都心の再開発
2018/11/07

都心の再開発で注目される「MICE」施設の役割とは

(写真=TierneyMJ/Shutterstock.com)
(写真=TierneyMJ/Shutterstock.com)
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目前に控え、日本全体がにわかに活気づいています。その中でもとくに注目するべきは、"都心の再開発"に関連する動向です。オリンピック・パラリンピックで得られたものを次世代へと伝えていくためには、この大きな転換点における動向や活動を把握しておくことが重要です。

都心の再開発に関連する動向のうち、見逃せないのが「MICE(マイス)」です。MICEとは、「Meeting(会議・研修)」「Incentive tour/Incentive travel(招待旅行)」「Convention/Conference(国際会議・学術会議)」「Exhibition/Event(展示会)」の4つの頭文字を合わせた造語のことで、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称です。

すでに世界トップクラスの地位を築いている大都市・東京においても、MICEに活用できる大会議場やイベントスペース、宿泊施設はさらに必要とされ、大規模複合施設を新たに建設したり、周辺整備を行いながら既存施設を有効活用したりすることが要請されています。MICE施設の整備により、東京の国際交流の拠点としての役割がさらに高まり、都市力の向上や経済効果が期待できます。今回は都心の再開発で注目され、東京オリンピック以降の継続的な発展を占うMICE施設が果たす意義と役割を見ていきます。

日本政府によるMICE誘致の動向

会議(ミーティング)や研修旅行(インセンティブ・ツアー)、さらには国際会議(コンベンション)や展示会(エキシビジョン)なども行えるMICE施設は、日本再興戦略における重要なツールとして期待されています。とくに、訪日外国人数を拡大していくために欠かせない施設として注目されています。

たとえば「日本再興戦略 2016」には、MICEの可能性を見越して次のような記載がなされています。
  • コンベンションビューローのMICE 誘致に関して、国際競争力・体制強化のために、グローバルMICE強化都市に対して、マーケティングの高度化に向けた支援事業を実施する。
  • ユニークベニューの利用拡大・普及促進のため、施設管理者と利用者のニーズの齟齬や課題を整理し、施設側とも課題について情報共有を行う。
※「日本再興戦略 2016」首相官邸

誘致活動を中心となって進めている観光庁は、MICEの意義として「ビジネス・イノベーションの機会の創造」「地域への経済効果」「国・都市の競争力向上」といった点を挙げています。たとえば、MICEは会議開催、宿泊、飲食、観光等の経済・消費活動の裾野が広く、また滞在期間が比較的長いと言われ、一般的な観光客以上に周辺地域への経済効果を生み出すと考えられています。単なる観光にとどまらず、人の集積や交流から派生する付加価値や大局的な意義までを見据え、誘致戦略が展開されているのです。

観光庁による具体的な誘致戦略としては、日本におけるユニークな芸術や文化、先進的な学術研究、革新的な技術や製品の創出といった点をブランド化する取り組みが掲げられています。さらには「グローバルMICE都市」を選定し、重点的な誘致活動の促進を図っています。2017年4月時点では、東京都、横浜市、京都市、神戸市、福岡市、名古屋市愛知県、大阪府大阪市、札幌市、仙台市、千葉県千葉市、広島市、北九州市の12都市が選定されています。

※「MICEの開催・誘致の推進」観光庁

世界と日本、東京における国際会議開催件数

世界全体における国際会議開催件数は、2008年に10,501件であったのが、2017年には12,563件と約20%増加しています。また、日本においては2008年に337件であったのが、2017年には414件にまで増加していて、特に2015年から2016年の間で55件の急激な増加が見られます。アジア太平洋における主要5カ国(日本、中国、韓国、シンガポール、オーストラリア)の中で日本は6年連続で首位を維持しており、今後もさらなるMICEの誘致が期待されています。

また都市別にみると、2017年の東京における国際会議開催件数は101件で国内1位、世界18位となっていて、国内2位の京都(46件・世界50位)を大きく上回っています。このデータからも、アジアでトップを誇る日本においても特に「東京」が、世界から注目される都市であることがわかります。

※「近年の日本におけるMICE開催状況」観光庁

東京都心のMICE施設と「都心型MICE」構想

2018年現在で東京の都心にあるMICE施設をいくつか見てみましょう。代表的なMICE施設として、メインホール単体で5,000人規模のMICE開催が可能な「東京国際フォーラム」があります。東京国際フォーラムでは2012年10月、第67回IMF・世界銀行年次総会が開催され、近隣の帝国ホテル、ホテルオークラと連携して11,600名(非公式参加者を含めれば約2万人)を集めたビッグイベントとなりました。他にも大規模な展示会やイベントが実施可能な施設として、約9万5,000平米(仮設展示場含む)の展示面積を誇り、日本最大のコンベンション・センターとされる「東京ビッグサイト」があります。

また、MICE開催可能な施設としては、都心のホテルも見逃せません。たとえば、政治の中心である永田町に位置し、六本木ヒルズや東京ミッドタウンなども利用しやすい立地の「ホテルニューオータニ」(最大会場収容人数2,184人、ホテル客室数1,479室)、-再開発で注目される世界への玄関口・品川エリア-に位置する「グランドプリンスホテル新高輪」(最大会場収容人数3,604人、ホテル客室数917室)「品川プリンスホテル」(最大会場収容人数3,200人、ホテル客室数3,679室)などは、都心という立地や宿泊施設を兼ね備えている点、海外のお客様を「おもてなし」可能なスタッフが揃っている点など、MICE開催に向いている施設と言えます。

さらには「都心型MICE」の一環として、街全体をイベントやレセプションの会場に活用する構想も推進されています。特に、-東京駅丸の内口広場から行幸通り・仲通り、皇居へとつながる景観-は、日本を代表する地区として海外からの認知度も高く、独自性がありインパクトの大きいMICEを開催することができると考えられています。

まとめ

MICEは単なる観光にとどまらず、ビジネスや経済に大きな効果をもたらし、国・都市の競争力向上に貢献するものです。そのため、都心におけるMICE施設の果たす役割は今後も大きいと言えるでしょう。

都心の再開発においても、MICEを想定して宿泊施設を含む大規模複合施設を建設したり、周辺の緑地や広場、遊歩道や歩行者導線を整備したりするなど、街の価値を高める計画が各エリアで進められています。今後も未来を見据えた再開発やまちづくりにはMICE施設が重要なポイントになることは間違いないでしょう。その動向をチェックしてみてはいかがでしょうか。
 

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