平成21年度に導入されたふるさと納税は来年で12年目を迎えます。総務省による「ふるさと納税における現況調査結果(令和元年度実施)」によると、平成30年度における住民税の控除適用者数(≒利用者数)は約400万人に達しており、広く認知された制度となってきていることがわかります。しかし、その内容を正確に理解している人はあまり多くないのではないでしょうか。この制度は地域貢献と節税を同時に行うことができるものであり、大いに活用する余地があります。
当メディア「マンション経営オンライン」では不動産投資を中心に述べることが多い中、今回は税金対策(節税)で有効な不動産投資と合わせて使うとより良いとされる「ふるさと納税」について注目してみたいと思います。
(本記事は2017/09/01配信のものを2020/04/26に更新しております)
ふるさと納税とは、都道府県・市区町村に対する寄附金のことです。納税という言葉を使っていますが、所得税、住民税、固定資産税とは異なり、納税義務者はいません。あくまで任意に寄附するものです。
ふるさとの定義はないため、生まれ故郷や親の出身地など何らかの縁のある地方自治体でなくても寄附できます。
寄附金は所得税・住民税から控除できるため節税効果もあります。平成30年度の寄附金総額は5,127億円ですが、それに対し3,265億円の控除が行われています。
寄附金控除を受けるためには、公益財団法人や社会福祉法人などへ寄附した場合と同様に確定申告を行う必要があります。ただし、確定申告を要さないサラリーマンといった給与所得者等は、「ワンストップ納税制度」を利用できます。これはふるさと納税先の地方自治体へ申請することにより寄附金控除をワンストップで受けられる仕組みで、何回ふるさと納税を行っても納税先数が5自治体以下であれば利用可能です。
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ふるさと納税制度は寄附金額に応じた返礼品の提供とセットで運営されています。各地方自治体は5千円、1万円、3万円などの寄附金区分ごとに複数の返礼品を用意しており、ほとんどの人が寄附時に希望する返礼品を申し込みます。
2017年4月の総務省通達により返礼品自体の上限額は寄附金額の3割程度に抑えられることになりましたが、それでも寄附金控除を活用すればさまざまな品物を安く手に入れられます。例えば、3万円のふるさと納税を行った際に上限の2万8千円の控除を受けられれば、実質2千円で1万円程度の返礼品を入手することが可能となります。
ふるさと納税と返礼品の申込みは各地方自治体宛に直接行うだけでなく、ふるさと納税専門の民間サイトを経由することも可能です。こうしたサイトを活用すれば全国の返礼品を容易に比較できます。
<ふるさと納税専門の民間サイト例>
・ふるさとチョイス
・さとふる
・ふるなび
・楽天ふるさと納税
寄附金控除を上手に活用すれば、実質2千円で多くの返礼品を受け取れます。例えば年収700万円の給与所得者(夫婦子なしの場合で所得税の限界税率は20%)が3万円のふるさと納税を行った場合は、以下の計算により2万8千円の税額控除を受けられます。
適用下限: 2,000円
所得税軽減額: 5,600円=(30,000円-2,000円)×20%(限界税率)
住民税/基本分: 2,800円=(30,000円-2,000円)×10%(住民税率)
住民税/特例分: 19,600円=(30,000円-2,000円) ×(100%-10%-20%)
合計: 30,000円
控除対象となる寄附金額には限度があります。所得税が総所得金額等の40%、個人住民税/基本分は総所得金額等の30%、住民税/特例分の軽減額は所得割額の20%が限度となります。
つまり実質2千円で返礼品を受け取れる寄附金上限額(返礼品の合計額)は、所得水準により変動します。
そうした中で総務省は、給与所得者に関する寄附金上限額の目安を一覧表にまとめ公表しています。例えば独身または共働きで給与所得が5百万円であれば6万1千円、夫婦と高校生の子ども1人で給与所得が7百万円であれば7万8千円が上限額となります。
ふるさと納税は地域貢献につながる政府公認の節税手段です。当メディアとしては、以下のオススメ記事にもあるように、税金対策には不動産投資もおすすめですが、返礼品を楽しめるふるさと納税も合せて効果的に活用しましょう。
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