投資マンションの給湯器・キッチン・エアコンの交換時期はいつが正解か?

(写真=Breadmaker/Shutterstock.com)
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不動産投資で安定経営を実現するには「住宅設備」が大切です。住宅設備は経年とともに劣化していきます。特に住宅設備の中でも給湯器・キッチン・エアコンなどは劣化すると使い勝手の悪さから住み心地の悪さへと繋がり、入居者の大きなストレスの原因になりかねません。また、古い住宅設備のままだと内見時の悪印象などから入居者を獲得しづらくなる可能性があります。

さらに、入居中に故障が発生すれば、入居者の生活に支障が生じます。緊急の対応が必要となるケースもありますが、対応を間違えれば退去につながる可能性もあるでしょう。ここでは、入居者満足を高める住宅設備の交換時期について考えてみましょう。

(本記事は2019/02/25配信のものを2023/02/05に更新しております)

▼目次

  1. ワンルームマンション投資における住宅設備の重要性
  2. 給湯器:故障の危険性と交換タイミング
  3. キッチン周り:アイテムごとに修理・交換を
  4. エアコン:少し早めの交換を検討する
  5. 入居者の入れ替わり時に設備交換を一度検討しよう

1. ワンルームマンション投資における住宅設備の重要性

1-1. DINKS・ファミリー向けなら「女性目線」の設備

住宅設備とは、マンション居室内の給湯器・キッチン・エアコンなどのことです。夫婦やファミリー向けのマンションでは、住宅設備に対する女性のシビアな目を意識する必要があります。とくに内見時には、ほとんどの女性がキッチン周りを重視します。たとえば、「お掃除しやすいフラットなコンロか」「シンクの広さは十分か」「収納スペースはたっぷりあるか」などの部分です。

1-2. 単身向けなら「立地の利便性」が第一優先?

一方、単身者向けのワンルームマンションでは、「設備」や「面積(広さ)」よりも「最寄り駅からの時間」「通勤・通学時間」「路線・駅やエリア」など利便性が重視される傾向にあります。そのため、夫婦やファミリー向けのマンションほど充実した設備は必要ないといえます。

【参考記事】
立地、面積、築年数、設備、何を重視すべき?入居者目線と未来の市場にみるマンション投資の指標

もちろん、家を居心地のよい空間にしたいという単身者も一定数存在します。そのことを考慮して、浴室換気乾燥機、温水洗浄便座といった人気の住宅設備を可能な範囲で揃えておけば、より多くの入居者に選ばれやすくなるでしょう。

1-3. 女性の一人暮らしに必須の「セキュリティ設備」

特に、女性の一人暮らしであればセキュリティ設備は必須です。例えば、TVカメラ付きオートロック、モニター付きインターホン、共用廊下やエレベーターの防犯カメラなど、整っていればいるほど、女性の入居者を確保しやすくなります。

築20年前後までの区分所有ワンルームマンションであれば、これらの設備は必ずと言っていいほど設置されています。加えて、新築・築浅のワンルームマンションでは、エレベーターホールからカゴ内の状況がわかる「防犯モニター」が設置されているケースもあります。

2. 給湯器:故障の危険性と交換タイミング

どんな住宅設備を採用するかと同時に交換時期も非常に重要です。いくら機能性の高いアイテムが揃っていても、故障して使えなくなってしまうようでは意味がありません。

2-1. 給湯器の耐用年数

交換時期は機器によって変わってきます。はじめに給湯器ですが、業界団体(日本ガス石油機器工業会)推奨の点検・交換時期の目安は「10年」です。

2-2. 給湯器の不具合を放置した場合のリスク

また、経年劣化による不具合を放置して使い続ければ、次のようなリスクがあるとしています。

  • 機器や配管からの漏れによる火災のおそれ
  • 設定よりも熱いお湯が出てヤケドを負う
  • 爆発着火、それが原因の火災
  • 不完全燃焼による一酸化炭素中毒

お湯が出ない・ぬるい、途中で水になってしまうなど、給湯器に関するトラブルは、入居者の不満・クレームにつながりやすい事項です。不具合が発生したと賃貸管理会社から報告を受けた場合には、速やかに給湯器メーカーや信頼できる専門業者に点検を依頼してもらいましょう。そのうえで、故障や性能の劣化とみられる場合には「部品交換でよいか」「給湯器を丸ごと交換するとよいか」を判断するのが賢明です。

なお、設置から10年以上経っている場合、部品の保管期限が終了しており修理対応ができないケースも多くなります。冬場の故障などで特に緊急性が高い場合には、即座に交換対応の動きをすることも有効です。そうすることで一刻も早く入居者の不安を解消でき、不満・クレームを防げる可能性が高くなります。

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3. キッチン周り:アイテムごとに修理・交換を

3-1. キッチンの耐用年数と修理・交換

一般的に、キッチンの耐用年数は10年~20年と言われています。ただし、キッチン本体を交換するのはリノベーションなどを行うケースであり、通常は水栓(蛇口)やレンジフード(あるいは換気扇)、ビルトインコンロなど、アイテムごとに修理・交換を行うことがほとんどです。

