不動産投資ローン活用術(8)
頭金と不動産投資ローンの割合、繰り上げ返済といった返済額のコントロール。実はアパート経営やマンション投資といった不動産投資を行う上ではこれらがとても重要になります。借入金イコール早く返すべき、ではないこともあるためしっかりと試算しなくてはいけません。
不動産投資ローンにおいて月々の返済額を決める要素には、頭金、金利、融資期間(返済月数)、諸費用をローンに含めるか自己資金で賄うかなど、見るべきポイントがいくつかあります。なかでも「頭金」は自分でコントロールできる要素で、頭金の目安がわかれば不動産投資のスタート時期を早めたり、保有中のリスクを軽減したりすることが可能です。
また「繰り上げ返済」も頭金と同様に、資金計画において自分でコントロール可能な要素です。繰り上げ返済を効果的に行えば、資産形成を早めたり、月々の返済額を減額してリスクヘッジを行ったりすることが可能です。
頭金はどのくらい入れるべきか。繰り上げ返済はするべきか否か。実際にはどのような選択肢が効果的なのかをまとめて見ていきましょう。
(本記事は2017/10/10配信のものを2023/01/11に更新しております)
日本人の感覚では「借金は悪」という気持ちが強いと言われています。頭金をできるだけ多く入れて返済額を少なくしたい、金額が多いほど早く返して楽になりたいと思うのも仕方ありません。
ただし、不動産投資においては、ローンという「他人資本」を活用して自己資金を使わずに投資できることが魅力の一つです。また住宅ローンと違い、不動産投資ローンの返済原資は家賃収入、つまり「他人の資力」が大部分を占めます。早く返すことだけではなく、資産形成に役立てるという視点で考えると良いでしょう。
月々の返済額が少なくなることが挙げられます。例えば、2,000万円の物件を購入する際に金利2%、35年ローンという借入れ条件だとすると、頭金なしでローンを組むよりも頭金100万円で組むほうが、毎月の返済額は3,300円ほど減ります。
また、月々の返済額や総借入額が減ることから、金融機関の融資を受けやすくなるケースもあります。
ローン残債が多いほうが団体信用生命保険の恩恵をより受けられること、手元に資金を残しておくことで突発的な出費に対応しやすくなることが挙げられます。
現在の日本では超低金利時代が続いています。ここ数年は1%台で融資を受け、投資用マンションを購入できている人が多くいらっしゃいます。わざわざ高いリスクを取って高利回り物件を保有するのではなく、3.5%から4%の実質利回りで安定した賃貸経営を行うことを意識し、継続的に2%前後のイールドギャップを得ています。
加えて、2018年以降、一棟マンション・アパートに対する融資は厳しくなっています。一方で、20代・30代・40代の方がワンルームマンション投資を行うのであれば、フルローンや諸費用込みローンを利用できるケースが多くなっています。
このような状況下であれば、できるだけ少ない頭金、少ない自己資金でローンを活用して不動産投資を始めることが有力な選択肢となり得ます。また、後述するように、繰り上げ返済を念頭に資金計画を立てておけば、より柔軟な対応が可能となります。
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繰り上げ返済とは、当初の返済計画の途中で、余剰資金を元金返済にあてることです。元金を減らすことで利息が減り、結果的に総利息額を減らす効果があります。
繰り上げ返済の方法には次の2種類があります。
毎月の返済額は変更せずに、返済期間を短くする方法です。
例えば、2,000万円を金利2%、融資期間(返済期間)35年、元利均等返済で借入れしている場合、借入れから1年以内に期間短縮型の繰り上げ返済によって100万円の元金返済を行えば、返済期間を29ヶ月短縮させることができます。
返済期間を変更せずに、毎月の返済額を少なくする方法です。
期間短縮型の例と同条件の融資を受け、借入れから1年以内に返済額軽減型による繰り上げ返済を行った場合、返済期間は変わりませんが、毎月の返済額が3,300円ほど減らせる計算となります。
特に、返済額軽減型の繰り上げ返済は、毎月のキャッシュフローを改善する効果があります。金利が上昇して利息負担が大きくなった、家賃が低下し赤字になった、デットクロス期に入り税負担が重くなったなどのケースでは、繰り上げ返済は有効な手段の1つと言えます。
不動産投資は随時状況が変わっていくものです。長期的なスケジュールを組み立てて、その都度適切な対応をすることが重要です。
一方で、繰り上げ返済を行うことのデメリット、繰り上げ返済を進めるときの注意点についても考えてみましょう。
繰り上げ返済は通常、余剰資金で実施するものです。仮に金利2%の融資に対して100万円の繰り上げ返済する場合、100万円に対して支払っていた2%の利息の削減が可能となります。
もし、100万円を他の運用に充てることで2%以上のパフォーマンスが見込める場合、繰り上げ返済することにメリットはありません。100万円を他の不動産購入の初期費用に利用する、他の金融商品で運用するなど、現状の利息より高いパフォーマンスが見込める場合、繰り上げ返済することに経済的合理性はありません。
繰り上げ返済を行う際、「繰り上げ返済手数料」が発生するケースがあります。一部繰り上げ返済、全部繰り上げ返済、繰り上げ返済を行う時期などにより異なる設定の場合もあります。あらかじめローン選択時に確認しておきましょう。
