投資用不動産を相続対策で使いたい「小規模宅地等の特例」とは

(写真=NESPIX/Shutterstock.com)
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マンションやアパートといった投資用不動産を相続した場合、悩みの種が税金です。一般的には、投資用不動産は高額であることが多く、その分相続税も高くなりがちです。だからこそ、ぜひ使いたい節税策があります。それは「小規模宅地等の特例」という制度です。ここでは、制度および特例適用対象外となる例外規定について解説します。

(本記事は2019/01/11配信のものを2019/12/09に更新しております)

▼目次

  1. 小規模宅地等の特例を使うと投資マンションの相続税を安くできる
  2. 「相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等」は特例適用対象外
  3. 小規模宅地等の特例が適用されるための必要条件とは
  4. まとめ

小規模宅地等の特例を使うと投資マンションの相続税を安くできる

・小規模宅地等の特例とは

「小規模宅地等の特例」という制度は、居住用や事業用の宅地を相続した場合、相続する親族の居住要件や事業経営要件を満たしたならば、評価額を80%減額することができるというものです。自宅の相続や個人の事業承継に伴う相続で使われることの多い制度だといえます。居住用宅地ならば330平米まで、特定事業用宅地ならば400平米までが特例の適用範囲です。

・賃貸用物件だと200平米まで評価額を50%軽減できる

実はこの小規模宅地等の特例という制度は、賃貸用物件である投資用不動産の相続にも使うことができます。小規模宅地等の特例の適用対象となる宅地の中には「貸付事業用宅地」というカテゴリがあり、投資用不動産の土地はこれに該当するのです。相続人がこの賃貸事業を引き継ぎ、申告期限までに賃貸事業の対象となる土地を所有し、事業を営んでいれば小規模宅地等の特例の適用を受けることができます

小規模宅地等の特例の適用を受けた場合には、マンションやアパートなどの投資用不動産の土地のうち200平米を上限に、土地の評価額が原則として50%減額されることになります。

「相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等」は特例適用対象外

ただし、マンションやアパートなどの賃貸用物件ならば何でもOKなわけではありません。次のような例外規定が2018年度税制改正で設けられました。

“貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等を除外する”

税制改正前、被相続人が亡くなる直前に分譲マンションを購入し、被相続人の親族が相続直後に売却するという事例が多発しました。この状況にストップをかけるべく、先述の税制改正でこの項目が設けられたのだといわれています。もちろん、上記規定で一刀両断してしまう訳にもいかないため、特例適用対象外の例外規定への例外、つまり「例外の例外」も以下ように定められています。

●例外の例外1:相続開始前3年を超えて賃貸しているなら特例適用OK

ただし、相続開始前3年を超えて賃貸経営をしていたようなケースの場合には、被相続人がもともとマジメに大家業をやっていたとみなされ、これまで通り小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

●例外の例外2:相続開始前3年以内の取得でも前から事業的規模で賃貸事業をしていたならOK

また、仮に相続開始前3年以内に賃貸用物件を購入し賃貸に出したとしても、3年より前から不動産の賃貸事業を事業的規模で営んでいた場合には、3年以内取得の賃貸用物件についても小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。なぜなら、税金を意図的に安くするためではなく、「もともと賃貸事業を本気でやっていた被相続人の新たな不動産の取得時期がたまたま相続開始前3年以内に過ぎなかった」と認められるからです。

なお、この場合にいう「事業的規模」とは、いわゆる「5棟10室(アパートなどの貸間なら10室以上、建物賃貸なら5棟以上)」を指します。

小規模宅地等の特例が適用されるための必要条件とは

小規模宅地等の特例の適用を受けて相続税を節税するためには、相続税の申告期限である「被相続人の死亡の日から10ヵ月以内」に遺産分割協議を行い、遺産分割を完了させておく必要があります。この分割が終わっていないと小規模宅地等の特例の適用は受けられません。ただし、未分割のまま相続税の申告を行ったとしても、その未分割の状態での申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出が必要です。

またもし、遺産分割が被相続人の死亡の日から10ヵ月経過後も完了していないケースであっても、相続税の申告期限から3年以内に完了すれば、更正の請求などで改めて小規模宅地等の適用を受けることができます。

まとめ

都市部などの地価の高いエリアにある不動産の相続では、この制度がおおいに役に立つはずです。ぜひこの機に頭に入れていただき、相続の準備としてできる限り早い段階からワンルームマンション投資などをしてみるといった対策を、具体的に検討してみるのはいかがでしょうか。
 

鈴木 まゆ子

【プロフィール】
税理士鈴木まゆ子事務所代表。外国人のビザ業務を専業とする行政書士の夫と共に外国人の起業支援に従事する。国際相続などについての記事執筆にも取り組む。税金や金銭に絡む心理についても独自に研究中。

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