ワンルームマンション投資「サブリース」は損?得?メリット・デメリット・リスクを解説

(写真=alexandre zveiger/Shutterstock.com)
(写真=alexandre zveiger/Shutterstock.com)

不動産投資で賃貸管理を委託する方法の一つに「サブリース(マスターリース)方式」があります。サブリースでは、賃貸管理会社がオーナーの方から物件を借りる形で空室リスクを引き受け、オーナーの方には契約で定められた金額の家賃が毎月入金されます。サラリーマンと呼ばれる会社員などの方に人気の高い「ワンルームマンション投資」では、サブリース(マスターリース)方式を利用する方が多い状況です。

投資物件を購入した後の「マンション経営」が安定し、空室対策としての活用にメリットがある一方、利用する場合に注意しておきたい点もあります。この記事では、サブリースのメリット・デメリット・リスクについてまとめます。

(本記事は2017/12/16配信のものを2021/11/23に更新しております)

▼目次

  1. マンション経営最大のリスクは「空室」
  2. 「サブリース(マスターリース)方式」とは?
  3. サブリースのメリット・魅力
  4. サブリースのデメリット・リスク・注意点
  5. 借地借家法における「正当の事由」とは?
  6. サブリースに関するトラブルの根本的な原因とは
  7. 空室リスクを軽減し、安定したマンション経営を行うために

1. マンション経営最大のリスクは「空室」

マンション経営で最も気をつけるべきは空室リスクです。空室が続いてしまうと安定収入は得られなくなってしまいます。空室となったときに自力で入居者募集をするのは困難なことが多く、経験豊富な専業大家でない限りは、賃貸管理会社に入居者募集を依頼しているケースがほとんどです。

不動産投資が初めての方は、どのように入居者募集すればよいかわからないという方がほとんどでしょう。また、本業を持っているサラリーマンなどは費やせる時間も限られています。特にこのような方は入居者募集を含め、賃貸管理会社に任せておくと安心です。入居者募集だけでなく、毎月の家賃回収と送金、入居中の対応、退去時の手続きなど、多岐にわたる業務を任せることができます。

【参考記事】購入後の不動産管理手数料は?不動産投資の委託管理業務と会社選びのコツ

このように「賃貸管理」と一口に言っても様々な業務がありますが、委託方法は大きく2つに分けられます。1つは賃貸管理業務だけを任せる「管理代行方式」で、もう1つは空室対策として家賃保証が含まれる「サブリース(マスターリース)方式」です。今回は空室対策という視点から、サブリース(マスターリース)方式に焦点を当ててご説明します。

2.「サブリース(マスターリース)方式」とは?

サブリース(マスターリース)の仕組み
サブリース(マスターリース)の仕組み―「不動産投資はなぜ怖いのか」より

サブリース(マスターリース)方式とは一般的に、アパートやマンションを不動産会社(賃貸管理会社)に借り上げてもらい、賃貸経営・管理を任せるとともに毎月一定の家賃を受け取る方法を指します。厳密には「マスターリース(特定賃貸借契約)」と「サブリース(転貸借契約)」を組み合わせた形式で、簡単に言うと「又貸し」の構造となっています。

2-1. マスターリース(特定賃貸借契約)

オーナーと賃貸管理会社の間で締結される賃貸借契約を指します。2020年6月に成立・制定された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)」においては「特定賃貸借契約」と定められました。

マスターリースにおいては、オーナーが貸主、賃貸管理会社が借主となります。大企業の福利厚生でよくみられるように、社員の部屋を社宅として借り上げる「法人契約」をイメージするとわかりやすいかもしれません。

2-2. サブリース(転貸借契約)