不動産投資ローンは住宅ローンと違い手数料がかかる商品もまだまだ多いですが、最も好条件なケースでは繰り上げ返済手数料が無料、ネット上で「最低1万円から」繰り上げ返済が可能となっているものがあります。ローンの選択において自己資金や金利、融資期間、団信の保障内容はもちろん重要ですが、繰り上げ返済手数料という面でも比較検討しておくと良いでしょう。
繰り上げ返済は返済開始早期の元金が多く残っているタイミングで行うと、総支払利息の減少効果が大きくなります。ただし、後述しますが残債を残しておくことで得られるメリットもあります。どちらの効果を優先するか、バランス感覚を意識して繰り上げ返済を検討することが大切です。
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繰り上げ返済を行うと、頭金を入れたときのように毎月の返済額を減らすことが可能です。また、返済期間短縮型の繰り上げ返済を選択すれば、返済完了の時期を早めることができます。しかし一方で、繰り上げ返済をしないことにもメリットがあります。
不動産投資でローンを組む場合、団体信用生命保険(団信)に加入することができます。団信は、ローン残高(残債)が保険金額となるため、借入金額が多い状態を継続させるほうが生命保険としての効果を高められます。
定年を間近に控えた50代の方などは、期間短縮型での繰り上げ返済も検討の余地があります。20代や30代の方や子供がまだ小さい方などは、繰り上げ返済を行わず団信の効果をフル活用したほうが、不動産投資のメリットを最大限に享受できます。
ご自身の状況を考慮したうえで、繰り上げ返済をするかどうか選択しましょう。
住宅ローンにしても不動産投資ローンにしても、ローンを組んだら「月々の返済はいくらになるのか」が気になるところでしょう。ローン返済を毎月計画的に進めていくために復習しておきたいのが「ローンの返済方式」です。
ローンの返済方式には「元利均等方式」と「元金均等方式」の2種類があります。
毎月の返済額が一定金額に設定された返済方法です。
元金と利息の返済額が一定のため返済計画が立てやすく、返済開始当初の額が少なくて済むことです。
元金均等返済よりも総返済額が多くなる傾向があり、借入金の残高(元金)が減るのが遅いことです。
毎月の返済額のうち、元金の額が一定に設定された返済方法です。
元金均等返済のメリットは、返済が進むにつれて毎月の返済額が少なくなることと、元金の減少が早いため元利均等返済よりも総利息額が少ないことです。
返済開始当初の返済額が高いことです。
一般的に、返済方式は元利均等返済を選ぶケースがほとんどです。その理由としては、毎月の返済額を一定にすることで安定した資金計画を実現できるためです。また、先に述べたように、繰り上げ返済を活用すれば返済額軽減も可能です。あえて元金均等方式を選ぶ必要もないでしょう。
不動産投資を安定的に運営し、不動産投資のメリットであるレバレッジや団信を上手に活用できている人には次の物件へのステップチャンスもやってきます。手持ち資金を自己資金にして次の物件購入が視野に入ってきます。既に融資を受けているのに金融機関が貸してくれるはずがないと思うかも知れません。
しかし実務ではその逆です。手持ち資金をストックできている人への金融機関の信用は高く、この人なら次の物件への融資も大丈夫だと判断してもらいやすくなります。逆に繰り上げ返済は金融機関にとっては売上の減少につながります、決して歓迎されるわけではありません。
先ほどの例にあげたワンルームマンション投資で2,000万円の借入れを行ったケースで考えてみましょう。借入れから1年後に返済額軽減型で100万円の繰り上げ返済を行った場合は、毎月の返済額が3,300円ほど減らせる計算となります。手持ち資金は100万円減りますが、キャッシュフローはそれほど大きく変わらないうえ、繰り上げ返済によって団信の生命保険効果が薄れてしまいます。
しかし、この100万円から次の物件購入の諸費用を負担し、不動産投資ローンを組んでもう1件2,000万円の物件を購入すれば、団信の生命保険効果を持続させながら資産を増やすことができます。さらに複数物件を所有すればより安定した不動産投資を行うことができます。
【参考記事】区分マンション投資は複数物件に投資した方が安定する理由
もっとも借入金額は大きくなりますが、新たに購入した物件の家賃収入も加わります。自身のお給料や預貯金ではなく、入居者のお給料や預貯金から返済を進めていくことができるため、大きな負担を感じる必要はないでしょう。
先ほどの例にあるように、レバレッジ効果や団信の生命保険効果、さらには複数物件を所有するメリットを最大限活用することが、金利の低い今の時期の不動産投資ではとても重要になることがわかりました。
繰り上げ返済だけではなく、頭金にすべての手持ち資金を費やすのも得策ではありません。手持ち資金は突発的なトラブルへの対策金や次の物件購入の資金として捉えることが資産を順調に形成していく大きなポイントとなります。
借金の全てが悪なのではなく、良い借金と悪い借金があるということです。低金利時代に条件が良い不動産投資のための借入れは「良い借金」と捉え、賢明に活用していくと良いでしょう。
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