不動産投資ローン活用術(8)

効果あり??不動産投資ローンでの頭金や繰り上げ返済についてのまとめ

(写真= Smit_Shutterstock.com)
(写真= Smit_Shutterstock.com)
頭金と不動産投資ローンの割合、繰り上げ返済といった返済額のコントロール。実はアパート経営やマンション経営といった不動産投資を行う上ではこれらがとても重要になります。借金イコール早く返すべき、ではないこともあるためしっかりと試算しなくてはいけません。実際にはどのような選択肢が効果的であるのかをまとめて見ていきましょう。

(本記事は2017/10/10配信のものを2019/11/18に更新しております)

▼目次

  1. まず頭金は入れるべきか?
  2. 不動産投資ローンの返済方法
  3. 繰り上げ返済の2つの方法
  4. 繰り上げ返済を行うときの注意点は?
  5. 繰り上げ返済しないことのメリット
  6. 買い足しでさらにステップアップも可能
  7. 頭金に手持ち金すべてを使わない

まず頭金は入れるべきか?

頭金を入れることのメリットとしては、月々の返済額が少なくなることが挙げられます。例えば、2,000万円の物件を購入する際に金利2%、35年ローンという借入れ条件だとすると、頭金なしでローンを組むよりも頭金100万円で組むほうが、毎月の返済額は3,300円ほど減ります。

一方、頭金を入れないことのメリット(イコール頭金を入れることのデメリット)は、ローン残債が多いほうが団体信用生命保険の恩恵をより受けられること、手元に資金を残しておくことで突発的な出費に対応しやすくなることです。


日本人の感覚では「借金は悪」という気持ちが強いと言われています。頭金をできるだけ多く入れて返済額を少なくしたい、金額が多いほど早く返して楽になりたいと思うのも仕方ありません。ただし、不動産投資においてはローンという「他人資本」を活用し、自己資金を使わずに投資できることが魅力の一つです。早く返すことだけではなく、資産形成に役立てるという視点で考えると良いでしょう。

現在の日本では超低金利時代が続いています。ここ数年は1%台で融資を受け、投資用マンションを購入できている人が多くいらっしゃいます。4%や5%の利回りで賃貸経営できているのであれば、単純計算でもかなりのイールドギャップがあります。加えて、2018年以降、一棟マンション・アパートに対する融資は厳しくなっているとはいえ、20代・30代・40代の方がワンルームマンション投資を行うのであれば、フルローンや諸費用込みローンを利用できるケースが多くなっています。

このような状況下であれば、できるだけ頭金を少なくしてローンを活用することも有力な選択肢となり得ます。また、後述するように、繰り上げ返済を念頭に資金計画を立てておけば、より柔軟な対応が可能となります。

不動産投資ローンの返済方法

不動産投資ローンの返済方法には「元利均等方式」と「元金均等方式」の2種類があります。一般的な返済方法は毎月の返済額が一定となる「元利均等返済」です。

★元利均等返済とは

毎月の返済額が一定金額に設定された返済方法

1)元利均等返済のメリット

元金と利息の返済額が一定のため返済計画が立てやすく、返済開始当初の額が少なくて済むことです。

2)元利均等返済のデメリット

元金均等返済よりも総返済額が多くなる傾向があり、借入金の残高(元金)が減るのが遅いことです。

★元金均等返済とは

毎月の返済額のうち、元金の額が一定に設定された返済方法

1)元金均等返済のメリット

元金均等返済のメリットは、返済が進むにつれて毎月の返済額が少なくなることと、元金の減少が早いため元利均等返済よりも総利息額が少ないことです。

2)元金均等返済のデメリット

返済開始当初の返済額が高いことです。

繰り上げ返済とは当初の返済計画の途中で、余剰資金を元金返済にあてることです。元金を減らすことにより、利息を減らすことができますので、結果的に総利息額を減らす効果があります。

繰り上げ返済の2つの方法

繰り上げ返済の方法には次の2種類があります。

・期間短縮型

毎月の返済額は変更せずに返済期間を短くする方法

・返済額軽減型

返済期間を変更せずに毎月の返済額を低減する方法

繰り上げ返済は返済が開始されて数年以内の元金の多い時期に実行した方がより効果的です。元利均等返済を例にみてみましょう(利息は元金に対して発生するものなので、元金が多いタイミングで実施したほうが、総支払利息はより減少します)。

2,000万円を金利2%、35年ローンで借入れしている場合、借入れから1年以内に期間短縮型の繰り上げ返済によって100万円の元金返済を行えば、返済期間を29ヶ月短縮させることができます。

また、同じ条件で返済額軽減型による繰り上げ返済を行った場合は、返済期間は変わりませんが、毎月の返済額が3,300円ほど減らされる計算となります。

繰り上げ返済を行うときの注意点は?

