投資用マンションの資産価値とは?適正価格と適正賃料を知っておこう

(写真=Wright Studio/Shutterstock.com)
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不動産投資で成功している人の多くは、複数の物件を所有しています。複数の物件を所有することでリスク分散を行い、さらにはより多くのリターンを得ているというわけです。また、複数の物件を所有しているということは、それだけ資産が多いことを意味し、かつ安定的な資産形成ができていることになります。

では、なぜ不動産という価値の高い資産を複数も所有できるのでしょうか。ポイントは、金融機関からの融資にあります。不動産投資は金融機関からの融資によって、手元の資金がそれほど多くなくても始められ、複数の物件を所有して資産を増やせるのです。

融資を受けるためには、融資を受ける人の収入や資産などの「属性」も関係しますが、重要視されるポイントとして、融資対象となる不動産の「資産価値」があります。今回は資産価値の指標として知っておきたい、投資用マンションの「適正価格」と「適正賃料」について解説します。

(本記事は2018/08/28配信のものを2021/12/28に更新しております)

▼目次

  1. 不動産投資の成功要因は「資産価値」
  2. 投資用マンションの「適正価格」を知る方法とは
  3. 投資用マンションでは「適正賃料」も確認する
  4. 複数の指標から総合的な投資計画を考えよう

1. 不動産投資の成功要因は「資産価値」

不動産投資の成功に欠かせないポイントは、金融機関から条件の良い融資を受けることです。そのためには、金融機関が融資したがるような「資産価値の高い物件」を選ぶことが大切です。

では、資産価値の高い物件は、どのように判断すれば良いのでしょうか。投資用マンションの価値を判断する基準は2つあります。一つは市場で売買される価格(換金性)、もう一つは将来にわたり得られる賃料収入(収益性)です。ただし、個別の取引価格や、現在の賃料をそのまま資産価値の判断基準とすることはできない点に注意が必要です。

その理由は次の通りです。まず、個別の取引にはオーナーの事情など様々な要素が関係し、同じような条件の物件であっても取引価格が高くなったり低くなったりします。また、引っ越し希望者の多い時期などは賃料相場も変動することがあるため、現在の入居者の賃料と相場の賃料が乖離(かいり)するケースがあります。そのため、現在の入居者の退去後、今よりも低い賃料で入居者確保したり、逆に高い賃料でも入居者を得られたりする可能性が考えられます。

このような点を考えると、物件の資産価値を見極め、資産価値の高い物件を手に入れるためには、「適正価格」と「適正賃料」を参考にして、間違いのない物件選びを進めることが大切になってきます。

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2. 投資用マンションの「適正価格」を知る方法とは

一般的に、土地の価格は「一物四価」と言われています。一物四価とはつまり、1つの物件に対して4つの尺度があるということです。具体的には「時価(実勢価格)」「公示地価(公示価格)/基準地価」「相続税評価額(路線価)」「固定資産税評価額」の4つです。なお、「基準地価」を分けて「一物五価」と呼ばれることもあります。

投資用マンションの適正価格を知るにあたって、この「一物四価」の考え方を参考に、土地と建物の評価方法を見ていきましょう。

2-1.時価(実勢価格)

「時価」とは、言葉の通り、不動産市場で実際に取引されている価格のことです。「実勢価格」や「相場」とも呼ばれます。実際の取引価格は、類似する取引事例の比較や、想定される収益を目安に決まることが一般的です。

2-2.公示地価(公示価格)/基準地価

「公示地価(公示価格)」とは、地価公示法に基づいて、土地の「正常な価格」を公表するものです。国土交通省土地鑑定委員会が毎年1月1日時点の正常価格を鑑定・審査し、国土交通省が毎年3月に発表します。

また、類似の指標として「基準地価」があります。基準地価は、国土利用計画法に基づいて、各都道府県が毎年7月1日現在の基準地の地価を調査・判定するものです。各都道府県にて公表するとともに、国土交通省がまとめて9月に発表します。

なお、公示地価の鑑定に用いられる不動産鑑定の評価方法には、次の3つがあります。

  • 「原価法」:再調達原価(仮にもう一度建築・造成した場合にいくらになるか)をもとにして価格を算出する方法です。
  • 取引事例比較法:多数の取引事例のなかから適切な事例を選択し、必要に応じて事情補正や時点修正を行ったうえで、地域要因・個別的要因を比較して価格を算出する方法です。
  • 収益還元法:将来生み出すことが期待される純収益について、現在価値で合計したものを試算価格として算出する方法です。

(参考)国土交通省 不動産鑑定評価基準

2-3.相続税評価額

「相続税評価額」とは、相続税および贈与税の算定基準となる評価額のことです。土地の相続税評価額は、国税庁が毎年7月に発表する「路線価」をもとに算出(路線価がない土地の場合には、固定資産税評価額をもとにした「倍率方式」で算出)されます。おおむね公示地価の80%程度が目安となります。また、建物の相続税評価額は、固定資産税評価額の金額が用いられます。

なお、投資用マンションなど賃貸に出している不動産であれば、評価額の軽減措置として、土地に対する「小規模宅地等の特例」「貸家建付地の評価減」、建物に対する「借家権割合による評価減」を受けられます。これにより、現金や預貯金を投資用マンションに換えれば、相続税評価額を約3分の1に圧縮できます。

2-4.固定資産税評価額

「固定資産税評価額」とは、固定資産税を賦課するための基準となる評価額のことです。固定資産税は市町村(東京23区は東京都)が課税する税金で、3年ごとに評価替えが行われます。土地は公示地価の70%程度、建物は建築費の50%~70%が目安とされています。

3. 投資用マンションでは「適正賃料」も確認する

次に、もう一つの資産価値の指標である「適正賃料」について考えてみます。適正賃料とはつまり賃料相場のことで、マンションの収益性を表すものです。とくに投資用マンションであれば、どのくらいの収益力があるのかによって、物件の価値判断も大きく変わってきます。

ただし、適正賃料はあくまで「現時点での賃料相場」という点に注意が必要です。不動産投資では将来にわたって安定した家賃収入を得ることが大切です。いくら現時点での適正賃料が高水準であっても、その賃料水準が将来的にも維持されなければ、不動産投資を成功させることは難しくなってしまいます。

投資用マンションの将来にわたる収益性を見極めるには、適正賃料を確認するとともに、人口や世帯数の将来予測、街の発展性など、立地の将来性にも着目すると良いでしょう。

4. 複数の指標から総合的な投資計画を考えよう

このように、不動産の価格にはさまざまな種類があることに加え、価格以外にも資産価値を判断するポイントがあります。どれか特定の指標だけで判断するのではなく、複数の指標を総合的に検討し、最終的な意思決定に反映させることが大切です。

適正価格と適正賃料を知り、将来性にも着目して物件選びを行うことができれば、投資計画の実現性が増していきます。より確実な不動産投資を行うために、投資対象の資産価値に目を光らせるようにしましょう。

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