一般的に、不動産は当然のように「資産」として認識されています。たとえば、マイホームを購入した方、あるいは相続などで不動産を承継した方を見て「あの人は資産を持っているから将来は安心だろう」と思われる方も多いでしょう。しかし、実際には不動産を所有していても、資産とはいえない、いわゆる"負"動産になってしまうケースがあるのです。
「"負"動産」とは、収益を生まないばかりか、持っているだけで固定資産税や維持費など費用がかかる不動産のことです。一時期、関東近郊の別荘地にある「1円物件(1円不動産)」がニュースで取り上げられ話題を呼びましたが、物件検索サイトで格安に見える物件も、実は"負"動産であることが多いのです。
なぜ、不動産には「資産になる不動産」と「資産にならない"負"動産」があるのでしょうか。その答えは「不動産が収益を生む可能性」に集約されています。
(本記事は2018/11/28配信のものを2021/4/29に最終更新しております)
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資産になる不動産と資産にならない"負"動産の違いについて理解する前に、その前提として"資産の定義"について考えてみましょう。
「資産」と聞くと、一般的には個人や法人が所有する金銭、土地、建物などをイメージする方が多いと思われます。会計分野に明るい方であれば、貸借対照表(バランスシート)における資産を思い浮かべるかもしれません。さらには、形のある資産(有形資産)だけでなく、情報や権利など形のない資産(無形資産)までイメージできる方もいることでしょう。
資産の定義をわかりやすく述べたものとしては、アメリカの投資家ロバート・キヨサキ氏が1997年に発表した『金持ち父さん貧乏父さん』があります。この書籍では資産の定義に関して、「資産とは、あなたのポケットにお金を入れてくれるもの」「負債とは、あなたのポケットからお金を奪っていくもの」という内容が述べられています。
ここで定義している資産は、あくまで「将来的に収益を生む可能性があるもの」であって、収益を生まないものに関しては資産ではないという考え方です。たとえば、自分たちが住むためだけの家であれば、金持ち父さんによる資産の定義から外れることとなります。
もっとも、この定義が必ずしも正しいというわけではありません。しかし、将来に備える資産形成においては、金持ち父さんが定義している資産、つまり「ポケットにお金を入れてくれるもの」「収益を生む可能性のあるもの」を選ぶことが大切になります。
【参考記事】
・あらためて紐解こう!『金持ち父さん貧乏父さん』にみる不動産のとらえ方
ここであらためて、資産になる不動産と、資産にならない"負"動産の具体的な違いについて見ていきましょう。同じ不動産というくくりでも、資産といえるかどうか考えてみると違いがあることがわかります。また、そのような視点で考えることで、資産形成に役立つ不動産が見えてくるのです。
まず、土地や建物を所有しているだけでは"資産がある"とはいえません。土地の場所や形状、建物の管理状態などによっては、残念なことに資産とはいえない"負"動産となってしまうケースがあります。資産といえるかどうか判断する上で重要なのは、あくまでも「将来にわたる収益力」です。
また、収益を生むためには、「継続して資産運用できる不動産かどうか」という点も重要です。たとえば、地方や郊外、とくに企業や大学、大型店舗が撤退していて賃貸需要が低いエリアは、空室リスクが高いため注意が必要です。このようなエリアでは表面利回りが高く、一見収益力があるように思える物件が出回っているケースもあります。しかし、一度入居者が退去してしまえば、次の入居者が全く見つからず、結局は収益を生まない"負"動産となってしまう可能性が高いのです。
【参考記事】
・高利回りには気を付けろ!地方や郊外のアパート・マンション経営のリスクとは
・高利回り物件はお宝物件?リスク物件?
・郊外の大学が続々と都心回帰。都心の賃貸マーケットに与える影響とは
"負"動産の怖い点は、収益を生まないことに加えて、維持管理の費用や労力がかかってしまうことです。まさに金持ち父さんがいう「ポケットからお金を奪っていくもの」、つまり資産ではなく負債です。たとえば、不動産投資を検討するうえで、毎月の家賃収入や手取り収入など目先の利益にばかりとらわれ、どのような経費がかかるのか考慮していないと、"負"動産に投資してしまうことにもなりかねません。
さらには、自分で購入する不動産だけでなく、親が所有する不動産にも注意が必要です。相続が発生したケースでよく見られるのは、固定資産税や除草、建物のメンテナンスなどで「ポケットからお金を奪っていく」"負"動産に加え、「争族・争続」の火種となる"負"動産が相続財産のなかに紛れ込んでいることです。このようなケースでは費用面の負担はもちろん、精神的な負担も大きくなります。
相続してから"負"動産に悩まされないためにも、まずは相続する可能性のある不動産を把握することが大切です。そのうえで「ポケットからお金を奪っていくもの」が見つかった場合には、早めに別の資産形態に組み換えておくことが求められます。
【参考記事】
・家族・親族のためにまずは知っておこう!相続が「争族」になる原因
・こんな方法も?!資産の組み換えで考える相続税対策
・要注意!地方物件と都心物件の経費率
不動産には、当然「資産」と呼べるものもあれば、「負債」つまり何かとお金がかかるだけの"負"動産もあります。資産とは呼べない"負"動産になる可能性が低く、資産と呼ぶにふさわしい不動産に投資したい方は、例えば「東京」の「区分所有」「ワンルームマンション」を検討すると良いかもしれません。
東京の区分所有ワンルームマンションは、安定的な賃貸需要が見込めるため、中長期の資産形成に向いている投資対象の一つです。なかでも六本木、青山、赤坂、麻布、恵比寿、銀座といった都心ブランドエリアや、JR山手線内側エリアなど賃貸需要が堅調なエリアでは、賃料が安定しており資産価値が低下しにくいという魅力があります。
加えて、港区・中央区・千代田区などが含まれる「アジアヘッドクォーター特区」を中心に、東京23区には大規模再開発エリアが数多く点在し、既に完成した再開発もあれば、2030年前後までに完成予定の再開発計画、現在は構想・計画段階ではあるものの10年以上かけて実現する可能性のある再開発もあります。ここ数年は再開発エリアに交通アクセスが良好な物件は、入居者が入れ替わる際に賃料が上昇するケースも少なくない状況で、今後もさらなる資産価値の上昇が期待されます。
大切なのは、まず「資産とは何か」を知り、「どのような目的で」「いつまでに」「どれだけの資産を築くのか」という目標や到達点を明確にしたうえで「どのような手段で資産形成すべきなのか」を検討することです。そうすることによって「自分が保有すべき資産は何か」「次世代に受け継ぐべき資産は何か」がわかるようになり、中長期的な投資戦略にもブレが生じなくなるでしょう。
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