マンション投資やアパート経営といった不動産投資を始めるにあたり、投資家が身に着けておくべき知識の1つに、「減価償却」があります。減価償却は、不動産投資の税金対策などにおいて、必要不可欠な知識と言っても過言ではありません。
また、減価償却は「言葉としては聞いたことがあるが、詳しくは理解していない」という方も多いでしょう。今回は改めて減価償却についての理解を深めていきましょう。
(本記事は2017/09/08配信のものを2020/08/03に更新しております)
一般的に「減価償却」とは、事業での税金計算における必要経費の1つです。
一般的にあらゆるモノは経年劣化します。税法における考え方では、時間の経過とともに固定資産を少しずつ利用するイメージで、毎年決まった資産減少相当分を経費計上していきます。これが「減価償却」です。
不動産における減価償却は、「物件の取得価格×耐用年数に応じた償却率」で計算しますが、建物(設備)だけに適用されます。土地は経年劣化しないため、減価償却がかからないというわけです。
次は、「取得価格」と「耐用年数」についてみていきましょう。
「取得価格」とは、その不動産の購入価格のことです。計算の際は、売買契約書に記載された価格を適用します。ところが、売買契約書が紛失されている場合や、契約書に土地と建物それぞれの価格が記載されていない場合があります。減価償却費は建物のみに課税されるため、これでは計算することができません。
土地と建物それぞれの価格がわからない場合は、不動産に対して課税される固定資産税の額をもとに計算します。たとえば以下の条件の場合の取得価格を計算してみましょう。
建物の固定資産税評価額が物件全体の37.5%(300÷800)のため、売買価格の2,000万円に37.5%をかけた750万円が取得価格となります。
不動産の耐用年数は次のように建物構造によって設定されています。
耐用年数はさらに細かく設定されており、国税庁のホームページから確認することができます。不動産の減価償却は、これら法定耐用年数の償却率にもとづき計算します。
マンション等で多い中古の不動産の場合は、「簡便法」という計算方法を使用します。
建築年数が前述の法定耐用年数をすべて超えている場合は「法定耐用年数×0.2」の計算式を用いて計算し、建築年数が法定耐用年数の一部を経過している場合は、以下の計算式を使います。
「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2」
たとえばRC造で築15年の場合、(47-15)+(15×0.2)=35年となり、この35年をもとに償却率が計算されます。
そのため、中古マンションは新築マンションよりも高い減価償却率が期待できる場合があります。つまり、減価償却を上手く活用すれば、税金を抑制することができるということです。
特にマンション投資などにおいて物件数を増やしていき不動産投資の規模が拡大してくると、税金対策がより重要になっていきます。良い物件の購入を決断して、収益が生み出せるようになったとしても、その分の税金が上がれば資産形成効果は下がってしまいます。
減価償却の仕組みをしっかりと理解して、余分な税金を払わずに資産運用を行うことが、賢い不動産投資法といえます。
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