「自分は大丈夫」が最も危険?!劣悪な不動産会社と知らずに賃貸管理を委託しないためには

(写真=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
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マンション投資で成功するためには、立地や物件を吟味して選択するだけでは不十分です。成功するために大切なポイントにはもう一つ、マンションの"賃貸管理"があります。賃貸管理はマンション投資の成否を分けるといっても過言ではないほど、重要な要素となっています。

そもそもマンション投資は、購入したマンションを賃貸して入居者から家賃収入(インカムゲイン)を継続的に得ることで、時間を味方につけて資産を形成していく投資手法です。そのため、所有してからの「マンション経営」という視点が欠かせません。なかでも「いかに効率的に入居者を獲得できるか」「維持できるか」が大きなポイントとなります。

にもかかわらず、実際には劣悪な不動産会社と知らずに賃貸管理を委託してしまい、失敗しているケースも見受けられます。劣悪な不動産会社とはどのようなものか、劣悪な不動産会社を見抜くためにはどうすればよいのか、賃貸管理の重要性とともに探ってみましょう。

劣悪な賃貸管理会社と知らずに委託してしまう危険性とは

残念ながら、世の中には劣悪ともいえる不動産会社が存在します。よく耳にするのが、しつこい営業や強引な営業を行う不動産会社です。そのような会社は物件を購入する前の対応で判断できるため、とにかく関わらないようにすればマンション投資の失敗を避けられます。

【参考記事】
選んではいけない不動産会社とは?選ぶべき不動産会社とは?

また、賃貸管理の面でも劣悪な不動産会社は存在します。たとえば、2018年に社会問題にまで発展して大きな話題となった「かぼちゃの馬車」事件もその一つです。この事件では、融資面における販売会社と金融会社の不正が大きく取り上げられていますが、賃貸管理においても問題視すべき点がありました。問題点は大きく3つ挙げられます。

①物件を販売するにあたって魅力的なシミュレーションとなるようサブリース家賃を設定した一方、実際にはそれより低い家賃でしか入居者を獲得できなかったこと。
②入居者募集の方法は自社サイトでの募集のみで、ポータルサイト(SUUMO、LIFULL HOME'S、アットホームなど)への物件掲載、物件周辺の不動産会社への積極的な紹介活動といった費用や手間のかかる業務を行っていなかったこと。
③定期清掃や入居者からの苦情対応など、良好な住環境の維持を怠っていたこと。

その結果、入居稼働率は全体平均で約20~30%という実態でした。もっとも「かぼちゃの馬車」の場合は、物件のコンセプトにおける問題なども入居稼働率の低さに影響していると考えられますが、基本的な賃貸管理業務をおろそかにせず行っていれば、ここまで低い入居率とはなり得ないはずです。

【参考記事】
原因と対策を探る!シェアハウス投資「かぼちゃの馬車」はなぜ失敗したのか 

マンション投資自体が、入居者から得られる家賃によって成り立っていることを前提にすれば、「いかに入居者を獲得できるか」「いかに入居者に定着してもらえるか」が非常に重要なファクターとなります。つまり、劣悪な管理会社と知らずに賃貸管理を委託してしまうことは、マンション投資の成功確率を低下させる要因となりかねないのです。

マンション投資の収益モデルから考える賃貸管理会社の重要性

それでは、どのような不動産会社に賃貸管理を委託すればいいのでしょうか。そのポイントを理解するために、あらためてマンション投資のビジネスモデルについて考えてみましょう。そこから、より良い賃貸管理会社の理想像が浮かび上がってきます。

・マンション投資の基本は外部への委託

マンション投資では、管理に関しては「外部への委託」が基本となります。なぜなら、管理に関する業務においては専門的な知見を必要とする場面が多く、本業を持つ副業オーナーは時間も限られることから、管理業務を自分で行うのは難しいケースが多いためです。だからこそ、外部のプロに委託するのが基本となるのです。なお、この点は専有部分の賃貸管理でも、共用部分の建物管理でも当てはまります。

