将来崩壊の中古マンション、安定経営を続ける中古マンション。その差はどこ?

(写真=PIXTA)
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マンション経営のセオリーとして「人口が安定している首都圏の物件を選ぶべき」という意見が一般的です。すでに日本は地方を中心に人口減少社会を迎えていますが、都心と一部の首都圏では現在も人口が増加していて、長期的に見ても人口が安定すると予測されています。だからといって、首都圏のすべての物件が投資に値するわけではありません。安定経営を実現する物件の条件を考えます。

駅近、立地がよくて清潔……これらは前提条件でしかない

「入居率の高い投資用マンションのポイント」のようなテーマでよく挙げられるのは、次のような項目です。

●ブランドエリアをはじめとした都心の好立地
●人気ターミナルへのアクセスが良く、駅近
●共用スペースが清潔
●周辺環境がよい
●外壁に大きなヒビがない など

上記のような項目もたしかに大切ですが、これらは最低限の条件といえるものです。たとえば、飲食店でも立地がよくて清潔なことは、最低限クリアすべきことでしかありません。繁盛店をつくるには、さらに一歩進んだ工夫やノウハウが必要です。

同様に、安定したマンション経営を実現するには、上記で挙げたような「目に見える部分」だけではなく「目に見えにくい部分」もしっかりチェックする必要があります。

修繕積立金が足りないと収益力が低下する可能性も

物件購入時にチェックしておきたい、目に見えにくい部分としては「修繕積立金のストック状況」があります。修繕積立金とは、マンションの共用部分(例:エントランス、建物外壁、エレベーター……)のメンテナンスのために積み立てている費用です。区分マンションの場合、各戸の所有者から修繕積立金を毎月集めて、将来の大規模修繕に備えます。

この修繕積立金が必要な分だけストックできず、万が一大規模修繕が先送りされてしまうと、建物の質が落ちて入居者満足が低下し、結果的に空室が発生しやすい環境になる恐れがあります。

修繕積立金が不足する理由としては、昨今では建築資材・人件費の高騰などの要因で、実際に必要となる建築費が新築当初の長期修繕計画における予算を上回っていることが大きいと言えます。ただし、修繕積立金が不足するからといって、大規模修繕が実施できないとは限りません。所有者全員から一時金を集めて大規模修繕を実施しているケースも多く見受けられます。

また、すぐにまとまった金額を集められない場合でも、管理組合向けローンを活用して大規模修繕を実施する方法があります。管理組合向けローンは、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」をはじめ、いくつかの金融機関が取り扱っています。ローンを活用する場合はもちろん、計画的な返済を行うことが前提となります。

長期修繕計画をずっと見直していない物件は要注意

もうひとつ、購入前にチェックしたいのは「長期修繕計画の内容」です。前項で解説した修繕積立金は長期修繕計画に基づき運用されています。工事の時期・規模・内容などがすべてこの計画に沿って決まります。

この長期修繕計画の内容が甘ければ、修繕積立金のストックが足りなかったり、工事の費用が見積りよりも増えたりすることもあります。また、工事費用の内訳は「材料費+人件費」が主ですが、景気の動向などで変動するため定期的な見直しも必要です。

といっても、一般の方が長期修繕計画を見ても、その内容が適正か判断しにくい面もあります。カンタンに確認する方法としては管理組合に「長期修繕計画をどれくらいの頻度で見直しているか」を聞くとよいでしょう。5~6年おきなど、こまめに見直しているのであれば、決定的な問題はない可能性が高いと判断できます。

逆に、ある程度の築年数にも関わらず、竣工してから長期間確認していないといった状況であれば、潜在的な問題があることを疑うべきです。必ずしも「長期修繕計画を見直していない=将来崩壊する中古マンション」とは限りませんが、念のため、マンション管理にくわしい方にアドバイスしてもらってから購入した方が賢明でしょう。

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