アメリカへの不動産投資 まず知っておきたい7つの重要ポイント

(写真=alexmisu/Shutterstock.com)
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「貯蓄から投資へ」「貯蓄から資産形成へ」というのがここ数年の金融機関の合言葉になっています。投資先の1つに不動産がありますが、リスクを抑えるために間接的な不動産投資信託(REIT:リート)か、あるいは国内不動産への直接の投資を考える人が多いと思われます。

ところで、近年アメリカの不動産投資が話題になっており、投資対象としてはどうなのか?と気になっている方もいることでしょう。アメリカの不動産投資には、いくつか(日本にはない)メリットがある一方で、国内不動産への投資とは異なる特徴があり、注意しなければならない点もあります。今回は、そうしたメリットや特徴・注意点といったまず知っておきたい7つのポイントについて紹介します。

(本記事は2017/10/19配信のものを2019/12/16に更新しております)

▼目次

  1. アメリカへの不動産投資は狙い目か?
  2. アメリカ不動産は歴史ある建物も価値が落ちにくい
  3. 不動産投資としての「うまみ」と「ハードル」を理解すべし
  4. まとめ:実際はプロ向けに近い投資手法

1. アメリカへの不動産投資は狙い目か?

富裕層や企業経営者を中心に、海外への不動産投資が増えているとされています。特に、先進諸国の中で安定した経済成長を見せているアメリカへの不動産投資は一つの有望な投資先とされています。

ポイント1:今後のアメリカの人口推移はどうなる?

アメリカでは今後も1%弱の人口増加が続くと考えられています。総務省統計局の「世界の統計2019」によると、アメリカの人口は2010年には約3億1,000万人ですが、2050年には3億9,000万人近くにまで達するとされています。

ただしこれはアメリカへの移民流入を前提とした推計となっており、移民がない場合では現状とほぼ同等の人口が維持されるという見通しです。トランプ政権は移民流入に否定的な政策を掲げていますので人口増加に歯止めがかかる可能性もあります。今後の動向を注視する必要があるでしょう。

ポイント2:アメリカの経済成長率と不動産価格の動向

また、経済成長率も堅調です。こちらは人口とは違って長期的な推測が難しいのですが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングによれば、2020年代に入ってもアメリカの潜在成長率は2%程度が続くということです。

不動産価格も上昇しています。全米の不動産価格の推移を示す指標に「S&Pケースシラー全米住宅価格指数」がありますが、2000年1月を100とすると2012年2月時点で134.00、2019年8月時点で212.06となっており、リーマンショックの後には一度大きく下落したものの、その後持ち直して現在はリーマンショック前を上回るほどになっています。

ポイント3:アメリカの中でも特に注目の地域とは

アメリカと一口に言っても地域差がありますので、投資する地域を慎重に選びたいところです。アメリカの中でも、西海岸の不動産価格の伸びが顕著です。「S&Pケースシラー サンフランシスコ住宅価格指数」は2019年8月時点で268.81と、全米より50以上大きな伸びを見せており、あえて不動産市場に勢いのある地域を一つ絞るとしたら、西海岸となります

以上の事実を踏まえると、富裕層がアメリカの不動産に投資したくなるのも不思議ではありません。日本でお金を余らせている方にとってはアメリカへの不動産投資も一つの選択肢であると考えられます。

2. アメリカ不動産は歴史ある建物も価値が落ちにくい

不動産市場が伸びているだけではなく、アメリカの不動産(特に中古物件)の特徴も投資するうえでの大きなメリットになっています。その特徴とは、古い建物でも価値が落ちにくいということです。しかも、日本の減価償却の仕組みを利用すると、大きな節税効果を発揮することもあります。

ポイント4:なぜ価値が落ちにくいのか

アメリカでは、中古物件の資産価値が落ちにくい傾向にあります。アメリカでは新築物件が少なく、大半が中古物件です。築数十年から100年を超えるような建物でも、リフォームや修繕を繰り返して長持ちします。ちなみに日本でも長期優良住宅認定制度の創設や既存住宅流通の住宅ストック活用型市場への転換をはかるなど、これまでより中古物件を活用していく方向に舵を切っており、アメリカのように中古物件をうまく活用できている例は参考になるでしょう。

ポイント5:特徴を活かした日本での節税スキームとは

このようなアメリカの「中古物件の資産価値が落ちにくい」という特徴が、日本での確定申告を行う際に活かされる場合があります。

一例として、木造建築を取り上げてみましょう。日本では、木造建築の減価償却期間は22年間で、それ以上(法定耐用年数以上)の住宅を購入した場合は4年間での減価償却(加速度償却)が認められています。減価償却期間が短いことで毎年の課税所得が大きく圧縮され、結果として節税につながるのです。

節税できたところで、資産価値がなくなってしまっては元も子もありませんが、アメリカの中古物件であればそのようなリスクは低くなります。先に述べたとおり中古住宅の資産価値が高いアメリカでは、資産価値が下がりにくいどころか上昇することすらあります。

このように、節税+キャピタルゲインを狙えるのも、アメリカ不動産投資の魅力なのです。

3. 不動産投資としての「うまみ」と「ハードル」を理解すべし

アメリカは、今後も人口・経済・不動産市場が成長すると見込まれる国です。そのため節税効果も含めて不動産投資として「うまみ」を感じる富裕層が投資リソースを投じています。

ポイント6:外国だからこそのハードルの高さ

ただ外国の不動産投資となると、言語や制度などが日本と異なるため、ハードルを感じる方も多いでしょう。特に心配な点としては、不動産を購入した後の管理をどうするのかという問題です。現地の管理会社とのコミュニケーションがうまく取れるか、入居後のトラブル等にしっかり対応できる管理会社を見つけられるかという点に注意が必要です。

ポイント7:節税するにも税制の異なる両国での手続きが必要

また、節税効果がある一方で、確定申告や納税など、税金に関する手続きをアメリカと日本の両方で行わなければならないという点も大きいでしょう。アメリカの税制は日本よりも複雑といわれます。両方の国の税制に詳しい税理士を見つけるのは、かなり困難なことと予想されます。

4. まとめ:実際はプロ向けに近い投資手法

結論、アメリカへの不動産投資は今後の期待感もありますが、どちらかというと実際はプロ向けの投資といえるでしょう。今回ご紹介した内容をふまえ、都心部のように需要が堅調な地域の国内不動産投資など他の投資方法を主軸にしながら、それでもお金に余裕があれば検討してみるのが良いでしょう。

 

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