物件のライフサイクルから考える!なぜ不動産投資には“経営者視点”が求められるのか

(写真=Khakimullin Aleksandr/Shutterstock.com)
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不動産投資には「経営者視点」が不可欠です。たしかに、不動産投資を実践している人の中には、短期的な視点で取り組んでいる人もいます。ただ、短期的に大きな利益をあげようとすると、どうしても無理が生じてしまうこともあり、不動産投資の精度が下がってしまう点は見逃せません。より成功確率を高めるには、やはり、経営者視点が欠かせないのです。

経営者視点とは、中長期的な立場にたち、戦略的に不動産投資を実践することを指しています。特に不動産および投資家には“ライフサイクル”があるため、そのライフサイクルに沿った形で賃貸経営を実践していくことが求められるのです。具体的に、どのようにして不動産投資を実践していけばいいのでしょうか。そのポイントについて紹介しましょう。

物件のライフサイクルと投資家のライフサイクル

不動産のライフサイクルを考えるにあたり、建物の寿命を見てみましょう。寿命と聞いてまず思いつくのは「法定耐用年数」です。鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年とされています。しかしこれはあくまで税制上の目安で、実際はもっと長期間、鉄筋コンクリート造の建物を使用することができます。

国土交通省の資料によると、鉄筋コンクリート造の住宅における平均寿命は68年です(2013年小松幸夫「建物の平均寿命実態調査」)。また、日本建築学会の「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事」によると、「計画供用期間の級」が「標準」(Fd:耐久設計基準強度が24以上)である鉄筋コンクリート造の場合、「大規模改修不要予定期間」は65年、「供用限界期間」は100年となっています。

つまり、鉄筋コンクリート造の建物は、全くメンテナンスをしなくても60年~70年使用できることに加え、しっかりとメンテナンスをすればさらに寿命を延ばせるということです。実際に、1911年に横浜市に建築された「KN日本大通ビル(旧三井物産横浜支店)」は日本初の鉄筋コンクリート造建築物として知られていますが、築100年を超える建物でありながら建て替えることなく現在も使用されています。

一般的には、築10年、15年といった節目において、マンションの大規模修繕を計画的に行います。区分マンションでは管理組合が主体となって、資金計画も含めて大規模修繕を実施しますが、一棟マンションではそれらのタイミングに合わせて、自ら責任を持って資金を積み立てておくことが求められます。それは、投資家本人のライフプランと兼ね合わせて考えておかなければならない事柄です。いざというときに資金がなければ大変です。

なぜ不動産投資には経営者視点が求められるのか?

そのような事情もふまえたうえで、不動産投資に経営者視点が求められる理由について考えてみましょう。主に、次のような理由が挙げられます。

・不動産投資は事業の側面が強い
そもそも不動産投資は、事業の側面が強い投資手法です。投資する対象が明確であり、かつ、その価値を測定するための方法もたくさんあります。つまり、きちんと計画したうえで着手すれば、高い確率で成功することも可能となるのです。加えて、購入から運用まで、きちんとサポートしてくれる業者(パートナー)の存在も心強いものとなります。

・短期視点と長期視点
投資の中には、短期間で利益獲得を目指すものもあります。しかし、そのような投資は総じてハイリスク・ハイリターンになりがちです。一方、不動産投資の場合は長期的な視点をもつことによって、ミドルリスク・ミドルリターンを実現しています。その点、きちんとシミュレーションを経て行う事業としての色合いが強いといえるでしょう。

・すべての判断は成果に結びつく
一方、投資である以上、不動産投資家の判断が成功を左右する要因となり得ます。どのような物件をどのようなタイミングで購入し、そしてどのように運用していくのかを考えることが不動産投資家の仕事です。それはまさに、自らの事業を進めていく経営者と同じです。だからこそ、経営者の視点をもって取り組むことが欠かせないのです。

投資家として、経営者として

不動産投資で実現したいことは、人によって異なります。そして、物件と投資家本人にライフサイクルがあるため、それぞれのタイミングで行うべき判断もまた異なって当然です。長期的なスパンで取り組むこととなる不動産投資を、投資家として、そして経営者として実践することにより、そこから得られるものはより大きくなるのではないでしょうか。ぜひ、ライフサイクルという視点からも、不動産投資について考えてみてください。

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