不動産投資ローン活用術(3)
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンを組んだ人が死亡、又は所定の高度障害状態に陥った際、ローンの残債を保険で完済してくれる仕組みです。
従来は、自分で住む住宅を買うためにローンを組んだ人に対し、融資元の金融機関が同保険への加入を義務付けてきました。現在はマンション経営やアパート経営といった不動産投資でローンを組んだ際も団体信用生命保険に加入するケースがほとんどです。自分に万が一のことがあった際、ローンの残債は保険で完済され、ご家族には融資のない不動産が残ります。不動産を引き継ぎ、毎月家賃収入を得ることも出来ますし、売却して資金を得ることも可能になります。
このような不動産投資ローン向けの団体信用生命保険(団信)に、死亡または所定の高度障害状態だけでなく、ガンをはじめとする11疾病に対する保障までセットになったタイプが近年人気を博しています。
(本記事は2017/12/06配信のものを2023/01/06に更新しております)
今回注目する団信の最大の魅力は、ガンであるとの診断が確定した時点で、残っているローンがすべて一括で弁済される点にあります(上皮内ガンや一部の皮膚ガンを除く)。重度の場合のみならず、初期段階(ステージ1の進行)であっても一括弁済の対象となるので、ローンの返済を気にせず治療に専念できるだけでなく、長期の休業や退職による収入減少をカバーすることができます。
また、ガン以外の8大疾病でも10種類の生活習慣病に対し、180日以上の入院を余儀なくされた時点で、残りのローンつまり残債が一括弁済となる保障があります。また、そのほかの病気やけがでも入院保障が支払われるケースもあります。厚生労働省の「患者調査の概況(平成26年)」によれば、入院患者の約3人に1人が生活習慣病の治療が目的であり、ここまで幅広い保障は頼もしい限りです。
今や日本人の2人に1人がガンを煩う時代です。完治したとしても就業復帰後に収入が減少する確率が50%に達すると言われているだけに、前述の保障は見逃せません。ただでさえ復帰後の生活には不安がつきものですから、あらかじめこのガン保障つき団体信用生命保険でリスクに対する備えを講じておきたいところです。
さらに特筆すべきは、同団体信用生命保険が通常のガン保険よりもローコストであること。これだけの手厚い保障がついていながら、現状では金利が0.1~0.15%ほどの上乗せだけの負担ですみます。
例えば、2,000万円のローン(返済期間35年、金利2.1%)を組んで物件を購入した場合、同時にこの団体信用生命保険に加入しても、月々の返済額はわずか1,000円の増加にとどまり、支払いは家賃収入から賄います。一般的なガン保険の保険料は月々2,000~3,000円で、保障額が50万~100万円程度ですから、違いは大きいと言えるでしょう。
その上先に述べたように、マンション経営といった不動産投資でのローンにおける団体信用生命保険の場合は、投資用マンションをご家族に残せます。月々にしてわずか1,000円の負担で資産と継続的なフロー(家賃収入)まで得られるわけですから、実質的な保障は契約上の金額をはるかに上回るものとなりそうです。
ただし、注意点もあります。過去にガンになったことがあると、この団体信用生命保険には加入できないのです。また、年齢制限として健康に不安が生じやすくなる50歳を超えると加入できないケースも多いです。病気に対してワイドな保障が受けられるだけに、一般的なものと比べるとどうしても年齢や健康状態に関するハードルが高くなります。
そういった意味でも、不動産投資はできるだけ若いうちから始めるのが理想的だと言えるでしょう。健康状態に関する不安の少ない20~30代ならガン保障のついた団体信用生命保険にも入りやすいことに加え、ローンの返済期間を長く設定できる、少ない自己資金で不動産投資を始められる、より多くの不動産を所有できる可能性が高まるなどのメリットがあり、手厚い保障を受けながら老後資金の準備を行うことができるのです。
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ガン保障つき団信は、ガンで闘病する間や復帰した後にとても心強く、家族にはもちろん、本人が生きているうちに効果を実感できるという点でも、通常の団信より優れているといえます。
不動産投資でローンを組むことに不安を抱く人は少なくないようですが、併せて団体信用生命保険にも加入すれば、これまで見てきたように様々な安心がプラスされます。特にガン保障のついた団体信用生命保険なら、一般的な生命保険や医療保険よりも割安なコスト負担で数々のメリットを享受できるのです。
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