税理士が解説!不動産投資の確定申告で認められる必要経費6つとは

(写真=Roman Samborskyi/Shutterstock.com)
(写真=Roman Samborskyi/Shutterstock.com)
師走を過ぎ、年を明けた1月は、確定申告まで間もない時期となります。「2020年の確定申告期間は2月17日(月)から3月16日(月)までだから、その間に準備して申告すればいいのでは?」「まだまだ早い」と思う方もいるかもしれませんが、1ヵ月はあっという間にすぎてしまいます。今回は慌てることのないように、確定申告に備えて今から知っておきたい不動産投資であるマンション経営の必要経費について解説します。

(本記事は2019/01/18配信のものを2019/10/25に更新しております)

▼目次

  1. マンション経営の所得計算の2つのキホン
  2. 必要経費になるもの6つ
  3. 必要経費にならないものよくある4つ

マンション経営の所得計算の2つのキホン

マンション経営の所得計算において押さえておくべきポイントは次の2つです。

1)規模に応じて取扱いが異なる「不動産所得」

マンション経営による収益は、原則として「不動産所得」に区分されます。不動産所得では、事業的規模と認められるかどうかによって税務上の取扱いが異なります。事業的規模の判断基準はよく「5棟10室」といわれています。貸間やアパート、マンションならば10室以上、貸家など建物の貸付なら5棟以上が事業規模として認められます。

2)不動産所得と認められないケースも

ただし、不動産所得と認められないケースもあるため注意が必要です。例えば、下宿などのように食事を提供する場合には、単なる貸付けではなく人的役務の提供があるとして「事業所得」または「雑所得」に区分されます。また、民泊により得た所得は、原則として「雑所得」(所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合は「事業所得」)に区分されます。国税庁は2018年6月、民泊(住宅宿泊事業)のルールを定めた「住宅宿泊事業法」の施行に先立ち、ホームページ等で公式に情報提供を行っています。

国税庁「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について」

●所得の計算方法

いずれの所得に該当しても、課税のベースである所得計算は次の算式に従います。

・1年間の所得=1年間の総収入金額-1年間の総必要経費

総収入金額とは売上だけではありません。付随的に入ってきた事業関連の収入も含めます。例えば、投資用マンションを経営しているなら、マンション経営による家賃収入だけでなく、マンション経営について書いた記事原稿などの雑収入も総収入金額に含まれるのです。問題は「1年の総必要経費」です。なぜなら、どの支出が必要経費に該当するのか、最初のうちはなかなか見分けがつかないからです。マンション投資には、いったいどのような支出が必要経費になるのでしょうか。

必要経費になるもの6つ

必要経費になるものは原則として「その事業に直接必要なもの」に限定されます。具体的には次の6つです。

「1」 修繕費

マンションは経年劣化するため、水漏れや壁面の補修などといった修繕費が経常的にかかることになります。このときの修繕費は必要経費です。

「2」固定資産税・不動産取得税

また、建物や土地を保有していれば毎年固定資産税を納めなくてはなりません。このほか、相続人以外の人が遺贈などで被相続人から不動産を承継した場合には不動産取得税がかかります。いずれも必要経費です。

「3」広告費

少子高齢化の時代におけるマンション経営につきものなのが「空室リスク」です。この空室を防ぐために支払った広告の費用は必要経費に算入します。

「4」減価償却費

投資用の建物は時間がたつごとに老朽化します。その老朽化した部分を数値化(費用化)したものが「減価償却費」です。この減価償却費に現金の支出は伴いませんが、必要経費に参入することになります。

「5」ローン金利

マンション経営においてローンを組んだ場合には、返済の際、元本とあわせて利息(金利)を支払うことになります。このローン金利も必要経費です。ただし、不動産所得が赤字の場合には、土地に係る利息部分を経費計上できません。

「6」管理委託費

マンション管理を管理会社に委託する場合、支払うのが管理委託費です。これも必要経費に算入できます。

必要経費にならないものよくある4つ

では、どのようなものが必要経費から外れるのでしょうか。

1. マンション経営に直接必要でない支出

「必要経費になるもの」の項目で「事業と直接関係のある支出のみが必要経費になる」と紹介しました。これを裏返すと「直接関係がなければ必要経費にならない」ということです。そのため、家族との食事代や一見関係のない書籍代などは必要経費から外れます。

2. 事業主の所得税や住民税

また、マンションを経営する事業主の所得税と住民税は必要経費になりません。なぜなら、これらは個人の所得全体に属するものであり、マンション経営に直接必要ではないからです。

3. 資産の価値を増額させる支出

先ほど「修繕費は必要経費」と解説しましたが、新たな設備の導入費用など、マンションそのものの価値を上げるような支出については、全額必要経費になりません。「資本的支出」として財産が増えるという処理を行い、耐用年数に応じて減価償却費として計上することになります。

4. ローンの元金

よく誤解が多いのが「ローンの元金も経費になるから返済しよう」というものです。これは借りた借金を返したにすぎないため、必要経費に算入できません。

このほかにも、物件や事業主の状況によって不動産投資の確定申告における必要経費の範囲が変わります。判断に迷うようであれば、税理士などの専門家に尋ねてみるとよいでしょう。


鈴木 まゆ子

【プロフィール】
税理士鈴木まゆ子事務所代表。外国人のビザ業務を専業とする行政書士の夫と共に外国人の起業支援に従事する。国際相続などについての記事執筆にも取り組む。税金や金銭に絡む心理についても独自に研究中。

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