都心の再開発
2018/09/26

都心の再開発(11):築地まちづくりの動向

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
広く世間を騒がせた「築地市場移転問題」が一応の決着をみせてはいるものの、これから先の築地エリアに関して、憂慮している人も多いのではないでしょうか。そもそも、築地市場が開場したのは1935年(昭和10年)のこととなります。それだけの歴史がある築地市場が移転するとなると、築地エリアの先行きを不安に思うのも無理はありません。

ただ、築地にあるのは市場だけではありません。東京劇場や築地本願寺などの名所に加えて、国立がん研究センター中央病院などの施設があるだけでなく、朝日新聞や日刊新聞、ニチレイ、三井造船など、さまざまな企業が本社を置いているエリアでもあります。現状、築地市場は2018年11月10日に移転するとされおり、そこが大きな転換点になるかもしれません。

とくに注目するべきなのが、東京都が主導して行われている「築地まちづくり」についてです。2018年5月21日、外部の有識者からなる「築地再開発検討会議」から、築地再開発に関する基本的な方向性や考え方などを示した「築地まちづくりの大きな視点」が小池都知事に手交されたことにより、これからの築地のあり方が浮かび上がってきています。

「築地まちづくり」はどこへ向かうのか?

では、これから先、築地エリアはどのようになると予想されているのでしょうか。築地まちづくり関連の情報も交えながら、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

・4月19日に行われた「東京都会議」

築地の魅力を最大限に活かし、築地まちづくりを俯瞰して整理することを目的に設置された「築地再開発検討会議」では、まさに、築地の未来について議論が展開されています。また4月19日に行われた「東京都会議」では、築地まちづくりの目標が掲げられました。具体的には、次のような内容となっています。

都は、都心の23ヘクタールという大規模で貴重な都民共有の財産を効果的に活用して、新たなまちづくりを進め、都民の負託に応えていく必要がある。

<築地まちづくりの目標>
● 将来の都民にとっての価値を最大にすること
● 世界一の環境都市東京の実現に寄与すること
● 東京の魅力を内外に鮮明に発信できる持続可能な拠点とすること

※「築地まちづくりの大きな視点」骨子案について」東京都都市整備局

・23ヘクタールの段階的整備構想とは

この目標をベースに、23ヘクタールという大規模な土地を再開発していくにあたり、検討されているのは“段階的な整備”です。その内容としては、地下鉄新線の構想や幹線道路である環状2号線の整備など、インフラを中心とした設備を段階的に開発することで、価値の最大化を図るべきだと考えているのです。

小池都知事が2017年6月に示したところによると、築地跡地をいわゆる「食のテーマパーク」にする構想を検討していましたが、これは移転先である豊洲市場の事業者から反発を受けました。そのため今後は、豊洲市場のコンセプトもふまえつつ、両立していくためのプランを打ち出してくるものと思われます。

・今後の再開発のポイントは?

では、築地における再開発は、どのような点がポイントになるのでしょうか。資料にも掲載されているように、主に「立地条件の最大限活用」「時間軸を見据えた周辺との有機的つながり強化」「地域のブランド価値の再構築」の3つが挙げられています。ここからもわかるように、“立地”“つながり”“ブランド”がキーとなりそうです。

それぞれについてポイントを抜粋すると、次のようになります。

<立地>
・隅田川の河口に位置する立地の活用
・交通結節点の形成
・浜離宮恩賜庭園の連続性などの特性を生かした整備

<つながり>
・23ヘクタールの整備がもたらす波及効果
・周辺との有機的つながりの強化
・浜離宮恩賜庭園との連携

<ブランド>
・築地ブランドの引き継ぎ
・伝統的食生活や習慣の継承
・伝統と新たな価値の創造

「築地まちづくりの大きな視点」東京都都市整備局

築地のこれからについては、こうした方向性をもとに考えていく必要がありそうです。この先、再開発によって築地は大きく変貌していく可能性があります。そのポテンシャルを最大限に活かすことができれば、東京都の新しい中心地として進化していくかもしれません。

>>【無料eBook】究極のTOKYOマンション経営

不動産投資に欠かせない知識満載のeBookプレゼント

【都心の再開発シリーズ】
Vol.1:品川エリア 「田町駅~品川駅間の新駅開発」と「品川駅前の再開発」
Vol.2:湾岸エリア 東京オリンピックの中心地として進化を遂げる湾岸エリア
Vol.3:渋谷駅周辺エリア 新たなエンタテイメントシティを目指して大規模に生まれ変わる渋谷駅周辺
Vol.4-1:東京駅周辺エリア(前編)東京駅西側・丸の内口の再開発
Vol.4-2:東京駅周辺エリア(後編)東京駅東側・八重洲口の再開発
Vol.5:虎ノ門エリア 広大な再開発区域、相次ぐ超高層ビル建設、新駅の開発
Vol.6:東京・首都圏の道路整備
Vol.7:六本木・赤坂エリア
Vol.8:銀座・日比谷・新橋エリア
Vol.9:大崎駅周辺・西品川エリア 副都心として発展を続ける「まちづくり」のモデルケース
Vol.10:武蔵小山エリア タワーマンション建設と道路整備で注目!城南エリアの新拠点
Vol.12:池袋エリア 副都心として多様性と発展性を備え、世界に開かれた一大ターミナル
Vol.13:東新宿・歌舞伎町エリア 訪日客を想定した世界的エンターテインメントの拠点整備
Vol.14:麻布十番エリア 地下鉄の開通・駅の誕生が街にもたらした新たな魅力と発展性
Vol.15:2018年渋谷エリアの動向 渋谷ストリーム、渋谷ブリッジ、渋谷フクラス、渋谷スクランブルスクエア
Vol.16:高輪ゲートウェイ 新駅を含む「品川開発プロジェクト」からイメージする新国際都市
Vol.17:白金高輪エリア 地域に根ざした街のリニューアル、新駅「高輪ゲートウェイ」との相乗効果
Vol.18:下北沢エリア 小田急線の地下化、駅のリニューアル、住民参加型のまちづくり
Vol.19:環状2号線、東京BRT、「HARUMI FLAG」 東京オリンピック・パラリンピック後も進化し続ける湾岸エリア
Vol.20:東京の国際競争力向上を占う「羽田空港アクセス線構想」「新空港線(蒲蒲線)計画」とは
Vol.21:原宿エリア JR原宿駅改良工事と大規模建て替えプロジェクト
Vol.22:浜松町エリア 世界貿易センタービル建て替えなど国際拠点性を強化する大規模プロジェクト
Vol.23:竹芝エリア 浜松町駅東側に広がる再開発群、国際競争性の高い観光・産業拠点へ

NEXT 都心の再開発(12):池袋エリア 副都心として多様性と発展性を備え、世界に開かれた一大ターミナル
PREV 都心の再開発(10):武蔵小山エリア タワーマンション建設と道路整備で注目!城南エリアの新拠点

関連記事