購入後の不動産管理手数料は?不動産投資の委託管理業務と会社選びのコツ

(写真=chombosan_Shutterstock.com)
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不動産投資が成功するか否かの分岐点は、購入するときの「物件選び」もしくは「立地選び」だと思う方も多いでしょう。もちろん、良質な物件、賃貸需要が見込める立地でなければ、保有する不動産から収益を得ることは難しくなります。しかし、それだけでは不十分です。

不動産投資が成功するもう1つのポイントに、購入してからの「不動産管理」があります。なぜなら、不動産管理をおろそかにしてしまうと、家賃収入を継続的に安定して得られなくなってしまうためです。そして、不動産管理の良し悪しは、物件や立地と同じように、購入時の選択で決定する要素です。

今回は物件を購入した後の管理方法について、どのような管理業務があるのか、委託する管理会社にはどのような種類があるのか、委託に必要な手数料などを詳しくみていきましょう。

※2017年9月6日に公開した記事を加筆・修正しました(最終更新日:2020年7月24日)。

▼目次

  1. 不動産投資物件の管理は専門家への委託が基本
  2. 購入後の不動産管理:賃貸管理/建物管理(マンション管理)
  3. 賃貸管理委託契約の種類と手数料、注意点
  4. サブリースでの賃貸管理は損する?得する?
  5. 販売会社と賃貸管理会社は同じほうが良い?
  6. 不動産投資の「パートナー」を選ぶ意識が大切

1. 不動産投資物件の管理は専門家への委託が基本

投資目的で不動産を所有する場合、賃貸に出して入居者に住んでもらい家賃収入を得ることになりますが、不動産を賃貸に出すとさまざまな課題や問題が発生する可能性があります。たとえば、借り手がなかなか決まらない、入居者間のトラブル、建物や室内の破損・汚損、設備の故障・老朽化、退室時のトラブルなど、ソフト面でもハード面でも多岐にわたる課題・問題が考えられます。

特にこれから不動産投資を始めようと検討している方は、不動産管理においてどのような対応が必要か、想像もつかないのではないでしょうか。そこで不動産投資では、専門家に不動産管理を委託することが一般的です。

この専門会社を「管理会社」といいます。管理会社には、不動産管理に関してのプロフェッショナルが揃っています。管理会社は不動産物件を預かり、入居者付けから入居後のトラブル対応、ハード面のトラブル対応などを行います。

2. 購入後の不動産管理:賃貸管理・建物管理(マンション管理)

ただし、一口に「管理会社」と言っても種類があります。所有物件で何かあった場合に備え、どの管理会社がどのような業務を行っているのか、不動産管理における守備範囲を知っておくとよいでしょう。

2-1. 不動産管理会社の種類を押さえておこう

不動産の管理には、大きく分けて「賃貸管理」と「建物管理(マンション管理)」があります。賃貸管理は入居者との賃貸借契約や室内(専有部分)に関する範囲の管理、建物管理は入居者が全員で利用するスペース(共用部分)や建物全体に関する範囲の管理を行います。

一棟マンション・アパートの場合は、これらを区別せず一つの不動産管理会社がトータルで対応していることが多いです。区分マンションでは建物内に専有部分・共用部分という区別があるため、賃貸管理と建物管理を別々の不動産管理会社が担当することになります。

【参考記事】意外と知らない「専有部分」と「共用部分」の境目は?「区分所有」の考え方を知っておこう

また、専有部分のオーナーから委託を受けて賃貸管理を行うのが「賃貸管理会社」区分マンションの管理組合から委託を受けて建物管理を行うのが「建物管理会社(マンション管理会社)」と呼ばれています。

それぞれの業務には次のようなものがあります。

2-2.「賃貸管理会社」の業務範囲

  • 入居者募集(相場賃料の調査、募集図面作成、サイト上への募集登録、物件周辺業者への紹介活動など)
  • 入居申込対応、入居者審査
  • 賃貸借契約の締結(書類作成、入居者に対する契約内容の説明、家財保険加入手続きなど)
  • 家賃の集金、滞納の督促
  • 入居中の突発的な修繕対応
  • 賃貸借契約の更新業務
  • 退去に関わる業務(退去立会い、クリーニング・原状回復工事の手配、退去精算など)

