不動産投資は、大きく分類すると「区分マンション投資」と「一棟投資」に分けることができます。区分マンション投資とは、マンション全体のうち、いずれかの部屋(1室)に対して投資する手法のことです。一方、一棟投資とはマンションやアパート全体に対して投資する手法となります。
このうち区分マンション投資は投資金額が比較的少なく、初心者でもはじめやすいのが特徴です。また、部屋単位の投資ができることから、複数の部屋を所有したり、別の建物の部屋を所有したりすることで、リスク分散をしやすいメリットがあります。
さらに、マンションを一部だけ所有するという区分マンションの特性上、管理の手間も1棟マンションより少なくなります。こうしたメリットがあることから、区分マンション投資は会社員や公務員といったサラリーマンや、士業の方など本職が忙しい方をはじめ、多くの人々に選ばれ続けています。
今回は区分マンションに投資するうえで知っておきたい「管理組合」と「管理規約」について見ていきます。
(本記事は2018/10/29配信のものを2020/06/30に更新しております)
不動産投資をはじめるにあたり、区分マンションに投資すべきか、一棟物件に投資すべきか迷う方も多いと思われます。区分マンションと一棟物件との最も大きな違いは、部屋ごとを所有するのか、一棟丸ごと所有するのかという点です。部屋ごとに所有者が存在する区分マンションでは、建物内において権利関係が発生します。この権利関係を整理し、所有者間の関係や建物の維持管理が円滑に進むように、「管理組合」と「管理規約」が存在しています。
「管理組合」と「管理規約」について知ることには、2つのメリットがあります。
一つは、マンションの所有者間や居住者間の関係性を理解することができ、所有者として適切に行動できる可能性が高まります。もう一つは、管理費や修繕積立金などへの理解が深まり、より投資効果を実感することができます。
では、区分マンション投資を行う方が知っておきたい管理組合および管理規約の基本について、あらためて確認しておきましょう。ポイントは次の通りです。
そもそも管理組合とは、分譲マンションの区分所有者全員で構成する団体のことです。具体的な内容としては、建物全体や敷地、さらには附属施設(駐車場、自転車置き場、ゴミ集積所、街灯、植樹、集会所、管理事務所など)の管理運営を行うために構成されます。組合員は、定期的に開かれる総会で意思決定をし、さまざまなルールを定めることが一般的です。意思決定をスムーズに行うことができるよう、区分所有者の代表として理事を選出し、理事会が設けられることもあります。
管理組合について、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)第3条では「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」と規定されています。なお、区分所有者は希望する・しないに関わらず、管理組合の一員として扱われます。
また、管理組合の運営を円滑に進められるよう、建物管理会社に管理業務を委託することが一般的です。委託する業務としては、共用部分の清掃など日常的なメンテナンスはもちろん、管理費や修繕積立金の徴収、建物全体の価値を維持するための大規模修繕の長期計画・実行などが挙げられます。専門的な知見が必要となる管理業務を間違いなく執り行うために建物管理会社に委託すれば、区分所有者は手間をかける必要がなく、精神的負担を感じることも少ないでしょう。
一方、管理規約とは何でしょうか。管理規約とは、マンション全体の管理運営や使用に関するルール、区分所有者どうしの関係について規定するものです。区分所有法第30条(規約事項)に、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分
このように管理組合および管理規約は、一つの建物に対して複数の区分所有者が存在することを念頭に、区分所有法において定められているものです。管理組合や管理規約があることを知り、それらがなぜ設けられているのかも把握しておけば、他の区分所有者をはじめマンションに関わる人々との良好な関係構築が可能となります。そうすることで、区分マンション投資において必要な対応もスムーズに行える可能性が高まることでしょう。
マンションをはじめとする不動産を購入する際、法律や税金について勉強する人は少なくありません。ただ、一方でマンション特有の管理組合や管理規約があることも知っておかなければ、必要な対応ができない可能性もあります。そうした事態にならないよう、管理組合および管理規約についての理解を深めていきましょう。
【あなたにオススメの“管理系”人気記事トップ5】