土地の価格は「一物多価」といって、用途によってさまざまな評価方法があります。それぞれの使用場面や調べ方などを紹介します。
実際に取引されている価格です。基本的に相対取引なので、言い値で買うという人もいれば、指し値(値切ること)をする人もいます。後述する3つの方法や不動産鑑定士による評価などで基準となる価格を算出することは可能ですが、さまざまな事情によって変わります。例えば、多少値引きしても早く売りたいという時や、周囲の環境に問題があるなど、買い主の心理的な負担が大きい時などがそれです。
実勢価格を知りたくなるのは、売買のときです。「いくらなら売れそうか」「いくらで買えばお買い得か」を考える際の目安となります。
実勢価格は成約しなければわかりませんが、近いものを調べる方法があります。それは、近所や似たような環境の取引履歴をみることです。このような価格査定を取引事例比較法といいます。
宅建業者ではない人でも取引事例を調べることができるツールとして、国土交通省の「土地総合情報システム」があります。アンケートによって集計された土地建物の取引の、売買価格やおおよその住所などがわかります。
取引の基準として、国土交通省が管轄するのが公示価格です。毎年1月1日時点の価格を、3月末頃に発表します。公示価格を補完するものとして、都道府県が7月1日時点の価格を9月頃に発表する基準地標準価格というものもあります。どちらも前述の土地総合情報システムや、市町村役場で調べることができます。
公示価格はある特定の場所(基準地)の地価を、国土交通省の土地評価委員会が鑑定します。2017年は2万6,000ヵ所で行われました。価格を知りたい土地が基準地とは全く同じ状況とは限らないので、接道状況や土地の形状などを考慮して加減する必要があります。
相続税は、基本的に時価で課税されます。時価を計算するために使われるのが相続税路線価です。また、積算評価という方法で土地建物の価値を査定する際にも利用されることがあります。価格は一般的に公示地価の8割程度で、国税庁が毎年7月頃にホームページで路線価図を発表します。
路線価は土地が面している道路ごとに設定され、間口や形状によって一定の割合で調整されます。相続税評価で使われる借地権割合や借家権割合も、路線価図に記載されます。
日本全国すべての道路に路線価があるわけではなく、他は評価倍率という方法で評価します。固定資産税評価額に、地域と地目によって設定された倍率をかけて計算します。
固定資産税を計算するときに使われます。他にも物件によっては都市計画税、売買時の不動産取得税と登録免許税も固定資産税評価額から算出します。おおむね公示価格の7割程度です。
固定資産税評価額を知ることができるのは基本的に本人のみですが、その算定の基礎となる固定資産税路線価は東京都や大阪市など一部の自治体が公表しています。評価の方法は相続税路線価と同様です。一般的に、単に「路線価」といえば、相続税路線価を指します。
土地の価格としてよく使われるものは4つ。実際の売買価格である実勢価格、売買価格など目安となる公示価格、相続税を計算するために必要な相続税路線価、固定資産税を計算する基礎となる固定資産税路線価です。公示価格と相続税路線価、固定資産税路線価の価格の比はおおむね10:8:7になります。
同じものが世界に2つとない不動産は、売買契約が交わされるまで確定した値段というものはありません。これらの値について知ることは、不動産投資を行ううえで大切なことでしょう。
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