マンション経営で「青色申告」ができるケースとできないケース

(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
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マンション経営で収入を得た場合、節税策として真っ先に思い浮かぶのが「青色申告」ではないでしょうか。メリットが多いといわれる青色申告ですが、その分、細かい要件を満たすことが求められます。今回は、青色申告ができるケースとできないケースについて紹介します。

青色申告制度とは

青色申告制度とは、一定の要件を満たした会計記帳を行い、その記帳に基づいて正しく申告をしている人に対して、所得金額の計算などにおいて白色申告よりも有利な扱いが受けられる制度のことをいいます。適正な記帳や帳簿・資料等の保存、申告納税を促すための制度です。青色申告の承認申請書を提出すると、主に次のようなメリットを享受できます。

●65万円あるいは10万円の青色申告特別控除
正規の簿記の原則による青色申告であり、かつ貸借対照表と損益計算書を法定申告期限内に提出したならば65万円、それ以外の方法による青色申告ならば10万円が、それぞれに特別控除として所得金額から差し引かれます。

●赤字が発生した場合の損失の繰越控除
ある年において損失が発生した場合、翌年以後3年間繰り越しをし、黒字が発生した年における所得と相殺することができます。

●赤字が発生した場合の損失の繰戻
ある年において損失が発生した場合、前年が黒字ならば、その黒字の年の所得に損失を繰戻して相殺し、前年分の所得の還付を受けることができます。

これ以外にも、「30万円未満の少額減価償却資産の特別償却(30万円未満の固定資産を全額経費計上できる)」「青色事業専従者給与(青色事業専従者となった家族への給与を経費計上できる)」といったメリットがあります。

青色申告が適用できるケースとは

ただし、青色申告制度は先述の通り、適正な会計記帳と申告納税を促すためのものであるため、誰でも受けられるわけではありません。要件を満たす必要があります。

●事業所得として申告できる規模
青色申告が適用できる所得は事業所得・不動産所得・山林所得だけです。マンション経営による収益ならば原則として不動産所得に該当します。不動産所得として青色申告のメリットを最大限享受できるかどうかは、その賃貸業務が事業として行われているかどうかによって異なります。事業規模の目安として国税庁が挙げているのが「5棟10室」というもの。具体的には次のような状況を指します。

1.貸間、アパート等については、賃貸できる独立した室数が10室以上であること
2.独立家屋の貸付については5棟以上であること

この要件を満たし、後述するもう一つの要件を満たせば青色申告のメリットを最大限享受できます。しかし、この要件を満たさない場合には青色申告で得られるメリットが少なくなります。

●正規の簿記の原則で会計記帳していること
また、青色申告特別控除を最大である65万円にしたいならば、正規の簿記の原則で会計記帳をしなくてはなりません。正規の簿記の原則とは、いわゆる複式簿記のことをいいます。この場合、家計簿やExcelなどでは作成できません。会計ソフトを導入し、日々の会計記帳を行えば自動的に複式簿記で記帳が行われるため、65万円の特別控除を受けたい人は会計ソフトを購入する必要があります。

なお、複式簿記で会計記帳を行っているかどうかの判断基準としては、次の資料になります。

1.提出する財務諸表は貸借対照表と損益計算書の2種類であること
2.手元に保管する帳簿類の中に総勘定元帳があること

青色申告ができないケースとは

逆にいうと、青色申告のメリットを受けたくても受けられない場合があります。次のような場合には、65万円ではなく10万円の青色申告特別控除の対象となります。

1.規模が小さいこと
具体的には5棟10室に満たない規模であることをいいます。

2.簡易簿記を行っていること
Excelや家計簿で記帳を行っている場合です。

また、民泊で所得を得た場合には、原則として「雑所得」に該当するため、青色申告の対象になりません。

国税庁 タックスアンサー「給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」

青色申告の適用を受けるための手続き

青色申告の適用を受けるためには、次の期間内に青色申告の承認申請書を所轄の税務署長に提出しなくてはなりません。

●その年の1月1日から1月15日までの間に開業する場合
その年の3月15日まで

●その年の1月16日以後に開業する場合
開業する日から2ヵ月以内

青色申告を行うかどうかで税金の額も大きく変わります。会計ソフトでの記帳もそれほど難しくはありません。不動産所得がある場合には、検討してみることがおすすめです。


鈴木 まゆ子

【プロフィール】
税理士鈴木まゆ子事務所代表。外国人のビザ業務を専業とする行政書士の夫と共に外国人の起業支援に従事する。国際相続などについての記事執筆にも取り組む。税金や金銭に絡む心理についても独自に研究中。

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