賃貸管理会社と入居者との間で締結される賃貸借契約(転貸借契約)を指します。サブリースにおいては、賃貸管理会社が貸主(転貸人)、入居者が借主(転借人)となります。

サブリース(マスターリース)方式では空室か入居中かに関わらず一定の家賃を受け取れます。そのかわり、賃貸管理会社が空室リスクを負うため、入居者から得られる家賃から10%~15%程度、割り引かれた家賃が支払われるケースが多くなっています。ただし、東京のように空室リスクの低いエリアで、かつ客付け力に自信がある賃貸管理会社であれば、5%ほどの割引率でサブリース(マスターリース)方式を利用できるケースもあります。

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ちなみに、サブリース(マスターリース)方式で賃貸管理業務を受託する賃貸管理会社は「サブリース会社」と呼ばれることもあります。

以下でもう少し詳細に、メリットや魅力、デメリット・リスク・注意点を見ていきましょう。

3. サブリースのメリット・魅力

サブリース(マスターリース)方式を利用するメリットとしては、毎月の家賃収入が安定し、受け取れる家賃収入総額を大きく変えずに毎月の家賃収入が安定し、オーナーの方の精神的負担が軽減されるとともに、より計画的なローン返済が可能となることです。

3-1. 空室期間が発生しないメリット

サブリース(マスターリース)方式のメリットは、オーナーの空室リスクが大きく軽減される点です。不動産投資(特に単身向けのワンルームマンション)では、入居者ライフスタイルの変化(転勤や結婚など)によって必ず空室(入居者の入れ替え)が発生するものと考えておくべきです。ただし、サブリース(マスターリース)方式で賃貸管理を委託していれば、仮に空室が発生しても、オーナーと賃貸管理会社の間の賃貸借契約(マスターリース契約)に基づいて家賃が途切れず支払われます。

毎月決められた金額の家賃収入が得られることで安定したマンション経営が可能となり、不動産投資ローン利用者でも安心です。

3-2. 空室時の精神的負担が軽減されるメリット

空室時の精神的負担が軽減される点もメリットの一つです。次の入居者がなかなか決まらないという状況が続くと、会社員や公務員といった「サラリーマン」の中には、本業が手につかなくなってしまう方もいらっしゃいます。金銭面だけでなく、気持ちの面でサポートしてもらえるのはとても心強いものです。

3-3. 家賃が安定し計画性が高まるメリット

もし万が一空室が長期化しそうな場合には、家賃や初期費用など賃貸募集条件を見直し、早期に家賃収入を得られるようにしなければなりません。サブリース(マスターリース)方式では、賃料改定の期間があらかじめマスターリース契約で定められているため、より計画的なローン返済を進めることが可能です。

ただし、借地借家法第32条第1項に定めがある「特殊事情」がある場合に、定期的な見直しのタイミング以外であっても賃料等の借受条件が変更される場合があります。この点はあらかじめ認識しておきましょう。

3-4. 実はサブリースで「得している」ケースも

サブリース(マスターリース)方式では、空室リスクを賃貸管理会社が受け持つこととなります。入居者がいない期間(空室期間)は、賃貸管理会社が補填してオーナーの方へマスターリース契約で定められた家賃を支払います。

一般的には、入居者が支払う家賃(現況賃料)よりもオーナーの方の受け取り家賃(賃貸管理会社の借受賃料)が低く設定されます。そのため「サブリース(マスターリース)は損」というイメージを持っている方も多いようです。

しかし実際のところ、入居者の入れ替えに際してはリフォーム(原状回復)工事や賃貸募集、契約締結から引き渡しの手続きがあり、どんなに短くても1~2ヶ月程度の空室期間が必然的に発生します。空室期間の家賃収入ストップを考えると、オーナーが受け取るトータルの家賃収入は大きく変わりません。

むしろ長期空室の場合や、たまたま短期間で複数回、入居者の入れ替えが発生した場合には、サブリース(マスターリース)のほうが多く収入を得られるケースもあります。

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4. サブリースのデメリット・リスク・注意点

ここまで見てきたように、サブリース(マスターリース)は安定したマンション経営の強い味方です。仕組みに対して何となくとっつきにくい印象があるかもしれませんが、特に初心者の方にとっては利用検討の価値が十分にあります

