要注意!地方物件と都心物件の経費率

(写真=PIXTA)
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不動産投資を検討している人にとって、利回りは重要な判断要素の一つです。地方物件と都心物件の表面利回りを比較すると、地方物件の方が高利回りであるケースが多くみられます。地方や郊外では都心に比べると、たしかに表面利回りは高くなります。しかし表面利回りが高いというだけで投資先を決めてはいけません。地方物件と都心物件で経費の質が異なることに注意する必要があります。

お得なのは地方?都心?

地方では都市部に比べて人口が減っています。都心への人口の流出も起きており、不動産価格はあまり上昇していないばかりか、下落している地域も多くみられます。一方、都心の不動産市況は、人口流入などによって人口がいまだに増加していることもあり、不動産価格も上昇傾向にあります。

表面利回りでみると、都心物件より地方物件の方が高いという状況になっていますが、地方の場合は人口や利便性の悪さなどが影響し、賃貸物件の需要も都心と比較すれば低くなるので、入居率にも影響が出ます。地方になればなるほど物件価格は安くなりますが、人口の少なさから入居率が低くなり、空室期間が長くなる可能性が高くなります。物件価格と入居率や空室期間にはトレードオフの関係(相反する関係)があると言えるかもしれません。

地方物件では入居率や空室期間も考慮すべき問題ですが、さらに考えておきたい問題として、地方物件では都心物件に比べて家賃に対する経費率(経費の占める割合)が高くなる傾向があるという点があります。その原因は原状回復費用によるものです。

地方ほど経費率が高い原状回復費用

賃貸物件では入居者が退去した際、新しい入居者を迎え入れるために部屋をきれいにする必要があります。いわゆる原状回復工事です。

原状回復工事自体は都心物件でも地方物件でも工事の方法はほぼ同様のものであり、費用についても大きな差はありません。ですが地方物件では人口や利便性、賃貸需要等の点から都心物件と比較して家賃が低くなります。同じ広さの部屋であれば同じくらいの原状回復工事費用が見込まれますが、家賃が低い分だけ経費率は高まります。

さらに地方や郊外は家賃が低いだけでなく空室期間が長くなる傾向があります。家賃収入が途絶える期間が長引くことで経費率が悪化します。

もう一点、注意したいのは、地方物件の場合は地価が安いために物件自体の面積が広くなる傾向があります。原状回復工事でも面積が広いという点を考慮しなければなりません。例えば、壁紙クロス張替えは面積に応じて費用が決まってきますので、面積が広ければその分工事費用が高額となる場合があります。

都心部のワンルームマンションの家賃よりも、地方や郊外のファミリー物件の家賃が低いケースも多くみられます。家賃が低く部屋が広いのは、入居者にとってはありがたい面もありますが、逆にオーナーにとってはマイナス要素になりえます。

このように、地方物件では都心物件に比べて家賃が低いことに加え空室期間が長くなる傾向があるばかりか、高い原状回復費用が必要となる場合もあり、都心と比べて家賃に対する経費率が高くなってしまうことがほとんどです。

まとめ

表面利回りを追求して、安易に地方や郊外の物件に投資を行うと、表面利回りの裏に隠された高い経費率がネックになるかもしれません。経費率が悪化すれば安定経営ができなくなってしまいます。

賃貸需要は低いものの不動産価格は安く、表面利回りの高い地方物件の方が魅力的に映ることもあるでしょうが、地方物件を選択肢に入れる場合には、表面利回り以外に入居率、空室期間、家賃相場をふまえ、家賃に対する経費率も考慮して検討しましょう。


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