資産形成・運用
2017/11/19

おつりやポイントでラクラク資産運用 簡単・身近なフィンテックサービス

(写真=Panchenko Vladimir/Shutterstock.com)
(写真=Panchenko Vladimir/Shutterstock.com)
「フィンテック」と言うと、アルゴリズムによる注文やAI・人工知能の活用など、どこか浮き世離れした印象を持っている人が多いかもしれません。あるいは、1日中株価チャートに張りついているネットトレーダーのことを連想する人もいるでしょう。

しかし、実際のフィンテックは一般の私たちに身近な存在です。今回は、暮らしに身近なフィンテックサービスを紹介するとともに、そうしたサービスが日本社会に与えるインパクトを考えます。
 

暮らしに入り込むフィンテックサービス


「フィンテック」とは、「金融:ファイナンス(Finance)」と「技術:テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語です。近年、ITを活用した金融サービスが次々登場する中で、金融知識が高くなくても使える気軽な投資サービスが増えています。

例えば、資産運用アプリの開発・運営を行うフィンテック企業、TORANOTEC(トラノテック)社が2017年8月にリリースした投資アプリ「トラノコ」は、買い物のおつりを自動的に投資へまわすサービスです。家計簿アプリの「マネーフォワード」や「Moneytree」などと連携し、蓄積された買い物データをトラノコに表示させて投資をはじめることができます。

また、クレジットカード会社のクレディセゾンでは、クレジットカードのポイント(永久不滅ポイント)を原資として運用するポイント運用サービスを2016年12月から開始しました。ポイント残高は、クレディセゾンのグループ会社のマネックス・セゾン・バンガード投資顧問株式会社が運用する投資信託の運用状況に応じて上下します。

このように、スマートフォンやクレジットカード、家計簿アプリなどを通じて、次々と金融サービスが登場しています。昔は、取引したければ毎回証券会社の営業担当者に電話をかけ、注文を依頼する必要があり、きわめて手間がかかりました。今では、タップやクリック一つで簡単に投資をスタートできる時代なのです。

フィンテックが「投資から貯蓄へ」を実現するか


フィンテックによって投資や資産運用が身近になることで、日本経済にも大きなインパクトを与える可能性があります。

そもそも、日本人は現金=円への信頼が強いと言われています。日本銀行が実施している資金循環統計によると、2017年3月末時点の家計資産残高約1,808兆円のうち、5割を超える約932兆円が現金・預金で占められています。現金・預金が全体の13.4%に過ぎないアメリカや、33.2%のユーロエリアに比べると、日本人の「現金志向」の高さが見て取れます。

家計がため込む現金を少しでも投資や消費に回せれば、日本経済にも勢いが出ます。932兆円のうち、1割の90兆円でも日本の国家予算に匹敵する額です。こう考えると、家計の現預金残高の規模の大きさが理解できるのではないでしょうか。

個人の投資志向を高めるためには、企業が株主に利益を還元する文化を築くことも必要となります。財務省の実施している平成28年度法人企業統計によれば、日本企業の内部留保(利益剰余金)は406兆円と過去最高を記録しました。内部留保は現金ではありませんが、企業が経営を安定させるために抱える自己資本です。増加させること自体は重要ですが、株主の満足度向上、ひいては経済活性化のために配当へ回すことも必要です。

かつて「村上ファンド」で一世を風靡した村上世彰氏は、著書『生涯投資家』の中で株主へ利益を還元することが重要と述べています。コーポレート・ガバナンスを浸透させ、株主を中心としたステークホルダーに利益を還元することで、市場に資金を還元させ、経済を活性化することができます。

身近なフィンテックによって、企業や消費者が資産運用に親しみ、投資アレルギーを克服することは、日本経済を動かす大きなうねりになるかもしれないのです。

フィンテックから長期的な資産運用へ


マイナス金利政策が続き、給与も伸び悩む中、銀行の普通預金だけでは資産が大きく増えることは考えにくい時代です。そんな中、長期的な視野で資産運用を続けることは、日本経済というマクロレベルだけではなく、個々の世帯にとってもメリットがあります。

もちろん、資産運用の過程で元金割れする可能性はあります。少額でリスクの少ない状態から、複数の銘柄・商品に対する分散的な投資を行うことが必要です。年齢を経てから、まとまった資金をいきなり特定の企業や商品に集中投資するのは避けた方が無難でしょう。

今回、紹介した身近なフィンテックサービスを通じて、少額の分散投資をはじめることができます。「投資の始め方が分からない」「投資はこわい」という方も、お手軽に資産運用できるサービスを利用して、金融や経済に興味を持ってみてはいかがでしょうか。

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