏れがないよう万全な準備を

今回は不動産投資での初めての確定申告をする場合の概要について確認しました。やはり、不動産投資を始めるときは確定申告が必要不可欠です。

抜け漏れのないよう白色申告と青色申告の概要をしっかりと把握しておくべきあり、分からないことがあれば、信頼のおける税理士などに相談するようにして万全な準備を心掛けましょう。

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