2-3.「建物管理会社(マンション管理会社)」の業務範囲

  • 共用部分の巡回、清掃、電球交換など日常的管理(エントランス、階段、廊下、ゴミ置き場、駐輪場など)
  • 建物設備の点検・メンテナンス手配(エレベーター、オートロック、宅配ボックス、受水槽、防火設備など)
  • 大規模修繕の計画と実施(外壁補修、屋上・バルコニー防水工事、給排水設備の更新など)
  • 管理組合・理事会運営のサポート(管理費・修繕積立金の徴収、経費の出納管理、総会・理事会の開催など)

2-4. 家賃収入に直結「賃貸管理」に注目

どちらの管理会社も重要な業務を担っていますが、投資物件の不動産管理において特に注目したいのは家賃収入に直結する「賃貸管理」です。たとえば、入居者が退去するとなれば家賃収入が途絶えてしまうので、オーナーとしては一日も早く次の入居者を見つけたいものです。そんな時に任せられる賃貸管理会社があると心強いのではないでしょうか。

3. 賃貸管理委託契約の種類と手数料、注意点

賃貸管理に関する業務を不動産会社に委託する方法には、次のようなパターンがあります。委託において発生する手数料にも違いがありますので押さえておきましょう。

3-1. 管理代行の手数料、注意点

管理代行の仕組み図
管理代行の仕組み

不動産オーナーの「代理」という立場で、先ほど述べたような多岐にわたる賃貸管理業務を一括して代行してもらえます。月々の手数料は家賃月額の3%~5%(税別)が一般的で、仮に家賃が月8万円の物件だと2,400円~4,000円(税別)となります。

不動産投資に初めて取り組む方や、会社員や公務員など本職が忙しいにとって、上記金額の手数料で賃貸管理業務をアウトソースできることが本当にありがたい存在となります。なお、上記金額よりも安く手数料が設定されている場合には、どのようなレベルの賃貸管理サービスを提供してもらえるのか、契約内容をよく確認することが大切です。

【参考記事】意外と見落としがちな「管理費」!マンション経営におけるオーナーの視点・借主の視点

3-2. サブリース(家賃保証)の手数料、注意点

サブリース(家賃保証)の仕組み図
サブリース(家賃保証)の仕組み

サブリースとはいわゆる「家賃保証」の仕組みです。賃貸管理会社が「借主」として不動産オーナーから物件を借り上げるため常に「満室状態」となり、その結果不動産オーナーに毎月決まった額の家賃が支払われます。その後は賃貸管理会社が「転貸」という形式で入居者(転借人)を確保するとともに、賃貸管理業務を貸主(転貸人)として行います。実際の入居者がいてもいなくても不動産オーナーが受け取る家賃が安定するため、空室リスクを軽減できる契約形態として採用する賃貸管理会社があります。

サブリースにおいて賃貸管理会社から不動産オーナーに支払われる家賃は、入居者から実際に受け取る家賃の額から割り引かれて設定されますが、その分空室期間が発生せず家賃が途切れないというメリットがあります。

ただし、サブリースでは次のような点に注意が必要です。

  • 家賃が支払われない免責期間がある
  • 入居者が入れ替わる際のリフォーム、設備の故障・交換などの費用負担
  • 契約解除に関する規定(借地借家法では建て替え等の「正当事由」が必要)
  • 万が一の売却時にはサブリースによる管理委託を買主に引き継ぐ必要がある
  • 一定期間経過後、借り上げ家賃が見直し・減額される場合がある
  • サブリースを行う賃貸管理会社の倒産リスク

この仕組みを利用する場合には、賃貸管理会社や入居者とトラブルにならないよう、適切な説明を受けるとともに契約内容をよく確認しておくことが大切です。

【参考記事】空室対策で活用したいサブリース契約には注意が必要!メリットと注意点

3-3. 客付けのみ依頼(仲介会社・自主管理)の手数料、注意点

賃貸管理を担当せず、「客付け」つまり入居者募集業務のみを受託する仲介会社もあります。客付けのみを依頼する場合、毎月の管理手数料はかかりませんが、入居者募集時には仲介手数料、募集活動費、広告料などといった名目で委託手数料が発生します。

また、客付けのみの仲介会社は入居後の賃貸管理を受け持ってくれず、「自主管理」の状態となります。入居後の設備トラブルなど所有物件で何か発生した場合にはすべて自分で対応しなければなりません。時間に余裕がある専業オーナー向けの仕組みといえます。

