税金
2018/05/16

家族・親族のためにまずは知っておこう!相続が「争族」になる原因

(写真=Iakov Filimonov/Shutterstock.com)
(写真=Iakov Filimonov/Shutterstock.com)
近年、相続に関するトラブルは増加傾向にあります。裁判所の「司法統計」によると、家庭裁判所への「家事相談件数」のうち、相続に関するものは2000年では9万62件でしたが、2012年には17万4494件と約2倍にまで増えました。さらに遺産分割事件(家事調停・審判)の新受件数においても、2006年には1万2614件であったのが、2016年には1万4662件と、10年間で約20%増加しています。その背景には、高齢化の影響による相続問題の増加や多様化があると考えられます。

そもそも相続は、被相続人(相続財産を残して亡くなった方)の死亡とともに開始され、相続人が複数いる場合に「遺産分割」が行われるケースが出てきます。反対に、相続人が一人しかいなかったり、あるいは「遺言」によって誰がどの財産を引き継ぐのか明確に指定されていたりした場合は、遺産分割の手続きが必要ないケースも多くなります。

ただ実際には、相続人の対象となる配偶者や子、あるいは親などが複数存在しているケースが多く、遺産分割でもめることが少なくありません。いわゆる“骨肉の争い”にまで発展してしまうケースは“争族(争続)”という言葉で表現され、親族間の関係性を悪化させています。そのような事態にならないよう、あらかじめ相続のポイントを押さえておきましょう。

遺産分割協議で、兄弟・親族間の関係が悪くなるケースが多い

そもそも遺産分割とは、被相続人の財産の分割方法を決めるために、相続人等の間で行われるものです。法定相続人および受遺者(遺言などにより遺贈を受けた人)の間で話し合い(遺産分割協議)を行い、それでもまとまらなかった場合は、調停や裁判など法的手続きを行うこととなります。それぞれの取り分については、遺言で相続分の指定がない場合の目安として、民法によって定められている「法定相続分」があります。相続の放棄がなかった場合、具体的には次のとおりです。
  • 配偶者と子供が相続人である場合
    配偶者1/2、子供(2人以上のときは全員で)1/2
  • 配偶者と直系尊属が相続人である場合
    配偶者2/3、直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
    配偶者3/4、兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4
なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。また、民法に定める法定相続分はあくまで目安で、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときなどに用いられます。必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。

遺言がある場合、遺言による相続分の指定は法定相続分より優先されます。ただし、遺言がある場合でも、法律で保障されている分(遺留分)より少ない場合は、「遺留分減殺請求」によって請求することが可能です。遺留分が定められているのは、配偶者や子、親(直系尊属)のみとなります。

このように、遺産分割は複雑な法律が絡んでおり、さらにはお金の問題となるため、どうしてもトラブルに発展しやすい性質があります。事実、遺産分割協議で話し合いがつかず、遺産分割事件として裁判所に持ち込まれるケースも数多くあります。裁判所の「司法統計」によると、2016年に新たに家庭裁判所に申し立てがあった遺産分割事件(遺産分割に関する「家事調停」および「家事審判」)の件数は1万4662件です。この数字は、実に年間死亡者の1%ほどに該当します。

なぜ争いが起きる?

遺産分割は本来、家族や親族といった近しい間柄での話し合いのはずです。しかしなぜ、これほどまでに家庭裁判所への調停・審判の申し立てが数多く発生したり、関係悪化につながったりするのでしょうか。

もっとも多い事例は、「誰がどのくらいの財産を受け継ぐのか」という問題をめぐっての争いです。金銭的価値(金額)の多寡はもちろん、その種類についても争いの元となる場合があります。

とくに、簡単には分割できない土地や建物(自宅など)の相続には注意しましょう。分割しづらい財産の比率が高ければ高いほど、争いになるケースが多くなります。接道条件が良い、土地の形状が良いなど、分筆(登記簿で一つの土地とされているものを複数の土地に分割すること)が容易な土地であればトラブルにはなりづらいと思われますが、そうでない不動産も多くあります。例えば、自宅や事業用不動産、一棟マンションやアパートなどは分割が難しいでしょう。

分割しにくい遺産の場合に用いられる方法は2つあります。一つは「換価分割」といって、土地や建物などを金銭に換え、相続人どうしで分配するという方法です。もう一つは「代償分割」といって、相続人のうち一人が土地や建物などを相続するかわりに、他の相続人に代償金を支払うという方法です。自宅などの場合には代償分割を行いたいところですが、被相続人や相続人の財産に現金が少ないと、遺産分割のために自宅であっても売却して現金に換える必要が出てきてしまいます。

また、遺産分割で気をつけたいのが、不動産の共有名義での相続です。これは遺産分割がうまくいかないときに起こりがちです。共有名義となった場合、売却や土地活用、建物の賃貸借などを行う際に、全員の同意が必要となります。そのため、手放したくてもどうすることもできず、固定資産税の支払いや土地の管理をしぶしぶ継続しなくてはならなくなってしまうのです。

加えて、農業を営んでいる方が亡くなり農地などを相続する場合、「納税猶予の特例」を受けられることがあります(一定の要件に合致している場合)。ただし、納税猶予の特例を一度選択すると、相続税の免除要件に該当しない限りは、長期間にわたる営農義務もしくは農地としての利用義務が発生します。そのため、納税猶予を選択するかどうかについて家族や親族の間で意見が合わなければ、トラブルに発展しかねません。

残された家族・親族の争いを避けるためには、生前の対策が重要

このように、相続は“争族”へと発展する要素が数多く含まれています。それだけに、事前の準備が不可欠といえます。とくに、生前の対策をどれだけ行っていたかということが、相続トラブルの可能性に大きく影響していきます。

本来であれば、相続は残された家族がより良く生きるためのきっかけとなるはずです。遺族のために、故人が財産を残していたという場合も多いでしょう。できるかぎり争うことなく平等に分け合えるのがベストです。そのためにも、あらかじめ、生前の準備を進めていきましょう。
 

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