不動産投資をする際、経費や利回り、ローンなどについて、事前に調べる人が多いようです。ROIやCCRなどは計算式も存在し、分析についてはさほど難しいことではありません。しかし、実際に不動産投資をはじめると、当初の予定通りにはいかないケースも少なくありません。綿密に分析している方でも、計画通りに進まないこともあるものです。
不動産投資には「デッドクロス」と呼ばれる状態が存在します。デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却額を上回っている状態です。帳簿上は黒字でも手元の資金不足や課税支払いなどで運用が苦難に陥るケースです。今回はデッドクロスの仕組みや対策について紹介していきます。
(本記事は2017/09/07配信のものを2020/06/10に更新しております)
不動産投資をはじめたら、確定申告をする必要があります。そのため、「経費(費用)」については把握しておく必要があるでしょう。
デットクロスを理解する上で、まずはローン返済額の元金部分と減価償却について解説します。
ローンで不動産を購入した場合、毎月、融資を返済していくことになります。返済する融資金額は元金部分と利息部分の合算金額となります。融資返済額のうちの利息部分とは違って、元金部分は借りていたお金を返済しているだけのお金なので、税法上、経費の対象になりません。支出は伴うのですが経費計上できないお金となります。
自動車や建物などは購入年度に一括で経費計上することはできません。各耐用年数に応じて、分割して経費計上していくことになります。不動産投資で減価償却の対象になるのは建物や設備などが該当します。例えばマンションの法定耐用年数は47年と定められています。
仮に建物が1,000万円だった場合、1,000万円を購入年度に経費計上するのではなく、47で割った金額を毎年、経費として参入していくことになります。支出は伴わないのですが経費計上し、利益を圧縮することが可能となります。
元利均等返済で融資を受けている場合、融資返済額の内の利息部分は徐々に減少していきます。逆に融資返済額の内、経費計上できない元金部分の支払いが増えていきます。
課税対象額は実際のキャッシュフローより多い→税金が多い
つまり、この状態をデットクロスと呼びます。
実際の現金(利益)は少ないにもかかわらず、帳簿上の利益は多くなり、所得税が過大にかかってしまう状態であり、税金を払うために持ち出しが発生してしまいます。
デットクロスに対応するには、
などがあります。
不動産投資の運用状況がどのような状態になっているのか、現金はどの程度プールできているのか。現状を常に把握することが不動産投資では重要といえるでしょう。
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