サブリース(マスターリース)の利用を検討するにあたり、特に注意しておきたい点を3つ、詳しくご説明します。

4-1. オーナー側からのマスターリース解約(サブリース解除)

オーナーの方がサブリースの仕組みを理解しないまま契約してしまい、賃貸管理会社との間で後々トラブルになってしまうケースがあります。最も多いのが、オーナー側からのマスターリース解約(サブリース解除)に関してです。

サブリース(マスターリース)方式では、一般の入居者の方に貸し出す目的で、オーナーの方と賃貸管理会社が賃貸借契約を結んでいます。そのため、賃貸物件の借主(入居者)保護を目的とした法律「借地借家法」の適用を受けます。例えば、オーナーが自分で住みたいから借主を追い出すようなことは簡単にはできないのです。

また、将来に備える資産形成としてマンション経営を行う方にはあまり関係ないかもしれませんが、もし環境の変化等により万が一売却を検討する場合には、サブリース(マスターリース)を引き継いだままの売却という制約を受けます(あるいは購入元の会社に買い取ってもらえるケースがあります)。

詳しくは後述しますので、この点はしっかりと認識しておきましょう。

4-2. 一定期間経過後に借受賃料改定の可能性

サブリース(マスターリース)では、家賃改定に関するトラブルが発生しています。管理代行方式で賃貸管理を委託している場合と同様に「家賃変動リスク」があるにもかかわらず、サブリース(マスターリース)方式を利用しているオーナーは入居者募集における賃貸需要や競合状況をダイレクトに実感できないためか、家賃変動リスクに気づきにくいのかもしれません。

サブリース(マスターリース)方式の賃貸管理委託契約では、契約開始から一定期間経過後に、現況の家賃相場等を加味したうえで借受賃料を改定できる内容のケースが多くなっています。例えば、空室率が高い、空室期間が長い、家賃相場が下がってしまった等の事情があった場合には、賃貸管理会社から家賃の減額が提案される場合があります

仮に家賃の合意ができなかった場合、通常の入居者の退室と同様に、賃借人である賃貸管理会社から「サブリース(マスターリース)を解除する」と申し出ることも可能です。その場合には管理代行方式での賃貸管理委託に移行する流れとなるものの、空室発生時に家賃収入がストップするリスクが生じます。

なかには賃貸管理会社から大幅な減額提案を受け、トラブルになるケースも起きているようです。例えば、もともと「30年一括借り上げ」で契約したはずなのに「減額に合意しなければサブリース(マスターリース)を解除する」と言われたために裁判に発展したケースなどが以前国会で問題視され、報道を賑わせた時期がありました。

4-3. 賃貸管理会社自体の倒産リスク

さらに、賃貸管理会社の倒産リスクについても考慮しておくべきです。経営基盤を新規販売に頼っていて、実は入居者募集の力がない会社は要注意です。

なかには家賃相場状況をよく調べず、販売したいがために実際には入居者がつかない家賃で借り上げしている会社もあるようです。万が一賃貸管理会社が倒産すると、入居者との契約をオーナーが引き継ぐためには弁護士を交えて法的な手続きを行わなければいけない可能性が考えられます。また、賃貸管理会社から支払われていない家賃や敷金の回収などがうまくいかない可能性も考えられます。

サブリース(マスターリース)方式での賃貸管理委託を検討している場合には、賃貸管理会社の経営基盤をしっかり確認しておきましょう。

【参考記事】原因と対策を探る!シェアハウス投資「かぼちゃの馬車」はなぜ失敗したのか

4-4. 免責期間や修繕費用などの契約内容を確認

その他、マスターリース契約では「空室となった場合の免責期間」「入居者退室時のリフォーム・設備故障の際の修繕費用をどちらが負担するか」などが定められます。マンション経営の収支に影響する部分ですので、オーナーの方はしっかりと内容を確認・理解したうえで契約締結を進めることが大切です。

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5. 借地借家法における「正当の事由」とは?

