マンション経営の空室対策にサブリースは良いか?メリットと注意点とは

(写真=alexandre zveiger/Shutterstock.com)
(写真=alexandre zveiger/Shutterstock.com)
マンション経営において、賃貸管理を不動産会社に委託する方法の一つに「サブリース方式」というものがあります。この仕組みを利用すると、オーナーは空室リスクを負わず、決められた金額の家賃が毎月入金されることとなり、マンション経営が安定するメリットがあります。ただし一方で、利用する場合に注意しておきたい点もあります。この記事では、空室対策として活用したいサブリースのメリットと注意点についてまとめます。

(本記事は2017/12/16配信のものを2019/11/07に更新しております)

▼目次

  1. 空室対策の方法:自力で行うのは難しい
  2. 「サブリース方式」とはどんな契約形態?
  3. サブリースのメリット・魅力
  4. サブリースのデメリット・注意点・リスク
  5. 空室リスクを軽減し、安定したマンション経営を行うために

空室対策の方法:自力で行うのは難しい

マンション経営で最も気をつけるべきは空室リスクです。空室が続いてしまうと安定収入は得られなくなってしまいます。空室となったときに自力で入居者募集をするのは困難なことが多く、経験豊富な専業大家でない限りは、賃貸管理会社に入居者募集を依頼しているケースがほとんどです。

【参考記事】入居者の募集の方法は?初心者は押さえておきたいポイント

不動産投資が初めての方は、どのように入居者募集すればよいかわからないという方がほとんどでしょう。また、本業を持っているサラリーマンなどは費やせる時間も限られています。特にこのような方は入居者募集を含め、賃貸管理会社に任せておくと安心です。入居者募集だけでなく、毎月の家賃回収と送金、入居中の対応、退去時の手続きなど、多岐にわたる業務を任せることができます。

【参考記事】購入後はどうする?不動産投資物件の管理方法、管理会社の種類とは

このように「賃貸管理」と一口に言っても様々な業務がありますが、委託方法は大きく2つに分けられます。1つは賃貸管理業務だけを任せる「管理代行方式」で、もう1つは空室対策として家賃保証が含まれる「サブリース方式」です。今回は空室対策という視点から、サブリース方式に焦点を当ててご説明します。

「サブリース方式」とはどんな契約形態?

サブリース(家賃保証)の仕組み
サブリース(家賃保証)の仕組み―「不動産投資はなぜ怖いのか」より
サブリース方式とは一般的に、アパートやマンションを不動産会社(賃貸管理会社)に借り上げてもらい、賃貸経営・管理を任せるとともに毎月一定の家賃を受け取る方法を指します。厳密には「マスターリース契約」と「サブリース契約」を組み合わせた形式で、簡単に言うと「又貸し」の構造となっています。

・マスターリース契約

オーナーと賃貸管理会社の間で締結される賃貸借契約を指します。マスターリース契約においては、オーナーが貸主、賃貸管理会社が借主となります。大企業の福利厚生でよくみられるように、社員の部屋を社宅として借り上げる「法人契約」をイメージするとわかりやすいかもしれません。

・サブリース契約

賃貸管理会社と入居者との間で締結される賃貸借契約(転貸借契約)を指します。サブリース契約においては、賃貸管理会社が貸主(転貸人)、入居者が借主(転借人)となります。

サブリース方式では空室か入居中かに関わらず一定の家賃を受け取れます。そのかわり、賃貸管理会社が空室リスクを負うため、入居者から得られる家賃から10%前後、割り引かれた家賃が支払われるケースが多くなっています(東京都心など、空室リスクの低いエリアであれば5%ほどの割引率のケースもあります)。

ちなみに、サブリース方式で賃貸管理業務を受託する賃貸管理会社は「サブリース会社」と呼ばれることもあります。

以下でもう少し詳細に、メリットや魅力、デメリットや注意点・リスクを見ていきましょう。

サブリースのメリット・魅力

サブリース方式を利用するメリットとしては、毎月の家賃収入が安定し、受け取れる家賃収入総額を大きく変えずに毎月の家賃収入が安定し、精神的負担が軽減されることです。

・メリットその1:家賃が途切れず支払われる

サブリース方式のメリットは、オーナーの空室リスクが大きく軽減される点です。たとえ入居者が退室し・入れ替えが発生しても、オーナーと賃貸管理会社の間の賃貸借契約(マスターリース契約)に基づいて家賃が途切れず支払われます。そのため、毎月決められた金額の家賃収入が得られることで安定したマンション経営が可能となり、不動産投資ローン利用者でも安心です。

