不動産投資のリスクヘッジ(3)
投資には"リスク"がつきものです。例えば、安定して収益が得られやすいとされている不動産投資に関しても、「空室リスク」「震災リスク」「滞納リスク」など、さまざまなリスクがあります。とくに、正確に予想することが難しい"不確定要素"としてのリスクに対して、どのように対処するのかを考えておくことが、投資家には求められます。
ただし、投資というのはリスクがあるからこそリターンが得られるともいえ、むしろ、積極的にリスクをとらなければリターンを得ることも難しいでしょう。ここでは適切な「リスクヘッジ」と「リスクテイク」の意味について不動産投資を例に解説していきます。
(本記事は2018/12/05配信のものを2020/07/28に更新しております)
そもそも不動産投資をはじめとするあらゆる投資を行う際には、不確定要素としてのリスクがあることを意識しておかなければなりません。なぜなら、どんなに綿密な計画を立てたとしても、すべて計画通りに進むということはあり得ないからです。事実、背景としての状況が変わることもあれば、思いもよらないトラブルが生じることも少なくありません。
例えば、不動産投資を行う際でも、「思いのほか入居者が獲得できなかった」「維持費が想定以上にかかってしまった」など、想定外の出来事は起こり得ます。それらは事前に予測できるものもあれば、予測できないものもあるでしょう。大切なのは、不確定要素があるという認識をもったうえで、状況に応じた対処ができるようにしておくことなのです。
不確定要素に対処するために重要なのは、「リスクヘッジ」と「リスクテイク」という発想です。どちらもリスクに関する言葉ではありますが、意味するところは明確に異なります。特に不動産投資の中でもここではマンション投資において、リスクヘッジとして何ができるのか、あるいはリスクテイクとして何ができるのかを考えておくことが、投資の安定性につながることでしょう。
リスクヘッジ(risk hedge)とは「危険防止策」を意味し、何らかの危険や損失を回避・軽減するための行動を指します。例えば、マンション投資といった不動産投資の場合であれば、空室リスクを回避・軽減するために好立地の物件を選択したり、震災リスクに備えて火災保険や地震保険に加入したり、エリアの異なる複数の物件を購入したりするなどが挙げられるでしょう。そのように、あらかじめリスクを想定し、回避・軽減するための行動がリスクヘッジです。
一方でリスクテイク(risk taking)とは、あえて危険性(損失が生じる可能性)があることを理解したうえでの行動を指します。あらゆる投資にいえることですが、一定のリスクがあることを加味しつつ投資を行わないと、リターンは得られません。その点、リスクテイクという発想は、リターンを得るために不可欠といえるでしょう。問題は、どれだけのリスクをとるかということです。
やみくもに大きなリスクをとってしまうと、損失もまた大きくなってしまいかねません。場合によっては、取り返しのつかない事態になってしまうこともあるでしょう。そうならないように、取れるリスクの許容範囲を確認し、不確定要素を回避・軽減できないか対応を検討しておくことが大切です。そのうえで、投資の目的やリターンの目標を明確にし、取れるリスクは積極的にとっていくことが求められます。
リスクヘッジとリスクテイクという考え方は、いずれも投資には欠かせないものとなります。不確定要素をそのまま放置するのではなく、「どのようなリスクを、どのくらいとるべきなのか」を判断し、投資していくことが大切です。
不確定要素を認識したうえで投資戦略を立てることが、最終的に投資の成功確率を高めることにつながるといえるでしょう。
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