全体最適が重要!現預金・証券・不動産での資産運用ポートフォリオとは

(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
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資産運用は「長期」で考えることが大切です。長期というのは5年~10年レベルの期間ではなく、20年、30年、さらには50年以上の期間を指します。逆に言えば、資産運用は「短期」で捉えていてもうまくいきにくいものです。なぜなら、短期間で運用成果を評価しようとすれば、どうしても一面的な判断になりがちだからです。

目先のわかりやすい結果に一喜一憂していると、そのときどきの状況に流されてしまいかねません。将来を見据えて「100年人生」のリスクに備えるために大切なのは、長期的な視野で時流を捉えて資産運用を行うこと、ひいては「全体最適」を考えることです。そうすれば、どのような運用方法が最適なのかが見えてきます。

ここでは全体最適することを前提とした「資産運用のポートフォリオ」について解説します。

(本記事は2018/12/12配信のものを2021/10/30に更新しております)

▼目次

  1. 投資判断には「虫の目」と「鳥の目」が必要
  2. 全体最適から考える「3つの資産形態」
  3. デメリットやリスクを補完するポートフォリオ

1. 投資判断には「虫の目」と「鳥の目」が必要

資産運用を短期で判断するのではなく、長期で判断することは、「虫の目」と「鳥の目」の違いでもあります。虫の目というのは、ある1点、とくに短期間での投資成果のことです。一方で鳥の目というのは、資産運用そのものを長期で捉え、全体として最適な資産運用であったかどうかを評価することです。

誰しも、現時点でどのくらい成果があがっているのか気になるものでしょう。一見すると成果があがっているようでも、実は成果があがっていないケースが多く見受けられます。短期間で安易に評価してしまうと「その方法論が正しいのか」「そうでないのか」を正確に判断できず、結果的に、さまざまな投資手法を右往左往している人は少なくありません。

したがって、資産運用を行ううえでは短期間での成果にとらわれず、長期的な視点を養うことが大切です。長期間で行うことを前提とした資産運用を俯瞰することにより「どのような投資によって将来的にどのような成果が得られるのか」が見えてきます。また、短期の成果で一喜一憂することがないため、全体を通して、より最適なポートフォリオを組むことにつながります。

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2. 全体最適から考える「3つの資産形態」

虫の目だけでなく、資産運用を鳥の目で把握できるようになると、どのような投資をどのように組み合わせていけばいいのか判断できます。その結果、導き出されるのがその人に最適なポートフォリオです。個々人によって最適なポートフォリオは異なるものの、代表的な手法としては、次のような資産運用を組み合わせるのが一般的となります。

2-1. 預貯金(現金)の特徴、役割

定期預金をはじめとする預貯金は、もっともポピュラーな資産形成法といえるかもしれません。昨今は低金利が続き、以前のように定期預金では資産を大きく増やせなくなっています。とはいえ、預貯金はそのままの状態にしている限り残高が減ることはなく、安全な資産と考える方も多いでしょう。

しかし実のところ、預貯金には「インフレリスク」があります。インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの価値が持続的に上昇する経済現象のことで、同時に貨幣の相対的価値が減少すること(通貨膨張)を意味します。

現在の日本においては、インフレを目標とした「アベノミクス」が掲げられ、日銀により金融緩和政策が続けられています。このような状況下では、預貯金で資産を保有していると、知らず知らずのうちに資産が目減りしてしまう可能性が高くなります。そのため、長期的な視野で資産運用を考えた場合には、現金だけで備えることが必ずしもベストな選択とはいえません

また、日本におけるインフレの懸念が強い場合には、日本円で預金するのではなく「外貨預金」という選択肢もあります。外貨預金はインフレに強いと言われていますが、その反面つねに「為替変動リスク」にさらされることを認識する必要があります。

ただし、目先に必要となる資金、突発的に何かあった場合に備える資金を預貯金で保有しておくことは大切です。たとえば、病気やケガにより休職する場合の生活費、転職活動時に収入がストップする期間の生活費などを想定して預貯金で備えれば、いざというときに柔軟な対応が可能です。目安としては、半年分から1年分の生活費に相当する金額を普通預金で保有しておくと良いでしょう。

2-2. 証券の特徴、役割

換金性ということでいえば、株式や投資信託、債券などの証券は、現金の次に柔軟性がある資産となります。運用しつつ、お金が必要になったときに売却することで、流動性のある資産を保有することが可能です。また、一般に株式はインフレ状況下において連動して価格が上昇して価値が維持されるため、現金で保有するよりもインフレに強いといえます。

ただし、証券の中でも単一銘柄の株式については経済状況に応じて価格が上下し、最悪の場合には"紙切れ"になってしまう可能性もあります。そのため、リスクを見極めて投資することが大切です。とくに、大きいリターンを狙ってリスクの高い銘柄に投資したい場合には、他の投資も含めてポートフォリオを綿密に検討したり、余剰資金で運用したりするなど、リスクを十分に見込んで保有する必要があります。柔軟性が高い一方で、リスクも高い資産といえるでしょう。

また、証券は種類や銘柄によってインフレに強いものと弱いものがあります。そのため、長期的な視野で資産形成を行いたい場合には注意が必要です。たとえば、一般に株式は長期的に保有するのであればインフレに強い傾向があり、債券はインフレに弱い傾向があります。

2-3. 不動産の特徴、役割

では、不動産の場合はどうでしょうか。不動産は、現金や証券とは異なり、資産の流動性はそれほど高くありません。なぜなら、いざ売却しようと考えても、すぐに買い手がつくとは限らないからです。ただし、物件のタイプによって流動性は大きく異なります。たとえば、一般に都心の区分マンションは一棟物件よりも流動性が高くなっています。

一方で、現物資産としての安定性は非常に高いといえるでしょう。証券のように"紙切れ"になってしまうこともなければ、リーマンショック級の不況下でも家賃が急落したケースは見受けられません。ただし、不動産のなかには、収益を生まないばかりか固定資産税や維持管理費用を支払い続けるだけの"負"動産も少なからず存在しています。不動産で資産形成を行う場合には、将来にわたる資産価値をしっかり見極めることが大切です。

また、不動産はインフレに強い資産という点も魅力です。不動産は現物資産であることから、一般にインフレ時には物件価格が上昇することで、不動産の実質的な資産価値は目減りせずに維持されます。加えて、融資を受けて不動産を購入すれば、インフレ時に物件価格が上昇する一方で、ローン残高は変化せず「借入金の棒引き」状態が発生します。資産自体がインフレに強いだけでなく、融資を活用することでインフレを逆手にとって「純資産」を増やせる点でも、長期的な資産形成に最適な資産といえます。

さらに、相続時には一般に実勢価格の3分の1程度の相続税評価額となるため、預貯金や証券で保有するよりも相続税が少なくなり、より多くの資産を次世代へ引き継げる可能性が高まります。

3. デメリットやリスクを補完するポートフォリオ

このように、預貯金(現金)、証券、不動産というのは、それぞれ特徴があります。大切なのは、 それぞれの資産形態のメリット・デメリット・リスクを把握し、各資産がお互いにデメリットやリスクを補完できるよう、バランス良く資産を保有することです。

そして、年齢や家族構成、収入などといった個々人の状況を考慮して資産形態を選択すれば、自分にとって最適なポートフォリオを組むことができます。あらためて現在の資産状況を確認したうえで、どのようなバランスが最適なのか、ぜひ検討してみてください。

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