不動産投資の基本
2017/12/14

老後資金の一助として浸透するか?リバースモーゲージとは

(写真=hxdbzxy/Shutterstock.com)
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かつて右肩上がりだったサラリーマンの所得は、年収300万円時代になり、給与だけで老後資金を準備するには厳しい時代となっています。さらに、国の年金制度だけでは老後資金は十分に賄えるとは言えません。自分の老後資金は自分で準備する時代に変化する中、リバースモーゲージという手法が脚光を浴びています。リバースモーゲージは、不動産を担保に老後資金を借り入れる方法ですが、はたして老後資金の一助として浸透するのでしょうか。

リバースモーゲージの仕組み


リバースモーゲージとは、不動産を担保に金融機関が不動産の所有者に融資する仕組みのことで、リバースとは「逆」、モーゲージとは「担保」や「抵当権」という意味です。通常の融資では融資実行後、たいていは翌月から返済が始まります。しかし、リバースモーゲージは、借り主が生存中は返済の義務がありません。死亡後に借り入れを返済する仕組みになっているのです。所有者は融資を受けた後も、物件へそのまま住み続けることができます。返済は所有者が死亡後、担保になった不動産を売却した資金で一括返済します。

借り入れ方法は、年金のように「月々受け取る方法」や「一括で受け取る方法」、「必要なときに借り入れる方法」があります。この3タイプをすべてそろえている金融機関もあります。リバースモーゲージでは土地を中心に評価しているため、融資額は戸建では物件評価額の50~70%が多く、マンションだと50%以下か、融資をしない金融機関が多い傾向です。ただし、資産価値が落ちにくい立地と判断されれば、マンションでも融資対象となる可能性が高まります。

メリットを活かすには長期的な運用計画が必須


「生存中の返済義務がない」という点がリバースモーゲージの大きな特徴であり、メリットになります。日々の生活費から返済金を捻出する必要がありませんので、退職金などを当面の預金として貯めておくことが可能です。自宅不動産は活用方法が限られており、継承者がいなければ、社会問題にもなっている空き家にもなりかねないリスクがあります。そのため、リバースモーゲージは自宅不動産の出口戦略としては有効的な活用方法だといえるでしょう。

デメリットは、物件評価の見直しが毎年行われるため、状況によっては「当初の評価を大きく下回る可能性がある」ということです。融資限度額を評価が下回った場合、差額の一括返済などを迫られるケースも考えられます。また、リバースモーゲージでは所有者が死亡した後、不動産を売却しますので、相続人がいても不動産を相続することができません。そのため、借り入れの際には推定相続人の承諾が必要になります。推定相続人や子どもがいる場合は、長期計画を見通したうえで検討することが大切です。

金融機関によって異なる契約内容に注意


リバースモーゲージは金融機関によってさまざまな契約形態があります。まず、資金使途は自由に使えるケースが多い傾向です。中には、老人ホームへの一時金や、自宅のリフォーム費用に限定されている金融機関もあります。金融機関によって異なりますので、事前の確認が必要です。死亡後の物件売却のタイミングについても確認する必要があります。即売却という金融機関が多いのですが、配偶者が生存している場合は、できれば住むところは確保してあげたいものです。その場合、売却期間を数年待ってくれたり、配偶者が権利を受け継いでくれたりするなど、そのまま居住できる金融機関もあります。他にも、住宅を賃貸として貸し出し、その家賃から返済をしていく契約もあります。このようにさまざまな契約形態がありますので、しっかり確認して、自分の状況や目的にあった内容で契約することが重要です。

老後資金の一助として活用してみよう!


自宅不動産の場合、売却や賃貸に出して資金を得ることができたとしても、自分が住む別の住居を確保しなければなりません。新しい住居のために家賃や、さらに自宅を購入したのなら返済金が毎月かかります。その点リバースモーゲージは生存中に住み続けることができるうえ、返済しなくてよいため、老後資金として有効活用が可能です。もし自宅を所有していて、相続に問題なければ、老後資金の一助としてリバースモーゲージを一度検討し、活用してみても良いでしょう。

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