・賃貸管理会社が行ってくれること

賃貸管理会社は、どのような業務を行ってくれるのでしょうか。賃貸管理業務は入居者募集をはじめ、毎月の家賃回収、入居中の対応、退去時の手続きなど多岐にわたります。なかでも特に、家賃収入に直結する「入居者の獲得」は重視すべきポイントです。仮に入居者の退去が発生しても、入居者の獲得をタイムリーに素早く行うことができれば、マンションのオーナーは安定して家賃収入を得られるようになります。まさに、マンション投資の肝であるといえるでしょう。

・収益モデルから考える賃貸管理会社の重要性とは

収益モデルについても考えてみましょう。マンション投資の収益モデルは、「家賃収入-必要経費(管理費、修繕積立金、ローンの利息分、管理代行手数料など)」と表すことができます。つまり、家賃収入で必要経費をまかなえれば収益が安定化します。

当然、賃貸管理を委託するうえでは管理代行手数料が発生しますが、一般的には家賃収入に対して3~5%と、それほど大きな支出ではないでしょう。これだけの費用で専門的かつ手間のかかる賃貸管理業務を委託できることから、管理代行手数料は「消費」としての無駄な支出ではなく、家賃収入を得るための「投資」であるといえます。

【参考記事】
マンション経営で破綻する人が知らない「消費」と「投資」の違いとは?「住宅ローン」と「不動産投資用ローン」の違いとは? 

優良な賃貸管理会社を選ぶために必要なこと

劣悪な賃貸管理会社の危険性や、賃貸管理会社が収益に大きく関係することを考えると、マンション投資において賃貸管理会社は非常に重要な存在となります。では、どのようにして優良な賃貸管理会社を見極めればいいのでしょうか。大きく3つのポイントを見ていきます。

・不動産会社の基本情報から判断する

まず見えやすいところでは、業歴や入居稼働率といった不動産会社の基本情報が参考になります。入居稼働率に関しては、対象エリアや免責期間など算出方法も確認することが大切です。

加えて、賃貸管理に関する公的制度である「賃貸住宅管理業者登録制度」に登録している業者かどうかを判断材料とするのも良いでしょう。この制度では、登録業者に賃貸管理業務の受託やサブリース契約締結を行う際の資格者による説明義務、定期的な業務状況の報告義務などを定めています。現状では任意の登録制度ですが、「かぼちゃの馬車」事件を契機として社会的な要請が高まり、義務化を目指す動きも出てきています。

【参考記事】
賃貸管理会社の選択基準となるか?「賃貸住宅管理業者登録制度」とは 

・家賃設定を適切に行っているかどうか

次に、賃貸管理会社が家賃設定をどのように行っているかを知ることが重要です。家賃相場の状況を定期的に調査し、相場に合わせた家賃設定を行っていれば、空室期間を極力短くできる可能性が高まります。またサブリース契約を選択する場合でも、サブリース家賃の設定方法を確認し、販売のために見せかけだけの家賃設定をしていないか見極めることが大切です。

【参考記事】
空室対策で活用したいサブリース契約には注意が必要!メリットと注意点 

・リスクに対するサポート内容と費用

さらには、空室期間リスクや家賃下落リスク、修繕費用のリスクに対してどのくらいサポートできるのか、その費用はどれくらいかかるのかを知ったうえで、必要なサービスを選択することが大切です。委託する賃貸管理会社を選ぶ際には、単に管理代行手数料が安いかどうかだけでなく、費用対効果を考えて任せる賃貸管理会社を選ぶという意識が大切です。

【参考記事】
意外と見落としがちな「管理費」!マンション経営におけるオーナーの視点・借主の視点 

まとめ

マンション投資では賃貸管理が重要ということは何となくわかっていても、いざ賃貸管理会社を選ぶとなると基準を明確にできていなかった方もいるかもしれません。劣悪な不動産会社と知らずに委託してしまう危険性を再認識し、「自分は大丈夫」と油断せずに明確な基準で賃貸管理会社を選ぶことが、マンション投資の成功に近づくポイントといえます。

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