誰かに判断を委ねるのではなく、自ら責任をもって決断し行動する。そのようなスタンスが資産形成・資産運用においては欠かせません。「超高齢社会」「人生100年時代」といわれる現代において、年金や社会保障制度の見通しは決して明るい状況ではありません。もはや国の制度に頼るだけでは不十分で、老後資金準備は「自助努力」で用意すべきです。
ただし、老後資金準備に取り組もうにも、投資や資産形成・資産運用の知識がなければ、適切な行動をとることはできません。現在のように新型コロナウイルスの世界的流行による経済への影響が心配な状況であればこそ「まさに」と言えるでしょう。
また、損をしたくないからと、貯金をはじめとする元本保証の手法ばかりに偏ってしまうのも考えものです。元本割れしない、つまり元のお金が減らないということは、得られるリターンも限定的となってしまいます。
ここであらためて、リスクとリターンという観点から、元本保証と資産形成・運用の関係性について詳しく学んでいきましょう。
(本記事は2018/02/13配信のものを2021/11/01に更新しております)
公益財団法人生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、自らの老後生活に対して「不安感あり」と回答しているのは全体の84.4%となっています。つまり、8割以上の人々が老後生活に対して何らかの不安を抱えているのが実情です。
不安の内容を見ると、「公的年金だけでは不十分」が82.8%と最も多く、次いで「日常生活に支障が出る」が57.4%と半数以上、「退職金や企業年金だけでは不十分」が38.8%、および「自助努力による準備が不足する」が38.5%と3分の1以上の高い水準を示しています。このことからも、国の制度に任せているだけでなく、何かしなければならないという危機感の一端を垣間見ることができるでしょう。
元本保証とは、「元本」つまりあらかじめ投資したお金(元手)が保証されるタイプの投資です。「貯金」や「定期預金」などが最もわかりやすい例でしょう。これらの投資手法では、元本割れをすることがほぼありません。それこそ、金融機関が潰れてペイオフ(預金保険制度:1金融機関に対する預金額1,000万円及びその利息が保護される仕組み)の発動でもない限り、資産は守られることになるのです。
一方、株や投資信託はどうでしょうか。実際に投資をしている方はお分かりのように、株や投資信託の場合には、価格変動リスクや信用(デフォルト)リスクなど、投資する段階でリスクについての説明があります。つまり、元本割れをするリスクについて理解した上で、投資をしているということです。元本保証がないため、当然ながら元手が減る可能性もあります。
そう考えると、たとえわずかずつしか増えなかったとしても、元本保証がある投資に惹かれるのは自然なことかもしれません。
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ただし、一般的な貯金や定期預金では、相当な元手がなければお金は増えません。また事実、銀行金利には多くのゼロが並んでいます。そのため、いくら元本保証だからと言ってそのままにしておくと、元手がほとんど増えないまま、時間だけが過ぎていくということになりかねないのです。
またその他の元本保証がある投資として、「債券(国債、社債)」や「貯蓄型の保険」などもありますが、いずれにしても償還(≒満期)までの期間が長く、また現状の金利もそれほど高くないのが特徴です。手堅い手法ではありますが、投資する金額が多くないのであれば効果は限られています。
そもそも、投資の意義は「お金を働かせる」ことにあります。保有している資金をそのまま放置しておくのではなく、お金に働いてもらうことによって、資産を大きく増やすことができる可能性を秘めているのです。もちろん、投資商品にも種類があり、リスクが高いのか低いのかを見極める必要はありますが、リターンを求めるのであれば多少なりともリスクテイクが必要という点は肝に銘じておくべきでしょう。
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さらに、元本保証型の投資にはリスクもあります。たとえば社会情勢がインフレに向かった場合です。インフレ時には物価が高くなります。物価が高くなるということはつまり、お金の価値が下がるということです(日本の場合は円の価値)。このように、インフレになった場合を考えれば、現金を保有しているだけでは不十分であると分かるでしょう。
加えて、日本はすでに「超高齢社会」に突入しています。超高齢社会とは、65歳以上の人口が全人口の21%を超えた社会で、日本は2007年に仲間入りを果たしており、現状すでに年金制度や社会保障制度には無理が生じています。
2019年8月に厚生労働省が発表した「財政検証結果」を見てもわかるように、今後さらに年金の支給開始年齢が繰り下げられたり、「所得代替率(現役世代の所得をどのくらいカバーしているか)」が低下したりする可能性が高い状況です。ちなみに、この今後に関する予測は「脅し」でも「架空の話」でもなく、すでにヨーロッパ各国で「現実」となっている状況です。
たしかに元本保証は手堅いのですが、必ずしも将来の安心を得られるとは限りません。「生活保障に関する調査(令和元年度)」では、ゆとりある老後生活費(「老後の最低日常生活費」と「老後のゆとりのための上乗せ額」を合計した額)は、月額平均36.1万円。平成28年度調査の数値(34.9万円)より1.2万円増加しています。一方で、一般的な夫婦2人に支給される年金額は22.1万円。
この差を埋めるだけの資金を毎月捻出するとなると、リスクのある投資や資産運用はもちろん、資産形成つまり「継続してお金を生み出せる仕組みづくり」が大切になってきます。
少なくとも、何も行動しないことの方がリスク(何もしないリスク)であることは間違いないのです。
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