都心の再開発
2018/12/27

進む東京都心の再開発(16)

高輪ゲートウェイ新駅エリア「品川開発プロジェクト」からイメージする新国際都市

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
JRの在来線はもちろんのこと、東海道新幹線や京浜急行本線などが乗り入れるターミナル駅の品川。平日・休日問わず、駅および駅周辺はたくさんの人であふれかえっています。かつては江戸四宿のひとつである「品川宿」として知られていた品川周辺地域も、品川インターシティや品川グランドコモンズなどの開発プロジェクトが進められ、現在では洗練された街並みを有しています。

そんな品川において、近年、新たな再開発が進められています。2020年には、田町~品川駅間において新駅の暫定開業を目指すとともに、周辺地域と連携した国際的に魅力のあるまちづくりの実現に向けた検討が進められているのです。今後、こうした再開発の進展によって、品川という街全体が変わっていくかもしれません。「品川開発プロジェクト」により、新国際都市として発展する品川の未来をのぞいてみましょう。

▼目次

  1. 新駅の名称が「高輪ゲートウェイ」に決定
  2. 品川駅周辺の再開発
  3. 「品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)」の計画概要
  4. 再開発で進化する品川の未来

新駅の名称が「高輪ゲートウェイ」に決定

JR東日本は2018年6月より、田町~品川駅間で建設が進む新駅の名称を公募していましたが、2018年12月に「高輪ゲートウェイ」となることが決定しました。

JR東日本は駅名選定の理由として、古来より江戸の玄関口として賑わいをみせた地であることなどの歴史的背景と、世界中から先進的な企業と人材が集う国際交流拠点となることへの期待を挙げ、「新しい駅が、過去と未来、日本と世界、そして多くの人々をつなぐ結節点として、街全体の発展に寄与するよう選定」したと公式発表しています。

※田町~品川駅間の新駅の駅名決定について ― 東日本旅客鉄道株式会社
https://www.jreast.co.jp/press/2018/20181201.pdf

駅名の公募においては、駅ができるエリアの地名である「高輪」「芝浦」「芝浜」などシンプルなものが票を集めていたこともあり、駅名発表後にはインターネット上で反対派による署名運動が起きています。駅名撤回を求める署名は、12月15日時点で3万5,000人を突破したと報道されています。駅名に対する賛否両論はあるにせよ、2020年の新駅暫定開業に向け、着々と準備が進められていることが伺えます。

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品川駅周辺の再開発

2018年5月に行われた国家戦略特別区域会議にて、「品川駅北周辺地区」が都市再生プロジェクトとして追加されました。今後は、東京都の国家戦略特別区域の特定事業として進められることとなります。ちなみに国家戦略特別区域とは、安倍内閣が掲げる成長戦略のひとつとして、地域振興と国際競争力向上を目的に規定された経済特区のことです。一般的には「国家戦略特区」と略されています。

また2018年9月には、JR東日本が「品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)」の都市計画概要を公式発表しました。具体的にどのような再開発が予定されているのかを知ることで、より品川の未来をイメージしやすくなることと思います。そこで、「品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)」の概要について、その詳細を見ていくことにしましょう。

「品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)」の計画概要

第Ⅰ期計画においては、品川新駅と国道15号にはさまれた約9.5ヘクタールの区域を4つの街区に分け、合計5棟の建築物が誕生する予定です。
 
(東日本旅客鉄道株式会社「品川開発プロジェクト(第1期)に係る都市計画について」より)
(東日本旅客鉄道株式会社「品川開発プロジェクト(第1期)に係る都市計画について」より)

「都市再生への貢献」として掲げられている再開発方針には、次の3つが挙げられています。

方針1.世界につながり、地域をつなぐ、エキマチ一体の都市基盤形成
方針2.国際ビジネス交流拠点にふさわしい多様な都市機能の導入
方針3.防災対応力強化とC40が掲げる先導的な環境都市づくり

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

<方針1.世界につながり、地域をつなぐ、エキマチ一体の都市基盤形成>

その1:国際ビジネス交流拠点の顔となる、新駅前の重層的な広場の整備

新駅前の歩行者ネットワークの起点として、新駅と街を一体的につなぎ、国際ビジネス交流拠点の顔となる歩行広場を整備する予定です(新駅歩行者広場)。加えて、新駅と周辺地域をつなぐ地域交通機能を担う交通広場も整備される予定となっています(新駅交通広場)。
 