5-1. サブリース(マスターリース)承継で売却する理由

サブリース(マスターリース)承継での売却となる理由は、サブリース(マスターリース)方式において、オーナーと賃貸管理会社が賃貸借契約を結んでいることにあります。そのため「サブリース(マスターリース)解除」つまりオーナー側からマスターリース契約(サブリース(マスターリース)方式の賃貸管理委託契約)を解除したい場合、借地借家法第28条における正当事由(建て替えなど)が必要となります。

5-2. オーナー(賃貸人)から解除しづらい理由

では、そもそもなぜ、賃貸借契約においてオーナーからの解除がしづらくなっているのでしょうか。マンション経営のオーナー(賃貸人)は賃貸事業を営む「経営者(事業主)」とされ、社会通念上、入居者のような借主(賃借人)よりも強い立場にあると考えられています。例えば、オーナーが部屋を貸さないと言って入居者を追い出すことができてしまうと、入居者の日常生活に多大なる影響が出てしまいます。

5-3. 借地借家法第28条で定められた要件

このような事態を防ぐため、日本の借地借家法は入居者(賃借人)の保護を目的として制定されています。なかでも借地借家法第28条では、オーナー(賃貸人)から賃貸借契約の更新拒絶または解約の申し入れを行う場合の要件が下記のように定められています。

「第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」(借地借家法|電子政府の総合窓口e-Gov

この条文で述べられているのは、オーナー側から賃貸借契約を解除するには、例えば老朽化による建て替えに加えて立ち退き料の提供というような「正当の事由」が必要という内容です。

「正当の事由」の判断はケースバイケースの部分もありますが、最高裁の判例においても「賃借人(賃貸管理会社、転借人である入居者)が建物の使用を必要とする事情」を加味したうえで、オーナー側からサブリース(マスターリース)解除を主張する理由が「正当の事由」に当たらないとして、サブリース(マスターリース)解除が認められなかったケースがあります。

ちなみに、管理代行方式で賃貸管理を委託している場合であっても、入居者に貸し出す賃貸借契約ではサブリース(マスターリース)方式と同様に、オーナー側からの解約申し出には正当事由が必要です。

6. サブリースに関するトラブルの根本的な原因とは

このようなトラブルが生じる要因は、賃貸管理会社の説明不足によるところが大きいと考えられます。ただし、オーナーが契約内容を理解しないまま、サブリース(マスターリース)方式の賃貸管理委託契約を締結しているケースもあり、こちらも問題の一端と言えるかもしれません。トラブルを避けるためには、賃貸管理委託契約の内容を十分に確認することが大切です。

なお、サブリース(マスターリース)方式でも管理代行方式でも、賃貸管理委託契約の内容について適切な説明を実施しているかどうかが、信頼のおける賃貸管理会社を見極める一つの基準となるでしょう。

もっとも、このようなトラブルが起きているのは地方や郊外など、需要が見込めない地域で賃貸経営を行っているケースがほとんどです。サブリース(マスターリース)があるというだけで安心せず、賃貸経営が成り立つ立地をしっかりと選ぶことでもトラブルを防ぐことができます。

【参考記事】高利回り物件に注意!地方の格安アパート・マンション経営のリスクとは

7. 空室リスクを軽減し、安定したマンション経営を行うために

この記事では、サブリース(マスターリース)方式についてまとめました。サブリース(マスターリース)方式は賃貸管理業務を任せるとともに空室リスクが大きく軽減されるため、うまく取り入れることで安定したマンション経営をより実現しやすくなります。今回取り上げた注意点を参考に、サブリース(マスターリース)方式の内容をしっかりと確認したうえで、活用を検討してみるとよいでしょう。

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