マンション経営をスタートするときは、「物件選び」に目が行きがちですが、その前段階の「不動産会社選び」からはじめるのが賢明です。このときの指標になるのが、「マンションの販売と賃貸管理のどちらにも力を入れている不動産会社か」です。その理由について解説していきます。
マンション経営にとって賃貸管理が重要な理由
賃貸管理は、マンション経営の安定に欠かせない業務です。それぞれの会社で領域は違いますが、一般的には次のような内容です。
●入居者募集(相場賃料の調査、募集図面作成、サイト上への募集登録、物件周辺業者への紹介活動など)
●入居申込対応、入居者審査
●賃貸借契約の締結(書類作成、入居者に対する契約内容の説明、家財保険加入手続きなど)
●家賃の集金、滞納の督促
●入居中の突発的な修繕対応
●賃貸借契約の更新業務
●退去に関わる業務(退去立会い、クリーニング・原状回復工事の手配、退去精算など)
これらの業務をオーナー(投資家)自身で行わなければならないのではと思った方もいるかもしれませんが、会社員をしながらマンション経営をするケースなどでは、賃貸管理会社に任せるのが一般的です。なぜなら、ここで挙げた業務のほとんどは専門的な知見が要求されることに加え、急ぎの対応が求められる入居中の対応、平日に行われるかもしれない退去立会いなどを会社に勤めながら行うのは極めて困難だからです。
販売と管理の両方に注力する不動産会社を選ぶべき
賃貸管理は入居者満足に直結する要素であり、物件の立地や品質とともにマンション経営の成功に欠かせません。マンション経営成功の近道は「物件力と管理力の両立」といえます。そして、この両立を実現するにはマンションの販売と管理のどちらにも力を入れている不動産会社と取引するのが賢明です。マンション販売のみに注力している不動産会社や管理だけをやっている会社と個別に契約する方法もありますが、なぜそれではだめなのでしょうか?
マンション販売のみに注力している不動産会社は、販売後の賃貸管理は自社の領域ではありません。これに対して、販売と管理のどちらにも力を入れる不動産会社は、売ったあとのことを意識しながら販売しています。もし、入居稼働率の良くない粗悪な物件ばかりを販売してしまえば、入居稼働率がガタ落ちになり、賃貸管理部門の信頼が下がってしまうからです。(これについては、次項で詳しく解説します)
それにより、会社全体の売上に影響が出る可能性があるため、入居稼働率の見込める物件をお客様におすすめしていく必要があります。
信頼できる管理会社を選ぶための3つの質問
マンションの販売と管理のどちらにも力を入れる不動産会社の中から、さらに信頼できる会社を選ぶ方法があります。賃貸管理部門のサービス力を比較検討するには、担当者に次の3つの質問をするとよいでしょう。
●賃貸管理サービスを何年提供しているか?
投資用マンションを販売する会社で賃貸管理部門を持つ会社も多い傾向です。しかし、賃貸管理のノウハウは一朝一夕で築けるものではありません。10年、20年など長期間、賃貸管理サービスを提供している会社が安心です。
●実績はどれくらいあるか?
実績(管理戸数)は賃貸管理会社の信頼性をはかるバロメーターです。管理戸数が多いということは、それだけ顧客の信頼が厚いということです。トラブル対応がよい賃貸管理会社の物件は入居者の満足度が上がります。なぜなら、それによって安定経営が実現してオーナー満足も上がり、リピーターになりやすいからです。
●管理物件の入居稼働率は何%か?
その賃貸管理会社の実力を判別する最もよい方法は、管理物件の入居稼働率を確認することです。入居稼働率が高いということは、入居者決定力やトラブル対応力がある証明になります。入居稼働率がどれくらいだと優秀かはエリアによって違います。また、入居者の入れ替えを想定した免責期間を設けて算出しているケースもありますので注意が必要です。候補となっている賃貸管理会社の入居稼働率を比べてみて、一定の水準を満たしていない業者は除外するのが得策です。
資産管理で貢献してくれる不動産会社がベスト
欲をいえば、オーナーと一体となって経営を手厚くバックアップしてくれる不動産会社をパートナーにするのが理想です。賃貸管理にプラスして、「どう資産運用していくのが効率的か」の資産管理も提供している不動産会社が望ましいでしょう。たとえば、税務面でのフォローをしっかりしてくれたり、規模を拡大するためのアドバイスをしてくれたりする……このような不動産会社が理想です。
また、次に挙げるような、安定経営に貢献するようなサービス提供をしている不動産会社を選ぶとリスク回避ができます。
- 家賃保証(サブリース)
- 万が一の賃料低下時のサポート
- 内装リフォーム、設備の修繕・交換費用のサポート など
ちなみに、管理代行手数料は毎月の家賃などの3~5%前後が一般的です。固定費になりますので、少ないパーセントで設定している不動産会社を選んだ方が一見有利に思えるかもしれませんが、どこまでのリスクや業務に対応できるのか、サービス内容を比較したうえで選択することが大切です。
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