進む東京都心の再開発(11)

築地エリア 小池都知事本丸「築地再開発検討会議」からのまちづくり動向

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

広く世間を騒がせた「築地市場移転問題」が一応の決着をみせてはいるものの、これから先の築地エリアに関して、憂慮している人も多いのではないでしょうか。そもそも、築地市場が開場したのは1935年(昭和10年)のこととなります。それだけの歴史がある築地市場が移転するとなると、築地エリアの先行きを不安に思うのも無理はありません。ここでは今後の築地エリアの向かう先について学んでいきましょう。

(本記事は2018/09/26配信のものを2020/05/03に更新しております)

▼目次

  1. 築地の魅力は市場だけではない!
  2. 「築地まちづくり」はどこへ向かうのか?
  3. 築地の再開発による真のポテンシャル発揮へ

1. 築地の魅力は市場だけではない!

築地にあるのは市場だけではありません。東京劇場や築地本願寺などの名所に加えて、国立がん研究センター中央病院などの施設があるだけでなく、朝日新聞や日刊新聞、ニチレイ、三井造船など、さまざまな企業が本社を置いているエリアでもあります。築地市場は2018年11月10日に移転されており、そこが大きな転換点になるかもしれません。

特にに注目すべきなのが、東京都が主導して行われている「築地まちづくり」についてです。2018年5月21日、外部の有識者からなる「築地再開発検討会議」から、築地再開発に関する基本的な方向性や考え方などを示した「築地まちづくりの大きな視点」が小池都知事に手交されたことにより、これからの築地のあり方が浮かび上がってきています。

2.「築地まちづくり」はどこへ向かうのか?

では、これから先、築地エリアはどのようになると予想されているのでしょうか。築地まちづくり関連の情報も交えながら、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

2-1. 2018年4月19日に行われた「東京都会議」

築地の魅力を最大限に活かし、築地まちづくりを俯瞰して整理することを目的に設置された「築地再開発検討会議」では、まさに、築地の未来について議論が展開されています。また2018年4月19日に行われた「東京都会議」では、築地まちづくりの目標が掲げられました。具体的には、次のような内容となっています。

都は、都心の23ヘクタールという大規模で貴重な都民共有の財産を効果的に活用して、新たなまちづくりを進め、都民の負託に応えていく必要がある。


<築地まちづくりの目標>
● 将来の都民にとっての価値を最大にすること
● 世界一の環境都市東京の実現に寄与すること
● 東京の魅力を内外に鮮明に発信できる持続可能な拠点とすること

※「築地まちづくりの大きな視点」骨子案について」東京都都市整備局

2-2. 23ヘクタールの段階的整備構想とは

この目標をベースに、23ヘクタールという大規模な土地を再開発していくにあたり、検討されているのは“段階的な整備”です。その内容としては、地下鉄新線の構想や幹線道路である環状2号線の整備など、インフラを中心とした設備を段階的に開発することで、価値の最大化を図るべきだと考えているのです。

小池都知事が2017年6月に示したところによると、築地跡地をいわゆる「食のテーマパーク」にする構想を検討していましたが、これは移転先である豊洲市場の事業者から反発を受けました。そのため今後は、豊洲市場のコンセプトもふまえつつ、両立していくためのプランを打ち出してくるものと思われます。

2-3. 今後の再開発のポイントは?

では、築地における再開発は、どのような点がポイントになるのでしょうか。資料にも掲載されているように、主に「立地条件の最大限活用」「時間軸を見据えた周辺との有機的つながり強化」「地域のブランド価値の再構築」の3つが挙げられています。ここからもわかるように、“立地”“つながり”“ブランド”がキーとなりそうです。

それぞれについてポイントを抜粋すると、次のようになります。

<立地>

  • 隅田川の河口に位置する立地の活用
  • 交通結節点の形成
  • 浜離宮恩賜庭園の連続性などの特性を生かした整備

<つながり>

  • 23ヘクタールの整備がもたらす波及効果
  • 周辺との有機的つながりの強化
  • 浜離宮恩賜庭園との連携

<ブランド>

  • 築地ブランドの引き継ぎ
  • 伝統的食生活や習慣の継承
  • 伝統と新たな価値の創造

「築地まちづくりの大きな視点」東京都都市整備局

3. 築地の再開発による真のポテンシャル発揮へ

築地のこれからについては、こうした方向性をもとに考えていく必要がありそうです。この先、再開発によって築地は大きく変貌していく可能性があります。そのポテンシャルを最大限に活かすことができれば、東京都の新しい中心地として進化していくかもしれません。

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