では、繰り上げ返済を進めるときの注意点についても考えてみましょう。

・現時点で繰り上げ返済をする合理性はあるか?

繰り上げ返済は通常、余剰資金で実施するものです。仮に金利2%の融資に対して100万円の繰り上げ返済する場合、100万円に対して支払っていた2%の利息の削減が可能となります。

もし、100万円を他の運用に充てることで2%以上のパフォーマンスが見込める場合、繰り上げ返済することにメリットはありません。100万円を他の不動産購入の初期費用に利用する、他の金融商品で運用するなど、現状の利息より高いパフォーマンスが見込める場合、繰り上げ返済することに経済的合理性はありません。

・繰り上げ返済の手数料

また、繰り上げ返済を行う際の繰り上げ返済手数料は事前に確認しておきましょう。不動産投資ローンは住宅ローンと違い手数料がかかる商品もまだまだ多いですが、まれなケースでは手数料無料で最低1万円から繰り上げ返済が可能となっているものも出始めているようです。

不動産投資単体で考えた場合は毎月のキャッシュフローが赤字になってしまった場合、デットクロス期に入り、税負担が重くなってしまった場合、金利が上昇して利息負担が大きくなってしまった場合には繰り上げ返済は有効な手段の1つと言えます。

不動産投資は随時状況が変わっていくものです。長期的なスケジュールを組み立てて、その都度適切な対応をすることが重要なのです。

繰り上げ返済しないことのメリット

上述のように注意点にさえ気を付ければ、繰り上げ返済をした場合でも頭金を入れたときのように、毎月の返済額を減らすことが可能です。また、返済期間短縮型の繰り上げ返済を選択すれば、返済完了の時期を早めることができますが、その一方で、繰り上げ返済をしないことにもメリットがあります。

不動産投資でローンを組む場合、団体信用生命保険(団信)に加入することができます。この団信は、ローン残高が高いほうが生命保険としての効果が高くなります。

定年を間近に控えた50代の方などは、期間短縮形で繰り上げ返済を行うことを検討しても良いでしょう。しかし、20代や30代の方や子供がまだ小さい方などは繰り上げ返済を行わず、団信の効果をフル活用したほうが不動産投資のメリットを最大限に享受できます。

ご自身の状況を考慮したうえで、繰り上げ返済をするかどうか選択しましょう。

買い足しでさらにステップアップも可能

不動産投資を安定的に運営し、不動産投資のメリットであるレバレッジや団信を上手に活用できている人には次の物件へのステップチャンスもやってきます。手持ち資金を自己資金にして次の物件購入が視野に入ってきます。既に融資を受けているのに金融機関が貸してくれるはずがないと思うかも知れません。

・実際に金融機関から「信用が高い」状況とは

しかし実務ではその逆です。手持ち資金をストックできている人への金融機関の信用は高く、この人なら次の物件への融資も大丈夫だと判断してもらいやすくなります。逆に繰り上げ返済は金融機関にとっては売上の減少につながります、決して歓迎されるわけではありません。

先ほどの例にあげた2,000万円の借入れを行った不動産で考えてみましょう。借入れから1年後に返済額軽減型で100万円の繰り上げ返済を行った場合は、毎月の返済額が3,300円ほど減らせる計算となります。手持ち資金は100万円減りますが、キャッシュフローはそれほど大きく変わらないうえ、繰り上げ返済によって団信の生命保険効果が薄れてしまいます。

しかし、この100万円から次の物件購入の諸費用を負担し、不動産投資ローンを組んでもう1件2,000万円の物件を購入すれば、団信の生命保険効果を持続させながら資産を増やすことができます。さらに複数物件を所有すればより安定した不動産投資を行うことができます。

【参考記事】区分マンション投資は複数物件に投資した方が安定する理由

もっとも借入れ金額は大きくなりますが、新たに購入した物件の家賃収入も加わります。自身のお給料や預貯金ではなく、入居者のお給料や預貯金から返済を進めていくことができるため、大きな負担を感じる必要はないでしょう。

頭金に手持ち金すべてを使わない

先ほどの例にあるように、レバレッジ効果や団信の生命保険効果、さらには複数物件を所有するメリットを最大限活用することが、金利の低い今の時期の不動産投資ではとても重要になることがわかりました。

繰り上げ返済だけではなく、頭金にすべての手持ち資金を費やすのも得策ではありません。手持ち資金は突発的なトラブルへの対策金や次の物件購入の資金として捉えることが資産を順調に形成していく大きなポイントとなります。

借金の全てが悪なのではなく、良い借金と悪い借金があるということです。低金利に利回り等の条件がいい物件へ投資することへの借り入れは「良い借金」と捉え、賢明に活用していくようにしてみましょう。

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