賃貸物件を借りる際、連帯保証人を求められることが一般的ですが、近年では連帯保証人ではなく保証会社を利用するケースが増えています。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査によると、保証会社の利用は年々増えており、平成26年時点で約6割の入居者が保証会社を利用しています。
このように多くの入居者が利用している保証会社ですが、入居者だけでなくオーナーにとっても強い味方となってくれるため、マンション経営・アパート経営といった不動産投資には欠かせない存在となっています。今回は保証会社を活用するメリットについて説明します。
(本記事は2018/01/12配信のものを2020/06/03に更新しております)
保証会社とは、賃貸借契約における連帯保証人を代行してくれる会社です。家賃保証会社、賃貸保証会社とも呼ばれます。主に賃貸管理会社があらかじめ保証会社と保証契約を締結し、保証会社と借主(入居者)は入居時に保証委託契約を締結します。
連帯保証人を立てられないからといって部屋を借りられないのでは入居者は困ってしまいます。そのような場合に入居者は保証会社に依頼し、連帯保証人の立場を受け持ってもらいます。
一般的には保証会社を利用する場合、初回保証料として家賃の0.5か月分~1か月分を入居者が負担します。また最近では、以下のような支払い契約パターンが比較的多いといわれています。(※マンション経営オンライン編集部調べ)
一括支払い型 | 毎年支払い型 | 毎月支払い型 | |
初回保証委託料 | 家賃80%前後 | 家賃50%前後 | なし~家賃50% |
更新料 | なし | 家賃10%~1万円/年 | 家賃1%~1000円程/月 |
入居者が保証会社を利用すると、オーナーに対しては家賃をはじめとした様々な債務が保証されます。保証会社の具体的な保証内容は次のようなものです。
その他にも更新料、早期解約の違約金などの立て替えを行ってくれる保証会社もあるようです。
入居申し込みの際、保証会社にて所定の入居審査を行い、保証可能かどうか判断されます。また、オーナー側はこれを入居者の信用力の判断材料とすることができます。
連帯保証人の代わりに保証会社を利用すれば、入居者はオーナーに対しての信用力を得て、問題なく部屋を借りることができるのです。また連帯保証人の書類や署名を取得する必要がなくなる分、契約手続きがスムーズになる点もメリットです。
オーナーにとって保証会社を活用する最も大きなメリットは、入居対象者を増やすことができるという点にあります。
一般的に賃貸物件を借りるときには、親や兄弟、親族などを連帯保証人に設定し、連帯保証人は入居者と連帯して家賃等の支払いに責任をもつこととなります。しかし近年、高齢者や外国籍などをはじめ、単身者の中には連帯保証人を立てられないケースが増えてきています。また親族がいても連帯保証人を頼みづらいという単身者も見受けられます。
このような単身者を入居対象とすることができるのは、マンション経営やアパート経営において非常に重要なポイントです。今後、単身世帯の増加が予想される社会状況を考えると、保証会社を活用していくことを避けては通れないでしょう。
2020年4月1月施行の改正民法によって、これまで明確でなかった連帯保証人の保証範囲について「極度額」を設定し契約書に記載することが定められました。そのことによって、今後は連帯保証人を設定する都度に保証金額を設定する必要が出てきてしまうその煩雑さを回避する目的からも、これまで以上に保証会社の利用が増える傾向になるのではないかとも予想されます。
参照:国土交通省「賃貸住宅標準契約書について」
オーナーとして積極的に保証会社を活用したい場合には、賃貸管理会社で扱っている保証会社を確認してみましょう。入居者からも認知度の高い信販系の保証会社であれば、入居者にとってもオーナーにとっても安心感が高く、かつ保証内容が手厚い傾向にあります。このような保証会社であればオーナーの強い味方となってくれることでしょう。
なお業界団体「家賃債務保証事業者協議会」に加盟している保証会社は50社ほどですが、国土交通省の調査によると日本全国で100社以上の保証会社があり、従業員10人以下の小規模な業者も多くなっています。なかには入居者とトラブルになっている会社もあるようです。
このような状況を受け、国土交通省は「家賃債務保証業者登録制度」を創設し、平成29年10月より制度がスタートしています。財産的基礎や内部体制が整っている会社が登録申請することができ、登録を受けた会社は、消費者契約法に反する契約の制限、契約締結時の重要事項説明や書面交付、帳簿の備付け、財産の分別管理などのルールを遵守する必要があります。まだスタートしたばかりの制度ですが、今後は保証会社の判断材料の一つになると考えられるでしょう。
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