不動産投資の魅力は、家賃による安定的な収入、諸々の管理は管理会社に任せっきりにできること、そして「生命保険代わり」になることです。そのため、日ごろ忙しくて時間のない会社員や公務員の副業として選ばれています。
不動産投資において投資用ローンを組むときに、融資の条件として挙げられるのが「団信(=団体信用生命保険)」です。万が一の事態に陥った場合はローンが完済される為、「生命保険代わりになる」と言われる程、投資家にとって頼りになるものです。そこで不動産投資を始める前にぜひ押さえてほしい、団信の基本について確認していきましょう。
団体信用生命保険とは
・内容
投資用ローンや住宅ローンを組んだ人が死亡したり所定の高度障害に陥ってしまったりした場合に、保険会社が金融機関に保険金を支払い、ローンを完済する仕組みとなっています。契約者はローンを提供する金融機関であり、被保険者(保険の対象となる人)はローンを組んだ人、保険金の受取り先も金融機関となります。
団信の保険料はローン金利に含まれているケースが多くなっています。団信の保険金額=ローン残高なので、ローン残高が少なくなるにつれて保険金額も右肩下がりに徐々に減っていきます。そして、ローンが完済された後は保障もなくなります。
・加入条件
加入条件は年齢制限、融資実行額に応じた保険金額の上限等各社で加入条件は異なるので注意が必要です。なお、加入時は健康状態の告知をする必要がありますので、健康状態が悪い場合は加入できない場合があります。
もし健康状態が理由で団信に加入できなかった場合は、ワイド団信という健康状態の条件が緩和されている保険があります。ただし、ワイド団信は加入しやすい分、保険会社にとってのリスクが高いため、保険料が高くなるのと同じように金利が上乗せされます。団信に加入する前に保障内容、お支払い事由等をきちんと確認してから契約を結びましょう。
・種類
いちばんシンプルなタイプは、死亡・高度障害の団信です。2000年頃まではどこの銀行でもこのタイプが出回っていましたが、2001年に日本で初めてがん保障付き団信が発売されて以来、どんどん団信の種類が進化しています。今では保障範囲が広い11疾病団信も登場しています。
団信の種類 |
保障内容 |
①団信(ベーシック) |
死亡・高度障害 |
②がん保障付き |
死亡・高度障害、がん |
③3大疾病保障付き |
死亡・高度障害、3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞) |
④7大(8大)疾病保障付き |
死亡・高度障害、3大疾病、高血圧性疾患、慢性腎不全、糖尿病、肝硬変、(慢性膵炎) |
⑤11疾病保障付き |
死亡・高度障害、8大疾病、大動脈瘤・解離、上皮内新生物、悪性黒色腫以外の皮膚がん |
⑥全疾病就業不能保障 |
けが・病気で就業不能状態が12か月以上続いた場合(精神疾患を除く) |
ほとんどの団信において、保険料は金利に含まれています。また、がん保障付き団信や3大~8大疾病保障付き団信でも金利上乗せなし~+0.1%ほどで付帯できるケースも多くなっています。
住宅ローンを組んでいる場合、ローンを返済するためには安定した収入が必要となりますが、がん等の重い病気になった時には、今まで通りに働いて安定した収入を得ることが難しくなるかもしれません。そんな時、保障範囲の広い団信に加入していれば、万が一重い病気にかかって働けなくなってもローンが完済できます。
また投資用ローンの場合、保障対象の病気にかかってしまった時には、家賃収入から返済に充てていた部分がまるまる手取り収入となるため、生活費や医療費を補うことができます。働けなくなり収入が途絶える期間に「不労所得」が得られるというのは非常に安心です。
ただし、取り扱いの銀行にもよりますが保障範囲が広がる団信タイプのほうが、金利の上乗せ分が多かったり、健康診断結果を提出する必要があったり等、健康状態も厳しく見られます。中には保障範囲が広いのに金利の上乗せが無いタイプの団信もありますが、その分保険金を支払わない免責期間があったり保険金支払い基準のハードルが高かったりと少し複雑なものもあります。
ローンを組む際はどうしても金利や手数料に目が行くので、上乗せが無いタイプはかなり魅力的に感じます。しかし支払い基準が厳しすぎては団信に加入する意味がないので、よく考えて団信の種類を考えましょう。
団信加入の注意点
融資条件として団信加入を挙げている銀行等では、投資用ローンの契約時に団信の申し込みをします。ここで注意しなければならないことが2つあります。
ひとつめは、健康状態の告知をする際は、ありのままの事実を伝えることです。もし病気を伏せて申し込みをした場合は「告知義務違反」に該当し、万が一の場合に保険金が支払われないことがあり、団信に加入した意味が無くなります。健康状態に不安のある方は事前に投資物件の担当者に相談しておきましょう。
ふたつめは、団信に加入した後では団信の種類を変えられないことです。例えば、初めは死亡・高度障害だけの団信だったのに、後から7大疾病付き団信に変更はできません。ローンを組む金融機関の団信について、加入条件を含め種類も何があるのか確認し、十分に納得してから加入するようにしましょう。
団信に入ると投資用物件が生命保険代わりになる
不動産投資でローンを組み、団信に加入した場合、死亡等の万が一の場合は団信によってローンが完済されます。この場合は家賃収入をローン返済にあてることがなくなるため、不動産を収益物件として家族に残すことができます。月々の家賃収入は残された家族の生活費とすることもできますし、物件を売却して死亡保険金のようにまとまった資金を手に入れることもできますので、まさに生命保険の代わりと言えます。
団信加入後は、既に加入している生命保険の見直しをするのもよいでしょう。ただし、団信に加入したからと言って、必ずしも生命保険を全て解約しても良いというわけではありません。生命保険商品によっては、加入予定の団信にはない医療保障が付帯されているケース、ローン返済と同時に保障が消滅する団信よりも保障期間が長く続くケースもあります。さらに税金面で言えば生命保険料控除の枠もあります。これらを総合的に検討したうえでの見直しをおすすめします。
【団体信用生命保険の基本についてのまとめ】
・団信はローン返済までの万が一の場合に備えた保険
・健康状態の告知は正確に!保障内容は後から変更できない
・団信加入後は生命保険の見直しがおすすめ
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