もっとも実態としては、入居者がいない期間(空室期間)が数週間~数か月発生しています。この期間の家賃については、賃貸管理会社が補填しなければなりません。サブリース方式では、空室リスクを賃貸管理会社が受け持つ代わりに、賃貸管理業務だけを委託する管理代行方式の場合より、オーナーが受け取れる毎月の家賃収入が少なくなるケースがほとんどです。

そのため「サブリースは損」というイメージを持っている方も多いようですが、実際は空室期間の家賃収入ストップを考えると、オーナーが受け取るトータルの家賃収入は大きく変わらないようです。空室が長期にわたってしまう場合、あるいは短期間で複数回発生する場合には、サブリースのほうが多く収入を得られる可能性もあります。

・メリットその2:空室時の精神的負担が軽減される

また、空室時の精神的負担が軽減される点もメリットの一つです。次の入居者がなかなか決まらないという状況が続くと、会社員や公務員といった「サラリーマン」の中には、本業が手につかなくなってしまう方もいらっしゃいます。金銭面だけでなく、気持ちの面でサポートしてもらえるのはとても心強いものです。

>> 現況賃料マイナス500円からのサブリース!
初めての方でも安心の「賃貸管理サポート」はこちら

サブリースのデメリット・注意点・リスク

ここまで見てきたように、サブリースは安定したマンション経営の強い味方です。仕組みに対して何となくとっつきにくい印象があるかもしれませんが、特に初心者の方にとっては利用検討の価値が十分にあります

サブリースの利用を検討するにあたり、特に注意しておきたい点を3つ、詳しくご説明します。

・注意点その1:オーナー側からの解除申し出には正当事由が必要

将来に備える資産形成としてマンション経営を行う方にはあまり関係ないかもしれませんが、もし環境の変化等により万が一売却を検討する場合には、サブリースを引き継いだまま売却することになります(サブリース承継)。この点はしっかりと認識しておきましょう。

サブリース承継での売却となる理由は、サブリース方式において、オーナーと賃貸管理会社が賃貸借契約を結んでいることにあります。そのため「サブリース解除」つまりオーナー側からマスターリース契約(サブリース方式の賃貸管理委託契約)を解除したい場合、借地借家法第28条における正当事由(建て替えなど)が必要となります。

では、そもそもなぜ、賃貸借契約においてオーナーからの解除がしづらくなっているのでしょうか。マンション経営のオーナー(賃貸人)は賃貸事業を営む「経営者(事業主)」とされ、社会通念上、入居者のような借主(賃借人)よりも強い立場にあると考えられています。例えば、オーナーが部屋を貸さないと言って入居者を追い出すことができてしまうと、入居者の日常生活に多大なる影響が出てしまいます。

このような事態を防ぐため、日本の借地借家法は入居者(賃借人)の保護を目的として制定されています。なかでも借地借家法第28条では、オーナー(賃貸人)から賃貸借契約の更新拒絶または解約の申し入れを行う場合の要件が下記のように定められています。

「第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」(借地借家法|電子政府の総合窓口e-Gov

この条文で述べられているのは、オーナー側から賃貸借契約を解除するには、例えば老朽化による建て替えに加えて立ち退き料の提供というような「正当の事由」が必要という内容です。

「正当の事由」の判断はケースバイケースの部分もありますが、最高裁の判例においても「賃借人(賃貸管理会社、転借人である入居者)が建物の使用を必要とする事情」を加味したうえで、オーナー側からサブリース解除を主張する理由が「正当の事由」に当たらないとして、サブリース解除が認められなかったケースがあります。

ちなみに、管理代行方式で賃貸管理を委託している場合であっても、入居者に貸し出す賃貸借契約ではサブリース方式と同様に、オーナー側からの解約申し出には正当事由が必要です。

・注意点その2:一定期間経過後に借り上げ家賃改定の可能性がある

サブリースでは、家賃改定に関するトラブルが発生しています。管理代行方式で賃貸管理を委託している場合と同様に「家賃変動リスク」があるにもかかわらず、サブリース方式を利用しているオーナーは入居者募集における賃貸需要や競合状況をダイレクトに実感できないためか、家賃変動リスクに気づきにくいのかもしれません。

