郊外の大学が続々と都心回帰。都心の賃貸マーケットに与える影響とは

(写真=PIXTA)
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人口減少や少子高齢化が問題となる中、大学経営も大きな変革を求められる時代が到来しています。日本経済新聞の報道によると、2017年春に定員割れを起こした私立大学は39.4%に上ることが明らかとなりました。このような状況で日本の私立大学では今後の生き残りをかけ、多くの大学が利便性の高い都心への移転を模索しています。

大学が続々と都心へ移転

2005年に文系5学部を都心へ移転させ、首都圏への移転の先駆けとなったのが東洋大学です。埼玉県朝霞市の朝霞キャンパスから東京都文京区の白山にキャンパスを移転しました。2011年には1学部と法科大学院も白山に移転させました。移転後は同大学への志願者数が大きく増加するなど、都心移転による効果が現れています。

2014年に東京郊外の日野キャンパスから渋谷に文学部、人間社会学部、短期大学部の3学部を移転させ大きな話題となったのが実践女子大学です。渋谷の立地の良さも影響し、2014年同大学の志願者数は移転前に比べて増加しました。

その他の大学でも都内キャンパスの拡充が相次いでいます。明治大学では中野区に新キャンパスを整備、拓殖大学でも文京区に新キャンパスを整備しました。青山学院大学でも2013年から7学部を青山キャンパスに集約しています。このように例を挙げればキリがないほど多くの大学が郊外から都心への回帰に取り組んでいます。

大学生の数は増加?減少?

多くの大学が「都心回帰」を打ち出す背景には、大学生の数の減少があるのでしょうか。実はここ数年、大学生の数は増加傾向にあります。総務省統計局の学校基本調査によると、2017年の大学在学者数は289万942人で、前年比1万7,318人増でした。この背景には高校生の大学への進学率が年々上昇していることがあります。総務省統計局の学校基本調査によると、高校生の進学率は2017年で54.8%と過去最高の水準になりました。進学率の高さが大学生の増加につながったとみられます。

しかし、いくら進学率が上昇しているとはいえ、少子化により子供の数が減っている中では今後の大学生の数が大幅な増加は見込めません。2018年以降は大学に進学する年齢である18歳の人口が減少するとされており、今後は大学生数も減少に転じると予測されます。大学側も「2018年問題」に対して警戒感を強め、よりいっそう都心回帰の方針に傾いていると考えられます。

また、大学の数も1989年は499校でしたが、2017年には780校と大幅に増加しており、大学間での学生獲得競争も激化しています。

学生に人気の都心ワンルームタイプ

今後の大学生の減少や大学の増加によって、各大学は学生獲得のためにますますキャンパスの郊外から都心回帰への流れを加速させると考えられます。大学が都心へ集まると、都心に学生数が集まることが予想されます。

このような状況を考えると、不動産に投資する方は学生向けのワンルームタイプの部屋に投資することを選択肢に入れてもいいかもしれません。

学生の多くはワンルームタイプの部屋を借りる為、今後大学の都心回帰の影響から、都心ではワンルームタイプの物件の需要が高まると考えられます。一方郊外では残念ながら徐々に学生向けの物件の需要は落ち込む可能性もあります。

日本全体の人口が減少し、2018年からは18歳人口も減少に転じる今後、不動産投資は賃貸需要が見込める投資を心掛けなければなりません。

都心において単身の社会人に加え、学生も入居可能なワンルームタイプの物件であれば、今後の大学の都心回帰の流れにより都心の大学生の増加が起こり、それによって底堅い賃貸需要が見込める可能性が考えられます。

今後不動産投資を検討されている方は、ぜひ郊外や家族向けのマンションだけでなく、都心のワンルームタイプの物件も検討してみてはいかがでしょうか。

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