2020年現在、都心部での不動産投資は平均4~5%前後の利回りが期待できるといわれています。これは、現状の超低金利政策の影響化にある預貯金や、国債の利回り水準に比べ魅力的な利回りといえるでしょう。
ただ、不動産投資には「表面利回り」と「実質利回り」という2つの利回りがあります。今回はその違いを詳しくみていきましょう。
(本記事は2017/09/13配信のものを2020/11/14に更新しております)
比較的高い投資利回りが期待できるのにも関わらず、初期投資の原資となる金融機関からの借入金(不動産投資ローン)は、前例のない低い金利での貸出しが続いており、これはメガバンク、地方銀行、信用組合、ノンバンクといった金融機関の規模には問わず、共通する動きです。
不動産投資における利回りと借入金利の差を「イールドギャップ」といいます。このイールドギャップの差が大きければ、比較的安全な投資と言えるかもしれません。イールドギャップによる差額が不動産投資の粗利となり、粗利内で修繕費や固定資産税、都市計画税、管理費などの経費が賄えればキャッシュフローは確保できます。
不動産投資にそれなりの利回りが期待でき、かつ借入金利が低い傾向にある2020年現在は、全体的にイールドギャップが大きい状態で推移しているといえます。
投資利回りは、物件に投資した購入総額に対して物件から得られる収支額、つまり物件の年間家賃収入の割合を算出したものです。
不動産投資においては、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があり、計算式は次の通りです。
投資物件の利回りを概算で掴むための利回りです。「グロス」ともいいます。スピーディに利回りを算出する際などに利用します。
家賃収入から運用にかかった諸費用を引き算出する利回りです。「ネット」ともいいます。物件価格に購入時の諸費用を足した上で算出する場合もあります。
実質利回りは、表面利回りで見込みのある物件に対してより細かい利回りを算出する際に活用します。より正確な利回りである一方、諸費用はどの程度の数値で算出するかにより変わります。
一方の表面利回りは不変であるため、不動産会社の広告などでは表面利回りを活用する場合が多いのです。これは一見、お得に見えてしまうケースもありますが、実際のところ必要な諸費用が含まれていない計算となりますので注意が必要です。
目の前に提示された利回りが、「表面利回り」と「実質利回り」のどちらなのかをまずは、確認することをおすすめします。
2種類の利回りを使い分けるポイントは、「どこまでの精密さを求めるか」という部分です。
特に中古マンションのような物件は、購入後に買主によるメンテナンスや補修、賃貸に出すにあたってのリノベーションなど諸費用がかかるケースもあり、実質利回りが落ち込むケースもあるでしょう。また、入居率の低い地方物件などでも実質利回りが落ち込むケースがありますので、表面利回りだけに囚われてはいけません。
どちらの利回りを使うかで大きく数字が変わりますので、中古物件の投資を検討している場合は、特に実質利回りを確認することが重要といえるでしょう。
不動産投資を成功させるにも、これら利回りの知識をはじめとした周辺知識を理解していくことをおすすめします。
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