都心の再開発
2018/03/10

進む東京都心の再開発(3)

渋谷駅周辺エリア 新たなエンタテイメントシティを目指して大規模に生まれ変わるための再開発

(写真=shigemi okano/Shutterstock.com)
(写真=shigemi okano/Shutterstock.com)
東京都の中でも、若者を中心に文化や交通、商業などの要衝として知られるのが渋谷です。渋谷駅周辺では、次世代に向けた新たな「エンタテインメントシティSHIBUYA」として進化を遂げるべく、「100年に一度」ともいわれる大規模な再開発が随所で行われています。たとえば、渋谷駅の整備から始まり、大型複合施設「渋谷ストリーム」やスクランブル交差点を見下ろす「渋谷スクランブルスクエア」です。

さらに、「東急プラザ渋谷」跡地や「渋谷パルコ」跡地の再開発など、2020年までに行われる大規模な再開発が目白押しとなっています。2020年は東京オリンピックが開催される節目の年ですが、それ以降に完成する再開発計画もあり、渋谷の街は大きな可能性を秘めているといえるでしょう。ここでは、「渋谷の街がどのように生まれ変わろうとしているのか」について詳しく見ていきます。

▼目次

  1. 渋谷駅の整備でより便利に
  2. 渋谷駅街区の再開発計画とは
  3. 渋谷駅を中心として、オリンピック以降も続く駅周辺の再開発
  4. ただ単に整然とするだけではない

渋谷駅の整備でより便利に

2020年の東京オリンピック開催に向け、東京の各エリアは国際色豊かに発展することが求められます。なかでも渋谷エリアは、オリンピック競技会場である新国立競技場や国立代々木競技場に近く、これまでも国内外を問わず多数の観光客を集めていることから、東京観光の拠点としての役割を期待されています。そして、オリンピックで終了するのではなく、これを契機によりエンタテイメント性の強い大都市の形成ができるよう、数々の再開発計画が立てられています。

現状の渋谷は、JR線などの鉄道、また国道246号線など主要幹線の通過により街は分断され、渋谷駅自体も度重なる増改築によって構造が入り組んだ状態です。この状況を打破し、もっと便利で散策や移動がしやすいように動線を改良する目的で、渋谷駅構内や周辺の開発が進められます。

整然とした街づくりを実現させるために、まず鉄道や道路で分断されたエリアを歩行者デッキでつなぎます。さらに、周辺施設を自由に渡り歩けるよう、地下と地上を結ぶ「アーバン・コア」を設置して移動を楽にします。渋谷駅の構内でのJR線埼京線・東京メトロ銀座線のホーム移設は、乗り継ぎの際の行き来をスムーズにすることで、移動の煩雑さを解消する計画です。

渋谷駅街区の再開発計画とは

次に、渋谷駅周辺の各施設について再開発の詳細をあげます。まず、渋谷の代名詞ともいえるスクランブル交差点のすぐそばには、「渋谷スクランブルスクエア」と呼ばれる複合施設が開業予定です。「渋谷スクランブルスクエア」は、渋谷の街を見下ろせる地上47階建ての東棟をはじめ、中央棟・西棟という構成です。

東棟の高層部はハイグレードオフィス、中層・低層階には大規模な商業施設とし、地上約230メートルの屋上には新宿や六本木といった都心を一望できる大型の展望施設を設置します。そして、展望台は屋内エリアと屋外エリアがあり、思い思いに渋谷の空の開放感を味わうことが可能です。また、渋谷の街の活発さや臨場感を味わえるスクランブル交差点を眼下にでき、新たな観光名所として渋谷のランドマークになると期待されています。

さらに、駅前広場など駅周辺の動線の整備については、渋谷駅東口に地下広場を設け、JRや東京メトロ、東急線、京王井の頭線の各線への出入口をつないで乗り継ぎの拠点とし、待ち合わせができるような広いスペースができます。また、東口と西口をつなぐ連絡通路や、駅周辺のビルと直結する歩行者デッキの整備によってさらにスムーズな移動が可能となり、渋谷駅周辺のどこへでもつながる動線を作ります。地上でも広場やバスターミナルが整備されます。

このように、渋谷駅街区の再開発では地下と地上、そして駅周辺施設の総合的な空間の創出が計画されているのです。大まかな渋谷駅街区再開発の計画は以下のようになっています。

予定年    完成・開業予定計画
2019年    渋谷スクランブルスクエア東棟
2020年春    JR埼京線ホームをJR山手線ホームと並列に移設
2020年    東口駅前広場、地下広場、アーバン・コア、2階デッキ、東西国道デッキ
2027年    渋谷スクランブルスクエア中央棟・西棟
2027年    JR山手線1面2線化
2027年    西口ハチ公広場、バスターミナル、地下タクシープール、アーバン・コア、東西自由通路


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渋谷駅を中心として、オリンピック以降も続く駅周辺の再開発

渋谷駅の整備とともに、渋谷駅周辺の再開発も活性化しています。これまでにも東急文化会館跡地の「渋谷ヒカリエ」など大規模な再開発が既に行われていますが、今後も再開発が目白押しです。

