不動産投資の基本
2019/01/28

これからの入居者のプロファイルはどう変わっていくか

(写真=baranq/Shutterstock.com)
(写真=baranq/Shutterstock.com)
最近の賃貸物件の入居状況を調べるのに、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が半期ごとに出している、賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」が参考になります。これは主に賃貸仲介のプロ向きの情報が掲載されていますが、広く公開もされ、賃貸物件オーナーが最近の賃貸市場を知る手掛かりとなる情報が満載です。

例えば、各種統計は全国版と首都圏、関西圏、首都圏と関西圏を除いたエリアに分けて掲載され、また前年同期比で、各種数値がどう変化しているかを5段階(増えた=対前年比+10%、やや増えた=対前年比+5%、変わらない=±0%、やや減った=対前年比-5%、減った-10%)で表しています。

またDI値といって2016年下期比で前年より増加または良い、とした企業の割合から対前年比より減少または悪い、を引いた数値も掲載しています。

今回は、直近の調査結果(2017年10月~2018年3月)を分析し、直近の賃貸住宅の傾向を紐解いていきましょう。解説は全国と首都圏を中心に、2016年下期比での比較を行っています。

※日管協短観 2017年度下期データ

1.サマリー

賃貸業者の店舗に訪れる数は、法人と外国人が上昇しています。また賃貸の契約件数、成約賃料の両方が上昇しています。敷金、礼金なしの物件割合が上昇しています。

2.告知媒体

何を見て、賃貸物件を探しているかの傾向がわかります。いわゆるポータルサイト経由が全国では約4割、首都圏では約5割を占めています。続いて賃貸業者が自ら運営しているHP経由が全国、首都圏の両方で約2割を占めています。全エリアで自社HPの割合が増えていますが、その理由は自社サイトの工夫や充実化を各業者が注力していることによると類推されます。

3.反響効果

どの告知媒体を使うことで、賃貸顧客が増えているのかを表すのが反響効果です。全国ではポータルサイトを使った賃貸住宅管理会社の約6割弱で、反響効果が対前年比で伸びています。これは、景気拡大による、賃貸物件への需要上昇効果が表れていると思われます。

4.来客数とそのカテゴリー

全国規模で見ますと、学生、一般単身、一般ファミリーの来客指数数値は、対前年比ですべて減少しています。一方、高齢者(65歳以上)がわずかに上昇、法人と外国人が大幅に上昇しています。これは、年代別人口の推移である、高齢者の増加と、若年層、中年層の減少の現状が如実に表れています。また、景気拡大による法人契約の大幅増加が顕著に見られます。さらに最近の外国人のインバウンド増加による契約も如実に増えています。

5.成約件数

全国の成約件数は賃貸物件ついて、前年同期比で上昇しています。一方売買取引は、減少傾向となっています。これからわかることは、個人消費の伸びは鈍かったため売買は不活発で、その分賃貸物件に流れたと思われます。

6.成約賃料

全国平均で見ると、対前年比約5割が変化なしとなっていますが、成約賃料指数推移を見ますと、1R~1DKにおける増加傾向が顕著です。特に首都圏では1R~1DKのカテゴリーにおいて34.6%が増加したと回答しており、1R~1DKの成約賃料は2016年下期と比較して大幅に良くなっていることが見て取れます。

7.入居率、滞納率

入居率は全国で若干下降、さらに首都圏でも若干下降傾向が見られるものの、ほぼ横ばいと見てよいレベルです。

一方月末時点での2ヵ月以上滞納率は、全国平均ではほとんど変わりませんでしたが、首都圏では0.9%から1.4%と若干上昇しています。

8.平均居住期間

こちらは、居住者のセグメントによってかなり異なる結果が出ています。全国平均で見た場合、学生では2~4年居住が81.1%、学生以外の一般単身では2~4年居住が65.7%、4~6年が22.4%となっています。また、一般ファミリーでは4~6年が61.9%、6年以上が14.9%と、単身者よりも居住期間が長くなる傾向が見て取れます。

さらに、65歳以上の高齢者に至っては64.9%の世帯が6年以上居住しています。これは、年齢が上がるにつれて転居することが億劫になることからだと思われます。

9.一時金、家賃保証会社利用

敷金、保証金は全国、首都圏とも平均月数が落ちています。礼金は全国平均で落ちていますが、首都圏では横ばいが続いています。また、家賃保証会社(借主向け連帯保証人代行サービス)を利用している賃貸住宅管理会社は依然として95%を超えており、機関保証への加入を必須とする賃貸住宅管理会社も首都圏・関西圏を中心に増加傾向にあります。

10.入居条件

全国平均で、礼金なし物件は4割超、フリーレントでは5割超が増加したと回答しています。礼金なし、敷金なし物件は増加傾向にあります。フリーレントは依然として高い傾向にあります。


ここまで見てきたように、首都圏では賃貸物件のオーナーにとって状況が好転しているといえるでしょう。特に、首都圏における1R~1DKの成約賃料は2016年下期と比較して好転しています。ただし、入居者確保のために敷金、礼金、フリーレントなどの入居条件を軽減している傾向も見逃せません。特に地方物件に関しては、今後この傾向がますます強まることが予想されます。

また、これからターゲットとする入居者は、首都圏の単身者、高齢者や外国人だということが、これらの調査から明らかになっています。今後はこの層を積極的にターゲットにすることで、賃貸経営を安定したものにすることができるのではないでしょうか。

単身者に選ばれる立地や物件を選択することは大前提ですが、そのうえで物件のバリアフリー化、外国人の層が住みやすい管理体制を作ることにより、多様な入居者に選ばれるよう配慮することが求められます。

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