何割負担?知らないと損する医療費控除・高額療養費制度とは

(画像=Elnur/Shutterstock.com)
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「家族が入院して思ったよりもお金がかかってしまったが、医療費控除と高額療養費制度があったから助かりました。」
このように病気になってしまった際、思わぬ出費に苦労したという話をよく耳にします。病気になって治療に専念したくても、お金の心配があると治療に専念することができません。今回は、お金の心配を減らして治療に専念するために必要な、医療費の仕組みや医療費控除、高額療養費制度について説明していきます。

(本記事は2019/07/22配信のものを2019/12/05に更新しております)

▼目次

  1. 病気で入院・通院すると発生する「医療費」の仕組み
  2. 医療費を一定額以上支払った場合は「医療費控除」が受けられる
  3. 高額な医療費は「高額療養費制度」で払い戻しが受けられる
  4. 医療費控除と高額療養費制度の2つの注意点
  5. まとめ

病気で入院・通院すると発生する「医療費」の仕組み

医療費とは、病院での診察や治療、薬局での薬の購入といった、病気や怪我の治療に必要なお金のことです。 私たちは医療保険制度に加入していますので、実際に自己負担する医療費は1~3割で済みます。

医療費の自己負担の割合は年齢や所得に応じて、下記のように変化します。

  • 75歳以上の人は1割負担(現役並の所得がある場合は3割負担)
  • 70~74歳の人は2割負担(現役並の所得がある場合は3割負担)
  • 70歳未満の人は3割負担
  • 6歳未満(義務教育就学前)の人は2割負担

多くの方が当てはまるのが3割負担です。例えば、40代のサラリーマンの男性が病気になり病院で診察、治療を受けて薬を処方され、合計で1万円の医療費が発生した場合、自己負担する医療費は3割の3,000円となります。 これくらいの自己負担であれば、家計を圧迫することは少ないかもしれません。

ちなみに、2019年11月に政府は、現役世代並みの収入がないことを前提に後期高齢者つまり75歳以上の高齢者の医療費負担を現行の1割から2割へと2022年より引き上げる導入案を示したものの、その後解散総選挙への影響の懸念から法案提出を見送る可能性が浮上しているともいわれています。
(参照:2019/11/27 日経新聞 電子版「75歳以上の医療費、2割負担を検討~」

さてしかし、長期にわたる入院や通院が必要になった場合、数十万~数百万円といった大金の自己負担が必要となる場合もあります。大金の医療費の自己負担が発生した場合に、ぜひ知っておいていただきたいのが「医療費控除」と「高額療養費制度」です。

医療費を一定額以上支払った場合は「医療費控除」が受けられる

医療費控除とは、支払った医療費を所得から控除し課税所得を引き下げることで、還付金を受け取ることができる税制です。

1年間に家族全員でかかった医療費から保険などで補填される金額を引いたものが10万円を超える場合(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)、確定申告で控除が受けられます。控除できる金額は最大で200万円であり、家族とは「生計を共にする者」とされていますので、同居していない家族でも生計を共にしていれば含めることが可能です。

確定申告の際には「医療費控除の明細書」の提出が必要となり、原則としては医療費の領収書の提出は必要ありません。しかし、税務署から医療費の領収書の提出を求められる場合もありますので、5年経過するまでは自宅で保管しておきましょう。

・医療費控除の計算方法とは

医療費控除の計算方法は1年間の所得が200万円を超えるかどうかで変わってきます。

【所得が200万円以上の場合の計算方法】

 1年間にかかった医療費-保険などで補填される金額-10万円=医療費控除欄に記入できる金額

【所得が200万円未満の場合の計算方法】

 1年間にかかった医療費-保険などで補填される金額-所得の5%の金額=医療費控除欄に記入できる金額

例えば、40代の年間の所得が500万円のサラリーマン、妻と子供2人と同居中で1年間に家族合計で30万円の医療費が発生し、保険は適応されなかった場合をみてみましょう。この場合ですと、30万円の医療費から10万円を引いた金額の20万円を確定申告の医療費控除の欄に記載し、控除を受けることができます。

・医療費控除には対象になるものとならないものがある

注意が必要なのが、医療費控除には対象になる支払いと、対象にならない支払いがあることです。医療費控除の対象になるかを判断するには、「治療」と「予防」のどちらに該当するかを基準にしましょう。

治療目的であれば、病院での診察料や治療費、薬の処方代はもちろん、通院のための交通費や入院中の食事代も医療費に含めることができます。しかし、人間ドックやインフルエンザワクチン接種といった、予防目的で支払ったお金は医療費控除の対象にはなりません。

例外として、出産にかかる支払いは治療とは異なりますが、医療費控除に含めることができます。妊婦健診や通院のための交通費は医療費控除の対象ですが、里帰りのための交通費や入院食以外の食費は対象外です。

高額な医療費は「高額療養費制度」で払い戻しが受けられる

次に、高額療養費制度について説明していきます。正確には「高額療養費」ですが、「高額療養費制度」という言葉が一般です。高額療養費制度とは、1ヶ月にかかった医療費の内、一定額を越えた部分の金額が払い戻される公的医療保険の制度の一つです。

69歳以下の方が自己負担する上限額は、保険加入者の所得に応じ下記の計算方法で決定されます(70歳以上の方は、外来だけの上限額も設けられており計算方法が異なります)。

  • 年収約1,160万円~:上限金額=252,600円+(医療費-842,000)×1%
  • 年収約770万円~約1,160万円:上限金額=167,400円+(医療費-558,000)×1%
  • 年収約370万円~約770万円:上限金額=80,100円+(医療費-267,000)×1%
  • ~年収約370万円:57,600円
  • 住民税非課税者:35,400円

高額療養費制度は医療費控除と同様に、生計を共にする家族と合算することができるため、万が一家族が同時に入院することになった時にも利用できます。

高額療養費制度にも対象になる支払いと、対象にならない支払いがあります。対象となる支払いは、保険適応される診療に対しての支払いです。対象にならない支払いは、食事代、差額ベッド代、居住費、保険外の診療費などです。

医療費控除と高額療養費制度の2つの注意点

万が一の時の心強い味方である医療費控除と高額療養費制度。注意点が2つあり、1)申告・申請しないと使用できない、2)還付金や高額療養費の払い出しまで時間がかかる、ということです。

1)申告・申請しないと使用できない

医療費控除と高額療養費制度は同時に適応することも可能ですが、申請・申告しないとどちらも使えません。医療費控除は確定申告の際に「医療費控除の明細書」を提出、高額療養費制度は、自分が加入している健康保険の窓口で申請する必要があります。

2)還付金や高額療養費の払い出しまで時間がかかる

医療費控除の還付金は確定申告後1~2ヶ月後の振込であり、高額療養費の支給を受けられるのは、受診した月から少なくとも3ヶ月はみておかなければなりません。ただし、高額療養費は、あらかじめ加入している保険の窓口で「限度額適用認定証」を入手しておくことで、限度額以上の支払いをしなくてすみます。

また、限度額適用認定証を入手しておらず当面の医療費の支払いが困難になってしまった場合には、「高額療養費貸付制度」を利用しましょう。高額療養費貸付制度は、高額療養費制度で払い戻される金額の8割程度を借りることができる制度で、無利子なので安心して利用することができます。

まとめ

これまで解説したように医療費の仕組みや医療費控除、高額療養費制度について知っておけば、年末調整や確定申告でも漏れなく制度上の全ての税メリットを享受することができ、万が一の病気のときにも慌てずにすみます。ぜひ、頭の片隅にでも入れておいてください。

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