実は知らなきゃ損?!不動産購入時の土地と建物の割合の決め方

(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)
(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

区分所有のワンルームマンションのように土地と建物がセットになっている不動産を購入した場合、土地と建物それぞれの取得価額を明らかにしなくてはなりません。なぜ土地と建物の価額の割合を知る必要があるのか、そしてそれをどのようにして求めるのか、ここではその必要性や計算方法について解説します。

(本記事は2019/06/28配信のものを2020/07/14に更新しております)

▼目次

  1. 減価償却費を求めるために必要なもの
  2. 不動産取得時の土地と建物の割合を決める方法
  3. 売主との交渉で決めることも
  4. 税理士などの専門家に相談を

1. 減価償却費を求めるために必要なもの

1-1. まずは不動産購入時の土地と建物の割合を

例えば、区分所有のワンルームマンションや中古アパートなどは、土地と建物を同時に購入するケースがほとんどです。そこで問題となるのが、取得価額における土地と建物の割合です。これらが明らかになっていないと、減価償却費の計算ができません。

1-2. 次に残存耐用年数の計算が必要

減価償却費の計算をするには、まず、その資産の耐用年数を求める必要があります。新品の資産であれば法定耐用年数をそのまま使用しますが、中古資産であれば以下のように残存耐用年数を求めます。

<法定耐用年数の全部を経過した資産の計算式>

法定耐用年数×20%=残存耐用年数

<法定耐用年数の一部を経過した資産の計算式>

(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%=残存耐用年数
※上記を簡略化すると、法定耐用年数-経過年数×80%=残存耐用年数 となります。

たとえば、RC造(住宅用)マンションの法定耐用年数は47年です。築20年のRC造マンションを買った場合、残存耐用年数は(47年-20年)+20年×20%=31年(※簡略化した式で計算すると、47年-20年×80%=31年)となります。つまり、建物の金額を31年にわたって減価償却していくことになります。

だからこそ、ここで「そもそも建物の金額はいくらか」を知る必要があるのです。

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2. 不動産取得時の土地と建物の割合を決める方法

2-1. 売買契約書に土地と建物の金額が書かれていない場合の4つの計算方法

売買契約書に土地と建物の金額が書かれている場合は、その金額をそのまま使いますが、書かれていない場合はどうすればいいのでしょうか。主に以下の方法があります。

  1. 契約書の売買金額の消費税を基に計算する
  2. 固定資産税評価額で按分する
  3. 土地、建物の原価を基に計算する
  4. 不動産鑑定評価額で計算する

2-2. 各計算方法の詳細と具体例

まず(1)ですが、これが最もわかりやすい方法でしょう。消費税は土地にはかからず、建物にのみかかる税金です。売買契約書に消費税の金額が記載されていたなら、それは建物の消費税額です。その金額から建物の税抜価格を割り出すことができます。たとえば、「売買価格3,000万円(うち消費税180万円)」とあったなら、180万円÷8%=2,250万円が建物の税抜価格となります(消費税8%の場合)。

売買契約書に消費税額の記載がない時は、(2)~(4)の方法で求めます。(2)は、土地と建物の固定資産税評価額を根拠にする方法です。土地と建物それぞれの固定資産税評価額を調べて、たとえばその割合が50%:50%だったら、購入価格も50%:50%で按分して建物の金額を求めます。

(3)は、新築当時の標準的な建築費を調べるなどして建物の原価を計算する必要があり、専門的な知識を要するためハードルが高いでしょう。(4)は不動産鑑定士に依頼するため費用がかかります。よって、(1)で計算できない場合には、実際は(2)の方法で決めるケースが多いです。

3. 売主との交渉で決めることも

3-1. 売主との交渉には正当性の根拠が必要

これらに加えて、もう一つ方法があります。それは「売り主と交渉して決める」です。売主に、「土地30%:建物70%の割合で、売買契約書にその金額を記載してもいいですか?」と交渉して、OKをもらうということです。ただし正当性を担保する根拠も必要です。

買主側にとっては、建物割合を大きくしたほうが減価償却費を多く計上できるため、節税メリットが大きくなるからです。収益向上を考えるにあたって、購入物件の建物価格は重要なポイントです。

3-2. 建物割合を大きくすることに売主側が消極的になる理由

建物割合を大きくする交渉をしても、売主側がOKしてくれるかどうかはケースバイケースです。売主に反対されやすいのは、建物金額が高くなることで多額の売却益が生じてしまうケースです。また、売主が不動産会社などの消費税課税業者の場合も、建物割合を上げることには消極的になりがちです。建物の金額が上がれば、納める消費税額がその分増えてしまうからです。

消費税免税事業者(課税売上1,000万円以下の事業者)が売り主の場合はそのような制約がないので、建物割合をアップする交渉には応じてもらいやすいと言えます。

4. 税理士などの専門家に相談を

建物の減価償却費を使って多くの節税メリットを得たいなら、売り主が個人の物件を狙って購入するのがいいかもしれません。

ただし、あまりにも実態とかけ離れた割合にしてしまうと、税務署に認めてもらえない可能性があります。土地・建物の割合をどのようにするのかは、できれば税理士などの専門家に相談してから決めるといいでしょう。

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