サブリース方式の賃貸管理委託契約では、契約開始から一定期間経過後に、現況の家賃相場等を加味したうえで借り上げ家賃を改定できる内容のケースが多くなっています。例えば、空室率が高い、空室期間が長い、家賃相場が下がってしまった等の事情があった場合には、賃貸管理会社から家賃の減額が提案される場合があります

仮に家賃の合意ができなかった場合、通常の入居者の退室と同様に、賃借人である賃貸管理会社から「サブリースを解除する」と申し出ることも可能です。その場合には管理代行方式での賃貸管理委託に移行する流れとなるものの、空室発生時に家賃収入がストップするリスクが生じます。

なかには賃貸管理会社から大幅な減額提案を受け、トラブルになるケースも起きているようです。例えば、もともと「30年一括借り上げ」で契約したはずなのに「減額に合意しなければサブリースを解除する」と言われたために裁判に発展したケースなどが以前国会で問題視され、報道を賑わせた時期がありました。

このようなトラブルが生じる要因は、賃貸管理会社の説明不足によるところが大きいと考えられます。ただし、オーナーが契約内容を理解しないまま、サブリース方式の賃貸管理委託契約を締結しているケースもあり、こちらも問題の一端と言えるかもしれません。トラブルを避けるためには、賃貸管理委託契約の内容を十分に確認することが大切です。

なお、サブリース方式でも管理代行方式でも、賃貸管理委託契約の内容について適切な説明を実施しているかどうかが、信頼のおける賃貸管理会社を見極める一つの基準となるでしょう。例えば「賃貸住宅管理業者登録制度」では、賃貸管理委託契約を締結するにあたり、有資格者もしくは一定以上の実務経験者による重要事項説明を賃貸住宅管理業者に義務付けています。

もっとも、このようなトラブルが起きているのは地方や郊外など、需要が見込めない地域で賃貸経営を行っているケースがほとんどです。サブリースがあるというだけで安心せず、賃貸経営が成り立つ立地をしっかりと選ぶことでもトラブルを防ぐことができます。

【参考記事】高利回りには気を付けろ!地方や郊外のアパート・マンション経営のリスクとは

・注意点その3:賃貸管理会社自体の倒産

さらに、賃貸管理会社の倒産リスクについても考慮しておくべきです。経営基盤を新規販売に頼っていて、実は入居者募集の力がない会社は要注意です。

なかには家賃相場状況をよく調べず、販売したいがために実際には入居者がつかない家賃で借り上げしている会社もあるようです。万が一賃貸管理会社が倒産すると、入居者との契約をオーナーが引き継ぐためには弁護士を交えて法的な手続きを行わなければいけない可能性が考えられます。また、賃貸管理会社から支払われていない家賃や敷金の回収などがうまくいかない可能性も考えられます。

サブリース方式での賃貸管理委託を検討している場合には、賃貸管理会社の経営基盤をしっかり確認しておきましょう。

【参考記事】原因と対策を探る!シェアハウス投資「かぼちゃの馬車」はなぜ失敗したのか

空室リスクを軽減し、安定したマンション経営を行うために

この記事では、サブリース方式についてまとめました。サブリース方式は賃貸管理業務を任せるとともに空室リスクが大きく軽減されるため、安定したマンション経営を行うためには有効な方法といえます。今回取り上げた注意点を参考に、サブリース方式の内容をしっかりと確認したうえで、活用を検討してみるとよいでしょう。

>> 相場下限賃料100%で保証可能なサブリース!
初めての方でも安心の「賃貸管理サポート」はこちら


▲目次にもどる

不動産投資に欠かせない知識満載のeBookプレゼント

【2019年10月度人気記事トップ7】
不動産投資が節税になる仕組みとは?所得の高い人ほど効果大?!
意外と知らない区分所有の「専有部分」と「共用部分」の境目とは?
見落し厳禁!不動産投資の「管理費」。ポイントはマンション経営でのオーナーと入居者の視点
「事業計画書」が不動産投資で必要なケースと作成時の注意点を知ろう
副業での投資・資産運用は「確定申告」で会社にバレるのか?!
実は知らなきゃ損?!不動産取得時の土地と建物の割合の決め方
不動産投資OKな「築年数」「立地」は?中古・区分マンションの選定ポイント
PREV 投資マンションの給湯器・キッチン・エアコンの交換時期はいつが正解か?

関連記事