その差は歴然!現金と収益不動産における相続税の差をシミュレーションしてみよう

(写真=focal point/Shutterstock.com)
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一定の資産を保有している方は、「相続税」に注意が必要です。相続税とは、亡くなった人(被相続人)から財産を相続した人、つまり相続人に対して課税される税金のこと。例えば、現金や預貯金はもちろん、有価証券や貴金属・宝石、さらには土地や家屋なども相続税の対象となります。そのような資産がある方は、より多くの資産を次世代へ引き継ぐことができるよう、あらかじめ準備しておくべきでしょう。

ただし相続税は、事前にきちんと対応しておくことによって、節税することが可能となります。そのためには、相続税の仕組みについてきちんと知ったうえで、保有している資産をどのようにすれば相続税を減らせるのかを理解しておく必要があります。とくに、不動産投資によって賃貸経営をはじめることは、相続税対策として有効な手立てとなるのです。

相続税対策として優れている不動産投資

そもそも相続税額の計算は、相続税の対象となる資産の合計から債務などを差し引き、そこからさらに基礎控除を差し引いた後の金額(課税遺産総額)に対して、一定の税率をかけて求められます。相続税の基礎控除額は、「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」となります。また、相続税の税率は金額によって異なり、以下の速算表によって求められます。


※「相続税の税率」国税庁

ただし、現金や預金はその金額がそのまま相続財産の評価額になるのに対し、不動産の評価額は時価よりも低く評価されるのが一般的です。しかも賃貸に出されている不動産の場合、建物も土地も相続税の評価が低くなります。おおむね現金や預金と比べて約3分の1にまで評価が下がるのです。その結果、相続税の節税につながることとなります。

現金と収益不動産の相続税額を比較してみよう

では、具体的に、現金と収益不動産とで相続税額がどのくらい違うのかを比較してみましょう。相続財産の金額はともに1億円とし、子ども2人が相続人となる場合で考えてみます。それぞれの計算方法は次の通りです。

・ 現金・預金のみの場合

相続財産が現金・預金のみの場合、相続税評価額はそのまま1億円となります。ここから、基礎控除額である4,200万円を差し引いた金額、つまり5,800万円が課税遺産総額になるというわけです。

この課税遺産総額から、相続税の総額を計算します。相続税の総額は、各法定相続人が法定相続分を取得したものとして計算されます。このケースでは、子供2人はそれぞれ2,900万円ずつ相続することになるため、子供1人につき負担すべき相続税額は、2,900万円×15%-50万円=385万円、合計の相続税額は、385万円+385万円=770万円となります。

そして、法定相続分どおりに子供2人が財産を均等に分けた場合、相続人それぞれの負担額は子供1人につき395万円となります。また、法定相続分とは異なる割合で財産を分けた場合、相続人それぞれの負担額は、課税遺産総額のうち財産を受け取った割合に応じて算出されます。

・ 収益不動産を所有している場合

一方、収益不動産(賃貸に出している不動産)の場合はどうでしょうか。現金1億円でそのまま保有するのではなく、1億円で2,500万円の区分ワンルームマンションを4部屋購入したケースで考えてみます。

【条件】
・賃貸状況:満室
・路線価は1平方メートルあたり50万円
・マンション全体の建築面積は300平方メートル、土地の持分は2000/50000
・借地権割合は80%、借家権割合は30%
・小規模宅地等の特例を適用(貸付事業用宅地等に該当)
・マンション1部屋あたりの固定資産税評価額は300万円

まず、1部屋あたりの相続税評価額を、土地と建物に分けて計算します。

【土地】
路線価から土地部分の価格を求めると、50万円×(300平方メートル×2000/50000)=600万円
これに「貸家建付地の評価減」と賃貸状況を反映させると、600万円×(1-0.8×0.3×1)=456万
さらに小規模宅地等の特例を適用し、456万円×0.5=228万円
すなわち、1部屋あたりの土地の相続税評価額は、228万円となります。

【建物】
固定資産税評価額に賃貸状況を反映させると、300万円×(1-0.3×1)=210万円
すなわち、1部屋あたりの建物の相続税評価額は、210万円となります。

【土地+建物を合計した相続税評価額】
土地と建物を合計した1部屋あたりの相続税評価額は、228万円+210万円=438万円

したがって、4部屋合計の相続税評価額は、438万×4部屋=1,752万円となり、4部屋合計の相続税評価額が基礎控除額4,200万円を下回ります。そのため、課税遺産総額は0となり、相続税はかからないことになります。

・ なぜこれだけの違いが生じるのか

上記のケースでは、現金と収益不動産を比べると、課税遺産総額では4,048万円、相続税額では770万円も差が出ることがわかりました。課税遺産総額や相続税額にこれだけの違いが生じる理由は、すでに述べているように、そもそも不動産は現金などと比べて相続税評価額が低くなるためです(路線価や固定資産税評価額をもとにしているため)。

加えて、賃貸に出されている不動産の場合はとくに、土地に対する「小規模宅地等の特例」と「貸家建付地の評価減」、建物に対する「借家権割合による評価減」があるため、土地も建物も相続税評価額がより低くなります。その結果、相続税額に大きな違いが生じます。

税制を知れば相続に備えられる

このように、相続税の仕組みをあらかじめ知っていれば、相続税を節税することは可能です。相続税の課税対象となる場合、まとまった金額を納付しなければならないケースもあるため、きちんと対策をしていなければ、あとで困ることになりかねません。そうした事態にならないよう、相続税の税制について把握しておきつつ、不動産投資に着手してみましょう。資産を現金のままにしておくのではなく、収益不動産に変えて賃貸に出すだけで、相続税を減らせるケースも少なくありません。

もっとも、相続税の税制について知ることは、節税のためだけにとどまらず、いずれ訪れてしまう相続に備えるためでもあります。たとえ相続税の課税対象とならない場合であっても、相続に備えていなければ、財産について家族・親族が争う「争族(争続)」となってしまう可能性があります。相続への備えとして次世代のために「今」できることがあると、まずは知ることが大切です。

例えば、不動産投資を行う場合においても、相続税評価額の圧縮効果に着目するだけでなく、平等に分けられる不動産は何か、将来にわたって賃貸需要が見込め、資産であり続ける不動産は何かという視点にも着目すると良いでしょう。この点を考えてみると、都心のワンルームマンションは相続に備えるうえでも有効な選択肢の一つと言えます。

また、相続への備えとしては、誰にどれだけの財産をどのような形態で引き継ぐのか、判断能力があるうちに家族と相談して決めておくこと、遺言や家族信託といった形で明確にしておくことなども求められます。

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