渋谷駅の南側では、高さ約180メートル、地上35階・地下4階建ての「渋谷ストリーム」や、渋谷ストリームから代官山寄りに位置する「渋谷代官山Rプロジェクト」の開業を2018年秋に控えています。特に渋谷ストリームは、「クリエイティブワーカーの聖地」をコンセプトに掲げ、オフィスと商業施設、エンタテイメントスペースが複合化された新しいスタイルの施設として注目されています。オフィス区画にはグーグルの本社機能が移転入居することでも話題になっています。

また2020年のオリンピック開催までの完成を目指し、渋谷駅西口駅前の「東急プラザ渋谷」跡地の再開発、「渋谷パルコ」跡地の再開発、宮下公園を中心として駐車場、ホテル、商業施設を整備する「宮下公園等整備事業」も進行中です。

オリンピック以降に完成予定の再開発計画としては、渋谷駅西口から国道246号線を隔てた「渋谷駅桜丘口地区」があります。約2.6ヘクタールに及ぶ広大な地域を一体的に再開発する計画で、高さ約180メートル、地上37階・地下4階建ての超高層ビル建設が中心となります。オフィスや店舗、住宅をはじめ、起業支援施設、多言語対応の国際医療施設などを整備し、国際都市にふさわしい複合施設として2023年度に竣工する予定です。

これらの再開発を経て、2027年には渋谷駅の整備が完了する予定です。複雑で入り組んだ構造の渋谷駅、そして駅前のビル群は再開発により生まれ変わるとともに、アーバン・コアや歩行者デッキの整備により通路としての利便性、空間としての魅力が大きく向上することが見込まれます。10年後の渋谷駅周辺は驚くべき変化を遂げ、世界有数のビッグターミナルとして現在よりもさらに都会的で先進的な街並みとなっていることでしょう。

ただ単に整然とするだけではない

このように、渋谷はさまざまな再開発計画によって便利で整然とした街に生まれ変わる予定です。一方で、雑然とした渋谷ならではの個性が失われてしまうのではないかという危惧もあります。しかし、街をすべて作り変えるのではなく、渋谷のシンボルでもあるスクランブル交差点はそのままの状態で残されるとのことです。

また、新たな安らぎスポットとして「渋谷ストリーム」に設置される水景施設は、渋谷川の流れに沿って作られる予定です。ゆったりと散歩を楽しめる遊歩道も設置され、都会の中に潤いを与えるスポットが誕生します。

これからの未来に向けてさまざまな変貌を遂げる予定の渋谷周辺は、2017年時点では随所で工事が順次進められています。渋谷の街がどのような顔を見せるのか、今後に期待し注目してみましょう。

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【進む東京都心の再開発】
Vol.1:品川エリア「田町駅~品川駅間の新駅開発」と「品川駅前の再開発」
Vol.2:湾岸エリア 東京オリンピックの中心地として進化を遂げるための再開発
Vol.4-1:東京駅周辺エリア(前編)東京駅西側・丸の内口の再開発
Vol.4-2:東京駅周辺エリア(後編)東京駅東側・八重洲口の再開発
Vol.5:虎ノ門エリア 広大な再開発区域、相次ぐ超高層ビル建設、新駅の開発
Vol.6:東京・首都圏の道路整備「首都高」「環状2号線」「首都圏の交通インフラ」の再開発から目が離せない
Vol.7:六本木・赤坂エリア 既存拠点の強化とオリンピックに向け完成する再開発
Vol.8:銀座・日比谷・新橋エリア 完成済みの「GINZA SIX」や現在進行中の再開発とは
Vol.9:大崎駅周辺・西品川エリア 副都心として発展を続ける「まちづくり」のモデルケース
Vol.10:武蔵小山エリア タワーマンション建設と道路整備で注目!城南エリアの新拠点
Vol.11:築地エリア 小池都知事本丸「築地再開発検討会議」からのまちづくり動向
Vol.12:池袋エリア 副都心として多様性と発展性を備え、世界に開かれた一大ターミナル
Vol.13:東新宿・歌舞伎町エリア 訪日客を想定した世界的エンターテインメントの拠点整備と再開発
Vol.14:麻布十番エリア 地下鉄の開通・駅の誕生が街にもたらした新たな魅力と発展性
Vol.15:渋谷エリア 2018年再開発動向「渋谷ストリーム、渋谷ブリッジ、渋谷フクラス、渋谷スクランブルスクエア」
Vol.16:高輪ゲートウェイ新駅エリア「品川開発プロジェクト」からイメージする新国際都市
Vol.17:白金高輪エリア 地域に根ざした街の再開発、新駅「高輪ゲートウェイ」との相乗効果
Vol.18:下北沢エリア 小田急線の地下化、駅のリニューアル、カルチャーも守る住民参加型の再開発
Vol.19:湾岸エリアその2 環状2号線、東京BRT、「HARUMI FLAG」 東京オリンピック・パラリンピック後も進化し続ける
Vol.20:東京の国際競争力向上を占う「羽田空港アクセス線構想」「新空港線(蒲蒲線)計画」とは
Vol.21:原宿エリア JR原宿駅改良工事と大規模建て替え再開発プロジェクト
Vol.22:浜松町エリア 世界貿易センタービル建て替えなど国際拠点性を強化する大規模再開発プロジェクト
Vol.23:竹芝エリア 浜松町駅東側に広がる再開発群、国際競争性の高い観光・産業拠点へ

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