(東日本旅客鉄道株式会社「品川開発プロジェクト(第1期)に係る都市計画について」より)
(東日本旅客鉄道株式会社「品川開発プロジェクト(第1期)に係る都市計画について」より)

その2:駅と街全体を一体的につなぐ交流空間の創出

デッキレベルを中心に、広場や歩行者ネットワークを南北方向に連続して整備。地上・デッキの一体的な整備が特徴となっています。また、泉岳寺駅および新駅と街全体を一体的につなぐ交流空間も実現する予定です。
 
(東日本旅客鉄道株式会社「品川開発プロジェクト(第1期)に係る都市計画について」より)
(東日本旅客鉄道株式会社「品川開発プロジェクト(第1期)に係る都市計画について」より)

その3:芝浦港南地区や高輪地区など周辺地域とつながる基盤整備

再開発地区が面している芝浦港南地区や高輪地区、さらには三田・田町方面へとつながる歩行者ネットワークおよび広場の整備も予定されています。鉄道用地等の上空を横断する歩行者専用道や、緑地、広場など、空間を活かした整備が意識されているのがわかります。

<方針2.国際ビジネス交流拠点にふさわしい多様な都市機能の導入>

その1:文化・ビジネスの創造に向けた、育成・交流・発信機能の整備

今回の再開発では、文化・ビジネスの創造に向けた、拠点施設の整備が予定されています。国際会議等に対応したコンベンション・カンファレンスやビジネス支援施設を導入することで、育成・交流・発信ができる環境を整えています。

その2:外国人のニーズにも対応した、多様な居住滞在機能の整備

外国人のビジネスワーカーやその帯同家族ための居住施設も整備。ビジネスだけでなく、観光を目的とした短期滞在ニーズにも対応しています。国際水準の宿泊施設には、生活支援機能等も整備する予定です。

<方針3.防災対応力強化とC40が掲げる先導的な環境都市づくり>

その1:地域の防災対応力強化とエネルギーネットワーク構築

約1万人が一時滞在できる施設の整備や、一時滞留スペース、さらには各街区で連携した災害支援機能を確保する予定です。また、自立・分散型エネルギーネットワーク構築により、災害時の業務継続性も実現されることとされています。

その2:未利用エネルギーの有効活用と環境負荷低減

これまで使われることのなかった未利用エネルギーに着目し、下水熱や食品廃棄物等のエネルギーの積極活用を進める予定です。水準としては、東京都建築物環境計画書制度に定められている段階3相当を目指します。

再開発で進化する品川の未来

このように品川は、新駅の開設を軸とした再開発により、新国際都市に生まれ変わろうとしています。今後は、ターミナルとしてはもちろん、ビジネスや文化が生まれる拠点としても注目されることでしょう。これからも、進化を続ける品川から目が離せません。
 

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【進む東京都心の再開発】
Vol.1:品川エリア「田町駅~品川駅間の新駅開発」と「品川駅前の再開発」
Vol.2:湾岸エリア 東京オリンピックの中心地として進化を遂げるための再開発
Vol.3:渋谷駅周辺エリア 新たなエンタテイメントシティを目指して大規模に生まれ変わる渋谷駅周辺の再開発
Vol.4-1:東京駅周辺エリア(前編)東京駅西側・丸の内口の再開発
Vol.4-2:東京駅周辺エリア(後編)東京駅東側・八重洲口の再開発
Vol.5:虎ノ門エリア 広大な再開発区域、相次ぐ超高層ビル建設、新駅の開発
Vol.6:東京・首都圏の道路整備「首都高」「環状2号線」「首都圏の交通インフラ」の再開発から目が離せない
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Vol.15:渋谷エリア 2018年再開発動向「渋谷ストリーム、渋谷ブリッジ、渋谷フクラス、渋谷スクランブルスクエア」
Vol.17:白金高輪エリア 地域に根ざした街の再開発、新駅「高輪ゲートウェイ」との相乗効果
Vol.18:下北沢エリア 小田急線の地下化、駅のリニューアル、カルチャーも守る住民参加型の再開発
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Vol.22:浜松町エリア 世界貿易センタービル建て替えなど国際拠点性を強化する大規模再開発プロジェクト
Vol.23:竹芝エリア 浜松町駅東側に広がる再開発群、国際競争性の高い観光・産業拠点へ

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