不動産投資ローン活用術(6)
不動産投資では金融機関からの融資で投資をするケースが一般的です。融資を活用することで初期投資額を抑え、「レバレッジ」を活用することが不動産投資のメリットの1つと言うことができます。
融資(ローン)を活用した場合の不動産投資では、返済シミュレーションを事前に確認しておきましょう。融資返済額は毎月の支出の中で大きな割合を占めますので、返済金額の要素になる金利や返済期間を慎重に検討する必要があります。一見、融資において金利の高い、低いが最も重要に考える人も多いかもしれません。しかし毎月のキャッシュフローには融資期間(=返済期間)が非常に大きな影響を及ぼします。
では、不動産投資ローンにおける融資期間(=返済期間)はどれくらいの期間が適切なのでしょうか。そして融資期間はキャッシュフローにどのように影響しているのでしょうか。ここでは詳細を見てみましょう。
(本記事は2017/10/16配信のものを2023/01/09に更新しております)
毎月の資金の動きは、まず家賃が入り、そこから管理費や修繕積立金を支払い、融資の返済をする、という流れになります。返済金支払い後の残金が手残りになります。
物件価格2,000万円のワンルームマンションでは支出である管理費や修繕積立金が数千円から1万円程なのに対し、融資期間35年、金利2%で融資を組んだ場合でも、月々の返済額は6万6千円程になります。このことから、返済額は収支の大部分を占めていることがわかります。
月々の返済額は返済期間を長くすれば少なくなり、キャッシュフローは良くなりますが、返済期間が長いと、短い時より完済時の支払い総額は多くなります。ただし、現在のような低金利時には金利負担コストは少額となりますので、長期の融資を組んだほうが有利と言えます。
長期の融資を組んでキャッシュを先にストックすることが不動産投資においては1つのリスクヘッジにもなりえます。例えば月に1万円の手残りがあれば、1年で12万円、5年あれば60万円ストックされます。そうやって積み重なったストックは空室の際のテコ入れの原資になったり、次の不動産を購入する際の費用にしたりすることができます。
不動産投資ローンの融資を受ける際の金利と返済期間の関係をみてみます。仮に2,000万円の融資を元利均等方式で受け、金利2%で25年の融資期間に設定した場合、月々の返済額は84,770円となります。金利を0.5%下げると毎月の返済額は79,987円となり、4,783円安くなります。
一方で、金利を変えずに期間を30年と5年長くした場合、月々の返済額は73,923円となり、10,847円安くなります。さらに35年の融資を組んだ場合、月々の返済額は66,252円となり、融資期間が25年の場合より18,518円安くなります。
0.5%金利を下げるより融資期間を5年、10年と長くした時の方が毎月の返済額は少なくなります。特に低金利時はキャッシュフローの観点から考えると、金利より返済期間を重視すべきだということが分かります。
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融資返済期間は一般的には法定耐用年数に連動して設定されます。法定耐用年数は木造が22年、鉄骨造(厚さ4ミリメートル以上)が34年、鉄筋コンクリート造(RC造)は47年となります。なかでもRC造は頑丈な造りであることから、法定耐用年数以上の55年~60年を耐用年数と考えて不動産投資ローンの融資を判断する金融機関もあります。
金融機関により、融資期間にも特色がありますが、キャッシュフローを重視する場合はより長期間の融資の組める物件を購入した方が有利となります。
不動産投資において長期の融資期間を組むことで得られるメリットは、キャッシュフローに対してだけではありません。出口戦略においてもメリットを享受することができます。
仮にRC造の新築物件を35年の融資返済期間で購入していたとします。15年目で売却をした場合、法定耐用年数の47年で計算しても次の購入者は経過年数を引いた30年で返済期間を設定できる可能性があります。
さらに先ほど述べたようにRC造の耐用年数を55年と考える金融機関であれば、築20年で売却した場合でも35年の返済期間で不動産投資ローンを組める可能性が出てきます。もし木造であれば最長で7年しか設定できません。(金融機関により期間は異なります)
次の購入者も長期の融資を引くことができれば、キャッシュフローが出しやすくなることからも、売却の際には長期で融資の引けるRC造の物件の方が出口は想定しやすいかもしれません。
不動産投資をされる際は、金利ばかりに目が行きがちですが、構造や返済期間を考えることでキャッシュフローがよくなったり、出口戦略が組みやすくなったりするということを念頭に置いて検討すると良いでしょう。
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