資産形成・運用
2019/02/08

東証一部上場企業まで預金残高改ざん?発覚が相次ぐ不正融資

(画像=wutzkohphoto/Shutterstock.com)
(画像=wutzkohphoto/Shutterstock.com)
不動産業界にとって、2018年は大きな出来事が続きました。とくにインパクトのある事件といえば、やはり「かぼちゃの馬車事件」でしょう。ご存知の通り、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズの経営不振に端を発したこの事件は、不動産投資だけでなく、不動産全般に関する信頼を失墜させたと言っても過言ではありません。

とくに、不動産投資業界だけでなく、“地銀の優等生”としても有名であったスルガ銀行の関与が取り沙汰されたことにより、問題はさらに大きくなりました。たとえスマートデイズが主導していたとは言え、資産状況に関するプロフィールシートなどの融資関連書類が書き換えられていたことについて、銀行側も黙認していた点は見逃すことができません。

この問題が広く世間を騒がした背景にあるのは、やはり、そうした不正融資の実態が明らかになったことでしょう。「まさか銀行が関与しているなんて」などと、驚いた人も少なくないはずです。すでに不動産投資を行っている人はもちろん、これから不動産投資をはじめる人は、こうした不正融資に対する厳しい目をもって取り組む必要がありそうです。

東証一部上場企業まで不正融資に手を染めた


不正融資関連の事件は、かぼちゃの馬車だけにとどまりません。実は、ある東証一部上場企業まで不正融資に手を染めていたことが明らかになりました。具体的には、収益不動産の販売を行う「TATERU(タテル)」において、アパートの購入を希望したオーナーの預金通帳残高を改ざんし、融資を受けられるように仕組んでいたことがわかったのです。

事件が発覚したのは2018年8月末のことでした。不正行為の内容としては、2018年5月、同社の社員が西京銀行の顧客に預金通帳の残高を改ざんして提出していたとのこと。実際の預金通帳には約23万円しかなかったものの、それを623万円に改ざんした結果、1億円の融資がおりたのです。その後、不正に気づいた顧客によって問題が発覚しました。

さらに同社では、融資審査を通すため、TATERU側の担当者が契約者の口座に670万円もの現金を振り込んでいた事実も明らかになりました。当初、「自己資金は10万円で大丈夫」と言われていたその顧客は、その後「一定の預金残高がなければ融資は難しい」と言われ、現金の振込を提案されたとのこと。こうした行為は、手付金の貸付などと同様、宅建業法が禁止する「信用の供与」に該当する可能性が高いとみられています。

「手付貸与の禁止」公益社団法人 全日本不動産協会

なぜ不正融資が相次ぐ?


では、なぜこうした不正融資が相次いで起きてしまったのでしょうか。その背景には、不動産業者の“モラル・ハザード”が関係しています。つまり、利益追求型の厳しいノルマ設定が、現場の担当者に対して、詐欺という犯罪行為への認識を欠如させることに至ったのではないかと考えられます。そうなると、もはや、法令遵守どころの話ではありません。

また、不正しなければ購入できない人に対し、マンションやアパートなどの一棟物件を販売することにも問題があります。資金力がある資産家に対して販売するのならまだしも、そうではない一般のサラリーマンに対し、一棟物件を販売するのは適切なのでしょうか。むしろ、そうしなければビジネスが成り立たないことに、問題の根幹があると言えそうです。

防衛策は「投資対象」と「業者」の見極め


このような事件をふまえたうえで、不動産投資を行う方はどのような点に注意すればいいのでしょうか。具体的な防衛策としては、どのような「投資対象」および「業者」が適切なのかを、事前に見極めるしかありません。実際に投資してからでは遅いのです。やはり、投資する前に、あらかじめきちんと判断することが求められます。

とくに投資対象については、立地や物件、価格など加味したうえで、無理のない範囲で投資できるのかを判断すること。業者に言われるがまま手を出すのではなく、投資可能な範囲で、堅実な物件に投資するよう心がけることが、自らを守るための最善策と言えます。

さらに業者については、顧客に対する信頼性があるかどうかはもちろん、金融機関に対する信用力についても見極めることが大切です。今回のような事件を受けて、不動産業界では、より信頼と信用力が重視されていくはずです。それらの点をよくチェックし、精査したうえで投資するようにしましょう。

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