歴史を紐解いてみると、好況期と不況期は交互に繰り返していることがわかります。好調に推移していた経済が、やがて何らかの"金融危機"によって低迷し、少しずつ回復したかと思えば、また別の金融危機によって後退していく。歴史とはまさに、くり返しの産物であることがわかります。
かつては、おおむね5~10年ほどで景気が循環するとされていましたが、金融危機の動向をみる限り、そのサイクルはどんどん短くなっているように思えます。景気循環が投資判断に大きな影響を及ぼす以上、投資家はこうした動向をふまえて投資判断に活かす必要がありそうです。そこで、金融危機と投資の関係性について、あらためて考えてみましょう。
(本記事は2018/06/08配信のものを2020/09/16に更新しております)
まず、ここ50年ほどで発生した代表的な金融危機を見てみましょう。次の通りです。
上記の中でも過去に発生した金融危機のうち、とくに注目しておきたいものとして挙げられるのは、世界初のバブルといわれている「チューリップ・バブル」、日本で起きた未曾有の狂乱時代「平成バブル」、そしてリーマン・ブラザーズの破綻に端を発する「リーマン・ショック」の3つです。
ちなみに、現在世界中で蔓延している新型コロナウイルスによる影響は、迅速な各国の政府および中央銀行の対応によって「金融危機」にまでは至っていないため、ここではまず前述3つの背景について見ていくこととします。
世界初のバブルと評される「チューリップ・バブル」は、1630年代後半にオランダで起きたとされています。当時のオスマン帝国からもたらされたチューリップの球根が、やがて異常な高騰を記録し投機の対象となったのです。しかしその後、チューリップの価格は急落。一夜にして多額の富を築いた関係者は、やはり一夜にしてその財を失いました。
日本人にとって最も馴染み深いのが「平成バブル」でしょう。1980年代後半から1990年初頭にかけて、株式や不動産などの資産価格が高騰したことにより好景気となったことを指します。しかし実体経済とかけ離れた価格上昇であったことから、その後は資産価格の下落を招き、日本経済は「失われた20年」とも呼ばれる長期不況に陥りました。
特に不動産に関しては、土地の値段は必ず値上がりするという「土地神話」を背景に投機(短期的な利益を目的とした売買)が繰り返されたために、不動産価格の急激な上昇を招き、その後大幅に価格が下落するという望ましくない事態が引き起こされました。現代の不動産関係者としては、当時の状況を忘れずに教訓としている人も多いでしょう。
アメリカを中心とする金融危機で記憶に新しいのは、やはり「リーマン・ショック」ではないでしょうか。2008年のリーマン・ブラザーズ(アメリカの投資銀行)破綻に端を発するリーマン・ショック、その背景にはサブプライムローン問題がありました。サブプライムローンとは、低所得者層向け住宅ローンのこと。ここにも不動産が関係しています。
このように、過去の金融危機を見てみると、そこにいる当事者はそれがバブルだと気づいていないことがわかります。後になって冷静に考えてみると、それがいかに異常なことなのかはわかるのですが、実際に取引している当時の人々からしてみると、それは日々の延長であり目の前にあるチャンスとなってしまうのです。
その点、これまでの金融危機から私たちが得られる教訓としては、短期的な視点ではなく中長期的な視点で投資に取り組むべきということではないでしょうか。たとえば、マンションオーナーの収入から考えてみても、短期的な売買ではなく中長期的な家賃収入を考慮していれば、金融危機でも大きく損をすることはありません。
不動産はよく"経済危機に強い"といわれます。その理由は、不動産は「現物資産」だからです。
例えば株式などは価格が経済情勢に大きく左右され、経済危機の状況では急激に下落するのに対し、不動産の価格変動はゆるやかで、経済危機であっても急激に価値が下落することはありません。また、仮に不動産価格が下落したとしても、実物である不動産がなくなってしまうことはなく、そこに住む人がいる限りは「家賃収入」という収益を得られる可能性があります。
特に、賃貸需要があるエリアの物件は、経済状況に左右されることなく、家賃は一定の水準を保っています。それはまさに、マンション経営が安定的な事業であることの証拠といえるでしょう。だからこそ、マンション経営は投資の王様なのです。
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