3-2. 水栓(蛇口)の交換

水栓は大きく分けて、温度調節ができない単水栓と、温度調節のできる混合水栓の2つがあります。キッチン水栓のほとんどは混合水栓となっていて、築20年位までの物件では「シングルレバー混合水栓」が主流です。

水栓のトラブルとしては、5年~10年前後で「水漏れ」「がたつき」「動きが悪くなる」といった不具合が出やすくなります。パッキンやカートリッジなど部品交換で改善する場合もありますが、状態によっては水栓ごと交換が必要となるケースがあります。また、水栓ごと交換してもそれほど費用が変わらないケース、性能や見栄えを重視すると交換が望ましいケースもあります。

例えば、築30年以上の築古物件では2ハンドルタイプの混合水栓が使用されていることも多く、毎回お湯と水を混ぜて温度調節を行う必要があります。これを現在主流となっているシングルレバータイプに交換することで、入居を検討する方の印象が良くなります。費用も数万円程度で交換できることが多く、費用対効果が高い空室対策の一つです。

3-3. レンジフード・換気扇の交換

レンジフードや換気扇であれば、10年~20年程度で「ファンの音がうるさい」といった症状が出やすくなります。音の感じ方には個人差もありますが、あまりに入居者が不快に感じるレベルであれば交換するのが望ましいでしょう。

3-4. ビルトインコンロ(ガスコンロ・IHコンロ)の交換

ビルトインコンロには、大きく分けてガスコンロのタイプとIHコンロのタイプがあります。大手ガス機器メーカー「株式会社パロマ」の公式サイトによると、ガスビルトインコンロは10年くらいが点検・取替えの目安といわれています。また、IHコンロの耐用年数は一般的に10年~15年程度といわれています。もちろん、利用頻度や清掃状態によって寿命は変動するため、15年~20年程度経過しても使用できるケースもあります。

3-5. 電気コンロ交換は費用対効果が高いリフォーム

なお、築30年以上のワンルームマンションでは、「シーズヒーター式」と呼ばれる蚊取り線香のような渦巻き状の電気コンロ(電熱コンロ)が設置されているケースもあります。新しいタイプのIHコンロへの交換は数万円でもできることが多いため、入居者獲得施策として費用対効果の高い方法です。入居者が入れ替わる際には交換を検討するとよいでしょう。

【参考記事】 "コスパ"から考える!大切にしたいマンション経営の「修繕」と「費用対効果」

同じキッチン周りでも、シンクや天板、収納などは比較的、長寿命と言われます。数十年経っていても問題なく使えることもあります。一方で、キッチンは女性の注目ポイントです。古いデザインや傷だらけではイメージを大きく損ねます。ワンルームマンション向けであれば、リーズナブルなコストで交換できることも多いです。

4. エアコン:少し早めの交換を検討する

4-1. エアコンの耐用年数・故障しやすい時期とは

次にエアコンですが、内閣府 経済社会総合研究所の調査によれば、2009~2017年のエアコンの平均使用年数は約10~13年で推移しています(二人以上の世帯)。これを踏まえると交換時期は10年前後と考えられます。使えるうちはギリギリまで使うというスタンスも一つの策ですが、故障のリスクが高まる少し前、8~9年くらいのタイミングから交換時期を意識しておくと良いでしょう。

4-2. 入居者満足を考慮し早めの交換を

実際に交換したほうが良いかどうかは、オーナーや賃貸管理会社の考え方にもよりますが、故障していなくても早めに交換したほうが良いケースもあります。

なぜ故障していなくても交換時期は早めがよいかというと、万が一、真夏や真冬にトラブルが発生したら入居者への負担が大きいからです。また、そのような時期は業者の繁忙期でもあり、工事を依頼してから施工までの期間が、閑散期と比べて数日~2週間ほど長くなるケースもあります。

4-3. 退去立会い時に状態をチェック

なお、エアコンは使用環境にも大きく左右されるため、掃除をしないまま使ったり、結露しやすい環境で使ったりすると、平均使用年数より短い年数で寿命となる可能性があります。入居者の退去立会い時には、エアコンの状態を賃貸管理会社やリフォーム工事会社にしっかりチェックしてもらい、必要に応じてエアコン交換の提案を受けるのがおすすめです。

5. 入居者の入れ替わり時に設備交換を一度検討しよう

ここで解説してきたように、住宅設備の交換をタイミングよく行えば、入居者満足を高められます。住宅設備の入れ替えは費用が発生するからと敬遠するのではなく、あくまで「入居者目線」で考えて検討することが大切です。

特に、入居者が入れ替わるタイミングでの交換であれば、入居者へ負担をかけずに行うことができ、早期の入居者獲得にも効果的です。入居者の退室があった際にはその都度、賃貸管理会社の協力を得ながら住宅設備の状態を確認し、適切な交換時期を見極めておくことで安定したマンション経営に繋がるでしょう。

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