さらには入居後の賃貸管理を担当しないため「入居させて終わり」というスタンスで募集活動を行う仲介会社も少なからず存在します。このような業者に任せてしまうと入居後に苦労することにもなりかねません。この点には注意しましょう。

ちなみに、仲介会社への依頼方法にも種類があります。宅地建物取引業法(宅建業法)では「媒介」と規定されており、次の3種類の依頼方法があります。

1)一般媒介

最もシンプルな媒介契約です。不動産オーナーは複数社に募集業務を依頼できますが、仲介会社に課せられる義務はありません。なかには取り扱い物件を多く見せるために媒介取得を目的とし、実際の募集活動には全く力を入れない業者が混ざる可能性も捨てきれません。

2)専任媒介

1社のみに入居者募集を依頼する媒介契約です。媒介契約成立から7日以内にREINS(レインズ)への登録、および依頼者へ2週間に1度以上の頻度で業務実施状況の報告が義務付けられています。

3)専属専任媒介

専任媒介契約と同様に、1社のみに入居者募集を依頼する媒介契約です。自己発見取引(自分で入居者を見つけること)ができないという点が専任媒介契約と異なります。また、仲介業者に課せられる義務も専任媒介契約より厳しくなり、媒介契約成立から5日以内にREINS(レインズ)への登録、および依頼者へ1週間に1度以上の頻度で業務実施状況の報告をしなければなりません。

【参考記事】安定収入を維持するために!客付けに強い賃貸管理会社の見極め方

4. サブリースでの賃貸管理は損する?得する?

インターネット上などで「サブリースは損」という情報を見かけますが、実際のところはどうなのでしょうか。全国的にみると、サブリースで不動産オーナーに支払われる家賃は、入居者が支払っている家賃の85%~90%で設定されるケースが多くなっています。

「家賃レートを下げることによって不動産会社が儲けているのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、空室期間が長引く場合、サブリースでは管理代行よりトータルで受け取れる家賃が多くなり、得したというオーナーの方も多くいらっしゃいます。家賃収入の安定性を確保するための手数料10%~15%を差し引く代わりに、賃貸管理会社が賃貸管理業務に加えて空室リスクまで引き受けてくれるという見方をしたほうが、どちらかというと実態に即しています。

なお、東京都心の単身向けワンルームマンションなど賃貸需要が安定して見込める物件、かつ入居者付けに自信のある賃貸管理会社であれば、家賃相場の95%~98%を保証額として設定し、毎月途切れずに支払ってくれるケースもあります。この場合であれば、仮に家賃相場が8万円だとすると不動産オーナーが受け取る家賃は7万6,000円~7万8,400円、事実上の手数料は1,600円~4,000円となります。

空室リスクを引き受けてもらえるうえに管理代行と実質的な負担が変わらないのであれば、不動産オーナーにとってかなり魅力的な賃貸管理の仕組みといえます。サブリースのイメージだけで判断するのではなく、安心感という精神面、収支という数字面、前トピックで述べた注意点などを総合的に勘案して検討するのが良いでしょう。

5. 販売会社と賃貸管理会社は同じほうが良い?

物件を購入したあとの密接なパートナーになる賃貸管理会社ですが、販売会社と同じ方が良いのでしょうか。これは各不動産会社の特徴にもよりますが、販売会社と賃貸管理会社が同じほうがおすすめです。

その理由はいくつかありますが、まず、購入と同時に賃貸管理をすべて任せることが可能です。購入してから自分で信頼できる賃貸管理会社を探すとなると、かなりの労力が必要です。

次に、入居者付けの面で安心感がある点です。販売している物件なのでアピールポイントをよく知っているでしょうし、立地や設備の面で入居者付けしやすい物件を選定して販売していることも考えられます。

特に複数物件を所有している不動産投資家は、購入後の賃貸管理も一局的に依頼すると手間が少ないというメリットもあります。社内で情報共有してもらえると安心感がありますし、今後の投資戦略も検討しやすくなるのではないでしょうか。

6. 不動産投資の「パートナー」を選ぶ意識が大切

今回は物件購入後の不動産管理について詳しくみてきました。特に「サラリーマン」と呼ばれる会社員・公務員などは不動産投資に費やせる時間が限られています。不動産投資を始めるにあたり、「どの会社を不動産投資のパートナーに選ぶか」が大切なポイントになります。

不動産投資は物件を購入して終わりではなく、始まりに過ぎません。その先を見据えた計画を立てていきましょう。

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